【寅さん】映画『男はつらいよ』(第一作)を観てみた感想

映画『男はつらいよ』の第一作が正月にテレビで流れていました。

2019年はシリーズが始まって50周年で新作映画も公開されたらしい。それに関連した放送だと思います。

『男はつらいよ』は主人公の名前から「寅さん」とも呼ばれる有名なシリーズで、もちろん名前は知っていたけどちゃんと観たことはなかったです。

冒頭だけ観てノスタルジックな映画だなぁと思いつつ、用事があったので、今回も最後まで観ることはありませんでした。

それから何日か経ち、寅さんのことはすっかり意識の外へ行っていたのですが、Amazonプライム・ビデオを見ていると見覚えのあるタイトルを発見。

正月にやっていた第一作が、プライム会員無料で公開されているではないですか。無料だったので続きを観てみました。

あらすじ

有名なので少しだけ。寅さんの経歴は冒頭で本人が語っています。

中学の頃に親と喧嘩をして家を飛び出して以来、20年間故郷を離れていた寅次郎。全国を渡り歩いてテキ屋稼業をしていた彼が、葛飾柴又に帰ってきた。

唯一の肉親である妹のさくらと再会。お見合いに同席するも、ぶち壊しにしてしまい……。

感想

すごくよかったです。老人が観て喜ぶ懐古的な映画なんだろうなという偏見を持っていたけど全然そんな事はなかった。年齢に関わらず観られる良い映画だと思う。

温かいなぁ。観ていてとても心が温まりましたよ。

寅さん以外の登場人物にも親しみが持てました。みんな人間臭くて、経済的に豊かではなくても前向きで、頑張って生きているのが伝わってくる。

人と人との距離が近い時代。

なんかいいなあって。その時代を生きたわけではないけど、懐かしさを感じました。

風景も楽しい

当時の日本の風景を垣間見れるのもこの映画の魅力だと思います。1969年の作品だから、およそ50年前の景色。

高度経済成長期で近代的な高いビルが立ち並ぶ一方、昔ながらの日本的な街並みも残っている。なんだか面白い時代だなと思いました。

寅さんが船で江戸川を渡っている場面があります。矢切の渡しは現在観光用みたいになっているけど、公開当時はまだ重要な交通機関だったのでしょうか。

終盤に出てくる駅の雑多な感じの食堂も昭和的な雰囲気を漂わせていて良かった。

希望があり、活気のある時代だったんだなぁと。今とはぜんぜん違う空気。色々厳しい面もあったのだろうけど、ある意味幸せな時代だったんだろうなと思いました。

寅さんという人

寅さんは行儀が悪いし、傍若無人な振る舞いもする。顔は男前じゃないし、学が無くバカ呼ばわりされることもある。一見するとろくでもないダメ人間にも見える。

特に序盤は周りに迷惑ばかりかける厄介者にしか見えませんでした。

でも最後まで見ると、すごく人間味があって共感できる部分も多いことが分かりました。不思議な人物。ダメな部分を含めて魅力的なんだよなあ。

本人も自分が世間から外れているやくざ者だと分かっている。はみ出し者の悲しみのようなものをかすかに漂わせていて、それがいい。

口が達者で威勢のいいことばっかり言うし、ガサツな人に見えるけど、実は人並みに悩んではいるし、優しい心も持っている。

表向きの明るさハチャメチャさの裏には、家を飛び出して以来、一人で生きてきた苦労やら、引け目やら色んなものがあるのでしょう。

さくらと結婚した博も、寅さんと同じように昔家を飛び出し、両親とは長い間会っていなかったようですが、結婚式で再会して和解。それを見た寅さんは涙を流して喜んでいました。

本当は寅さんも両親が生きているうちに再会して、優しい言葉を掛けてもらいたかったんじゃないかなと思えるいい場面でした。

あとがき

観ると元気になる映画だなと思いました。皆に愛されてたくさんの続編が作られるのも納得です。

人間愛にあふれていて心が温かくなります。人間を有用性だけで判断する現代の風潮とは異なる価値観が描かれていて、心が疲れた時に観ると救いになるような作品でした。

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