特撮を知らなくても楽しめました:『SSSS.GRIDMAN』感想

話題になったアニメを今更見るシリーズ(?)です。『SSSS.GRIDMAN』は2018年秋アニメなので半年遅れの視聴。

放送当時、話題になっているのは知っていましたが、日常系とクソアニメ以外にあまり関心が無かったので見ようとは思いませんでした。また、特撮を知らないと理解出来なさそう、考察が難しそうという印象を持ったのも敬遠した理由の一つです。

でもこれ凄く人気があるみたいなんですよね。フィギュアもたくさん出てるし、放送終了後の評価も非常に高いので気になっていました。丁度今期(2019年春)は見たい作品が少ないのでdアニメストアで一気に視聴。

実際に見てみると、特撮のことを全然知らない自分が見ても問題なく楽しめるアニメでした。食わず嫌いしてはいけませんね。

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予備知識ゼロでも見やすい

アニメ版グリッドマンには原作の特撮『電光超人グリッドマン』をはじめ、色々な特撮の小ネタが入っているようですが、分からなくてもストーリーの理解にはほぼ影響がないので大丈夫。とにかく面白かったです。

また、TRIGGER制作ですが演出が奇抜ではないので見やすかったです。どちらかといえば実写っぽい演出でした。特撮的な見せ方なのかもしれません。

高校の教室の雰囲気や、生徒たちの様子に妙な生々しさを感じました。うまく言えないけど、よくあるアニメの高校生描写とは違って、実際にいそうな雰囲気があります。

もちろんリアルな高校生とはまた違うのだけど、アニメのテンプレ高校生とも違う感じ。とにかくなんとも言えない生々しさを感じました。

あと夏の描写がいい。雰囲気がとてもいいです。空気感を楽しめるアニメは好きですね。

あらすじなど

『SSSS.GRIDMAN』の内容を大雑把に言うと、主人公の高校生裕太が古いコンピュータの中にいるグリッドマンなる謎の存在と合体して怪獣と戦う話です。

初めは単純に怪獣を退治するだけの話なのですが、少しずつ世界の秘密が明かされ続きが気になる展開になっていきます。

この作品には特撮以外の要素も沢山取り入れられているので、自分みたいな特撮を知らない萌え豚でもとっつきやすい。SF要素のある青春学園ものとして見ることもできると思います。

ヒロインは二人共魅力的な美少女ですし、風変わりな脇役たちによるシリアスな笑いもあって気楽に見られます。

あと主人公の裕太は男ですがヒロインたちに負けないくらい可愛らしいのが良いですね。

※以下重大なネタバレがあるので未視聴の方はご注意ください。この作品はネタバレ無しで見たほうが意外性があって楽しめると思います。

少女と神

この作品にSF的要素があると書きましたが、より正確に言うと『涼宮ハルヒ』的なのですよね。だから受け入れやすかった。

日常生活に怪獣が現れて街を破壊。でも次の日には綺麗さっぱり元通りに修復されていて、主人公たち以外は誰も怪獣が現れたことを覚えていません。

実はその怪獣を作り出しているのはヒロインの新条アカネでした。可愛くて人気者のアカネですが実は心に深い闇を抱えており、嫌なことがあると自作の怪獣を街で暴れさせます。

これは精神が不安定になると閉鎖空間で巨人(神人)を暴れさせる涼宮ハルヒと被ります。裕太とグリッドマンはハルヒで言うと古泉のような役割を果たしていたのか、なるほどと思いました。

さらに話が進むとアカネ自身が神のような存在で世界を改変できることが発覚。このあたりもハルヒと共通しています。本人が力を自覚できているか否かという違いはありますが。

少女の内面が具現化したような世界。街やそこに住む人々はアカネによって作られたもので、街の外側には何もない。住人には昔から生きていた記憶があるけど、その記憶も作られたもの。

前から生きていたように思っていても、実際にはこの世界に作られたばかりかもしれない。世界五分前仮説を思わせる奇怪な世界の話なのだと分かりゾクゾクしました。

現実との接続

このアニメの優れている点は、ハルヒ的な構造で終わるのではなく、その上に更にもう一重レイヤーを持ってきた所だと思います。フィクションの世界で完結するのではなく現実世界と繋げたところが新しい。

『涼宮ハルヒ』ブームから10年以上の時を経て、(少女の内面を描くアニメは)次の段階へ進んだのだなぁと感慨深いです。ただの焼き直しだったらガッカリだけどしっかり発展させているのが素晴らしい。エヴァあたりから始まったセカイ系作品の総括とも捉えられる。

ラストシーンは実写になってましたねぇ…。現実世界のアカネらしき少女が目覚めて終わるとは……。今まで見せられてきたものはリアルアカネの夢や妄想の世界だったんですね。リアルでうまく生きられないアカネが現実逃避のために作ったインナーワールド。

でもたとえそれが作り物の世界だったとしても、そこに生きる人達によってアカネの心は救われ、現実で一歩踏み出す力をくれたのですから、妄想も捨てたもんじゃない。

メッセージの宛先

なんかすごい終わり方をしましたが、誰に向けてのメッセージなんでしょうねこれ?

初めはメンヘラ少女に見てもらいたいのかなぁ?と思いました。少女の自意識と苦悩に焦点を当てていたので。でも、この手の作品はあんまり女の子は見なさそうな感じなんですよね。

男のオタクが喜びそうな要素ばかり集めた作品です。美少女とか怪獣とかロボットとかバトルとか。一般的な女の子が見て楽しいのかなぁ?イケメンやBL要素もほとんど無いですし。

このアニメに少女向けメッセージを入れても、少数派である特撮好き、男性向けアニメ好き少女にしか届かない気が……。

キモオタや引きこもりおっさんにメッセージを届けたいなら、実写パートで中年男が目を覚ましたほうがインパクトあっていいと思うんですけどね。

みんな美少女になりたい?

アカネちゃんの中身がオッサンだったらなんか非常に救いがあるじゃないですか。いや、だってみんなアカネちゃんみたいな美少女になりたいじゃん。

美少女アニメを見ているのは美少女になりたいからかもしれないんですよ。女の子になって女の子と仲良くスクールライフを送りたいんだよ多分。

数年前から男の出ないアニメが増えたのは自分が女の子になっているから。視点キャラとしての男性キャラの必要がなくなったからだと思っている。

六花に迫るとこがエロかったですね。百合っぽかったけど、美少女になって美少女と仲良くなりたいっていう願望は完全に萌え豚(男)が持ってるものですよ。

女の子とイチャイチャしたい女の子よりも、女の子になって女の子とイチャイチャしたい萌え豚(男)のほうが多いかも?

……美少女になりたいオッサンの妄想って設定じゃ生々しすぎると思って変えたのかなぁ。オッサンを救いたくはなかったか?

優しいメッセージ

誰にメッセージを伝えたかったのかという話に戻りますが、性別関係なく、少なくとも若い人だろうねぇ。実際に現実世界で悩んでいる人たちに寄り添ってる感じで、好感の持てる終わり方ではありました。

たとえ作りものの脳内友達であったとしても、六花はアカネに寄り添ってくれているんだぜ。なんてすばらしい!

フィクションだって心の支えになってるんだぞ!特撮とかアニメとか創作物への愛が感じられる。創作は人の心の支えになる。それを糧にして現実でも頑張ろうっていう前向きなメッセージにも見えました。

現実は糞だから妄想の世界に引きこもってハーレムでも作ろうぜ、チートで暴れようぜという、なろう系的な思考の克服にも見えます。

さらに、『レディ・プレイヤー1』のラストのような、リアルが一番だからバーチャルは程々にしとけという押し付けがましい説教とも違う。

メッセージとしてはなかなか素晴らしい着地点なのではないでしょうか。あくまで個人的な解釈なので、製作者の意図とは異なってるかもしれませんけどね。

おわりに

めちゃくちゃいい作品でしたね。笑えるし、燃えるし、萌えるし、考察できるし、しんみりするし、心に残る名作ですよ。おそらく特撮を知っていればもっと楽しめる。

あらゆる要素が詰まっているのにも関わらず、綺麗に12話でまとまっています。ここ最近のアニメの中では飛び抜けて完成度の高い作品だと思いました。本当に素晴らしい。

まだ理解しきれていない部分があるので、ネット上の考察を見ながら何周も楽しめそうです。

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