アニメ『ゆるキャン△』を全話視聴したけどモヤモヤが残った話【感想・不満点・ブームへの違和感など】

注:この記事ではアニメ『ゆるキャン△』に対して辛口な意見を書いています。ファンの方の気分を害するかもしれません。

楽しんでいる方の気持ちを否定する意図はないので、本作に不満がない方は「戻るボタン」を使うか、以下のリンクから離脱することをおすすめします。

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批判的な内容でも構わないという方のみ本文にお進みください。

ネットで大絶賛

2018年冬アニメの『ゆるキャン△』ですが、大いに話題になり円盤もたくさん売れ、ネット上は絶賛の声があふれています。

リアルタイムで見ていなかった筆者は、もったいないことをしたと思いました。

そういうわけで、テレビ放送終了後dアニメストアで全話視聴したのですが、なんとも言えないモヤモヤが残りました。

なんかなぁ……。そんな熱狂的に支持されるような作品なのかなと。刺さる人には刺さるアニメだと思いますが、ここまで大人気になった理由はよく分かりません。

評判がとても良かったので期待して見たのですが若干拍子抜けでした。思っていたのとちょっと違う……。

いえ、もちろん楽しかったですし、見て良かったと思いますよ。美しい風景が描かれているだけではなく、画面から空気感までが伝わってくるのが素晴らしい。

エンディング曲も心に染みました。風景や音楽だけで、ここまで心を動かされるアニメはなかなかありません。

その一方で残念な部分、気になる所も少々ありました。

この作品を傑作と呼び、手放しで絶賛するのには少し違和感があります。良作だとは思いますが、ちょっと持ち上げられすぎではないかと。

このあとは不満点を具体的に書いていきます。

起伏の少ない展開

まず残念だったのが、ちょくちょく退屈な話や眠くなるシーンがある点。

特に第6話から8話のあたりは失速感があり、視聴を断念しそうになりました。全12話の半分が終わり新鮮味が薄れてきたところで、起伏のない単調なストーリーが続いたからです。

最初の数話は「おおっ!これは新しいな」と思い、体感時間が短く感じられました。でも、同じことを繰り返されては飽きてしまいます。

意地悪な言い方ですが、キャンプの様子、美しい風景、美味しそうな料理を映すだけのアニメなんですよね(たまに豆知識が入りますが)。

キャンプの舞台は変わりますがやっていることは基本的に同じです。

日常系でもここまで起伏が少ないのは珍しいと思います。盛り上がるシーンがとにかく少ない。疲れていても見られるけど、刺激が欲しい視聴者には物足りないでしょう。全体的に薄味に感じてしまいました。

寝る前に見るとリラックスして気持ちよく眠れそう(disっているわけじゃないですよ。)

ストーリーに起伏がなく、気張らずに見られるというのは魅力であると同時に欠点でもあります。癒やし目的で見るならいいですが、真剣に見ようと思うと物足りなく感じます。

だんだん飽きてきて続きを見たいと思えなくなったのは残念でした。間を空けて一話ずつ見るのなら凄くリラックス効果があって良いのですが……。

キャラの内面描写

『ゆるキャン△』のアニメでは食べ物がとても美味しそうに描かれています。本物以上にリアル感があってお腹が空きます。

また、風景(背景の自然)が美しく、澄んだ空気と冬の冷たさが画面から伝わってきます。雰囲気が非常に良いアニメです。

でもそれ以外の部分にはあまり力を入れていない気がするんですよね。一例を挙げればキャラクターの描写です。

『ゆるキャン△』は日常系萌えアニメのカテゴリに入ると思いますが、個人的に、キャラクターの魅力を十分アピールできていないように思います。

主人公のしまりんに関しては悪くないと思いますが、他の子達はなんだか十分にキャラが立ってない気が……。

描かれ方が表面的というかなんというか。ビジュアル的にはかなりいいと思うんですけど、残念ながら内面に関しては十分に描かれていないように感じてしまうのですよ。

人物としての奥行きが感じられず、言い方は悪いですが、モブ感と言えばいいのでしょうか、その他大勢という感じがあります。

血の通った人間という感じが希薄なのは残念。掘り下げが不十分な気がします。

「キャラがこれまでどう生きてきたのか」とか、「今何を思っているのか」という部分が読み取りづらい。厳しい言い方をすると、キャラが物語やキャンプを進行させるための舞台装置として使われている印象を受けました。

軽く仄めかすだけでも良いので、キャラの背景や内面を描いてほしかったなぁと思います。

他の日常系と比べて

キャラクター描写にはあまり力を入れていないように思える『ゆるキャン△』。

対して、他のきらら系日常作品『ご注文はうさぎですか?』(ごちうさ)などは、キャラクターを魅力的に見せることに心血を注いでいたと思います。

可愛いだけで内容がないと批判されることもある『ごちうさ』ですが、実は心理描写・人物描写が巧みだと思います(特に原作)。

チノが内気な理由とか、ココアが背伸びしてお姉さんになろうとしている背景がそれとなく分かるようになっています。チノがココア達と出会うことで少しずつ心を開いていく様子も描き方が丁寧です。

一方の『ゆるキャン△』はキャラの魅力だけで見せるタイプの作品ではないと思いました。キャンプや旅の要素がないと成立しません。人物よりもそちらを見せたい作品なのでしょう。

主役はキャンプ?

上で『ゆるキャン△』を萌えアニメと書きましたが、実際にはキャラに萌えるアニメではないのかもしれません。

原作がきらら系列で連載されていて、キャラの外見こそ萌え系ですが、作風が他とは大きく違っています。

もしかすると純粋にキャンプそのものを見せるため、あえて人物描写を削ぎ落としているのかも? キャンプという概念そのものが主人公で、人間はおまけなのかもしれません。

それが逆に流行った要因かもしれないです。コテコテの萌えアニメ(萌えキャラ)は受け入れられない、でも癒やされる何かが見たいという層を取り込めたという推測もできます。

なんかNHKのEテレあたりで流れていても違和感がないようなアニメでした。お色気シーンもないですし、小さな子供に見せても問題のない、非常に健全な作品ですね。

おわりに

雰囲気が非常に良かっただけに人物描写が薄かったのはちょっと残念。主役級のしまりんでさえ深い部分は謎めいたままです。

一人が好きで集団が苦手、キャンプや旅と読書が趣味、動物像の顔マネが好きというのは分かりましたが、もっと内面や過去が知りたかったな……。

この記事では気に入らない部分ばかり書いたので、最後は好きなところを書いておきます。しまりんが原付で遠出する回が好きでした。旅情があって自分も旅をしたくなりました。

あと音楽や服などありとあらゆる部分がオシャレでセンスを感じます。それに冬の景色がとにかく綺麗で心が洗われますね。

 

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