2021年冬アニメ『回復術士のやり直し』の第7話感想です。
個人的に第7話は笑いどころが少なく、見ていて頭が痛くなる謎展開でした。さらに残念なことに、今回のえちえちシーンはノーマルな合体っぽい。しかも規制のある地上波放送版ではロクに見せてもらえません。
やっぱりこのアニメは過激な変態描写がないと楽しくないです。登場人物の誰にも感情移入できないし、ヒールの設定は意味不明。ストーリーには説得力がなく見ていて疲れます。
今回は過去のなろうアニメを再評価したくなるほど微妙な内容でした。今思えば『ありふれ』や『デスマ』って結構おもしろかったんだなと……。
第7話「回復術士は、正義を執行する!」本編感想
本編を冒頭から見ていきます。
血の海
コロシアムに現れる主人公ケヤルくん。
王国のヒゲのおじさんは、ケヤルが命を差し出したら村人の命を助けると言っているけど、ほんとに助けてくれるんでしょうかね?この世界の人間はみんなクズでド畜生だから普通に殺されそう。
ケヤルくんは触れるだけで敵をブチころできるようです!強い!このヒールは初披露じゃないかな?(※追記:違いました。1話で魔王を倒したのもこの【改悪】のヒールだったようです。)
モブ兵士をプチプチ潰して一面を血の海に。
彼は王国側の謀略によって「悪魔に魅入られし癒しの勇者ケヤル」として扱われていたけど、レッテル貼りや誇張ではなくマジモンの悪魔にしか見えないんだよなぁ……。
ケヤルくんとしては別に村人が死んでも構わないらしい。「動いたら殺す」と言われたのに躊躇なく動きまわったので、人質がグサグサ刺し殺されます。
救いに来たんじゃないのか…?しかも村人が死んだのを王国側のせいにしてるし…。
確かに人質を簡単に殺す王国側がクソなのは事実ですが、動くなと言われて動いたケヤルも問題ですし、そもそも村人が捕らえられたのはケヤルのミスが原因。
迂闊にも騎士隊長を生かしておいたせいでこんなことになったんですよね。復讐ごっこの巻き添えになった村人が気の毒ですよ…。
狂気
「俺は、大好きな故郷の人を殺された被害者だ」
村人が殺され復讐する口実ができたと喜ぶケヤルくん。本当にただの当たり屋ですね。助けに来たんじゃなかったのかよ!
人殺しを楽しむためにやって来たんですかね?だとしたらただの狂人じゃん。
前回、国を良くするとか殊勝なことを言っていたけど、それは口先だけで本心ではないってことで良いのかな?殺しが楽しいだけの異常者だったのかな?
それはそれで結構なのですが、視聴者が彼に共感しづらくなるんですよね。ここまでイカれ野郎だと感情移入が困難。
別に主人公がクレイジーでも構わないのだけど、作中に一人ぐらい共感できる常識人を置いといてくれないと見にくいです。王国側も全員狂人だし、ハーレム要員は主人公全肯定で絶賛するばかり。誰にも感情移入できません。
結果として、視聴者は登場人物たちを引いた視点で見ることになってしまいます。物語に没入できず、他人事として冷めた目で見ることになる。そうなるのは作劇上まずいのでは?
ただ狂人が暴れるところだけを見せられても、視聴者は置いてけぼりだと思いますよ。
結界改造
ケヤルに追い詰められた王国側は結界を発動。中にいる者を閉じ込め体力と魔力を吸う仕掛けになっているらしい。
しかしケヤルは無事で、反対に王国側の兵士たちが苦しみだします。
フレイアに結界を作り変えさせたからだそうです。本来、特殊な宝石を装着した者には効果がないのだけど、作り変えた結果、宝石を装着した者にだけ効果が及ぶようになったみたい。
なにそれ…、そんな簡単に改変できるものなの?
主人公たちの能力の限界が知らされていないから、後出しで何でもできるように思えてしまいますよ。緊張感がないし白けるんだよなぁ。
限界が設定されているからこそ、制約の中で工夫して戦うのを見る楽しみがあるのに。
主人公たちがどういう能力を持っていて、どこまでできるのか。それを伝える描写がないので、展開に説得力がないんですよね。
作者が思いついたことを適当にポンポン置いてるだけのように見えてしまいます。ストーリーや登場人物の行動に必然性を感じない。
あと、チート系作品全般に思うことですが、チートで何でも出来ちゃったら正直話が盛り上がらんよね…。今の所知らされているヒールの制約といえば、死者蘇生ができないことと、若干リーチが短いかなってことぐらいです。
やっぱりな…
ケヤルが王国兵を煽っていると、突然人質の村人たちが苦しみはじめました。既に毒を飲まされており、どう転んでも全員死ぬよう仕組まれていたようです。
この作品世界の連中ならやってもおかしくないですよね。ここは説得力があるシーン。
黒幕のノルンは異常者だと散々言われていたのだから、毒を飲まされているくらいは視聴者の想定の範囲内。人質が魔術で人間爆弾にされ、連れて帰る途中でドカーンっていう展開でも驚かないです。
ケヤルは、最初から人質全員が殺される計画だったことを悟り「これで心置きなくやれる」と発言。
えっ!?今までも別に犠牲が出て構わん感じだったじゃん!さっきから村人を気にせず暴れてたのに、いまさらそれを言う?
主人公の思考回路が謎です。あれでも極力犠牲を出さないように戦っていたということなのかな?
暴動
そんなこんなしていると、コロシアム上空に、フレア王女の巨大な立体映像が現れました。大きなフレアは演説を始め、観客の前で王国がしてきた悪行を暴露します。
ヒゲのおじさんは「この王女は偽物だ」と言いますが、歌声とフレアにしか使えない魔術を披露することで本人証明完了。
正義のために立ち上がれというフレアの言葉に扇動された観客は暴徒と化し、王国兵を襲います。
……え、そんな簡単に暴動が起こっちゃうの!?ちょっと意外ですね。
公開処刑を楽しんでた奴らが急に正義感に目覚めるのか…。まぁ、立ち上がったのは、無理やり集められ処刑を見学させられていた善良な市民だったのかもしれないですけどね。
ただ、あまりにも後先を考えない行動なので不自然な感じがします。国に逆らった罪で処刑されるのは避けられないでしょうし、下手したら家族や同郷者まで皆殺しですよ。自分らもそこで磔にされてる村人と同じ目に合わされるとは考えないのかね?
日頃からよっぽど国に対する不満が溜まっていたのかな?もしくはフレイアが魔術で洗脳したのかもしれないですね。魔術でどこまでできるか説明されてないからね。ひょっとしたら、あの歌は洗脳ソングだったのかも。
あと、フレアの演説がここまで効果的なら最初からやっておけばよかったじゃん、と思ってしまいます。ケヤルの雑な介入によって村人が何人も殺されてから演説を始めたけど、もっと早く始められなかったのかな?
自分の正体に気づいてる?
ところでフレイア本人は、自分が元はフレアだったことに気づいているという設定なんでしょうか?それとも気づいておらず、フレアになりすましてお芝居しているだけなのでしょうか?よく分からんです。
今回の演説シーンを見て気になりました。
普通なら、フレアしか使えない魔術を自分(フレイア)が使えるのはおかしいと思うはずですよね。観客も彼女の魔術を見た時「間違いない!」「こんなことができるのはフレア様しかいない」って言ってたじゃん!
いくら記憶を消したと言っても、「もしや自分はフレア王女だったのでは?」と疑いを持つのが自然だと思うのですが…。ケヤルガが上手いこと情報をコントロールして、強力な魔術は誰でも簡単に撃てるものだと思わせているのかな?
それとも自分の正体に気づいてもなお、ケヤルガ様の奴隷ですぅ~って感じなんでしょうかね?謎。
脱出
結局救出できたのは少年一人のみ。むしろ暴動を煽ったせいで関係のない人間からも犠牲者が出ていそう。何しに行ったんだって感じですよ。
ケヤルガ的には兵士をブチブチ潰してスッキリしたからOKなのかな?
前述の通り、村人は遅効性の毒を飲まされており、助け出しても死ぬように仕組まれていました。目的は「喜ばせておいてから俺を絶望の淵に叩き落とすため」。
「こんなことを考えるのはあいつしかいない」と、ケヤルガは言うけれど、それくらい誰でも考えるんじゃないですか。この世界の人間は性悪なやつばっかだし…。
いや、馬鹿なやつが多いから考えられないのかな?異世界人は知能が低いのか?
この感じだとノルンもそんなに頭が良くないんじゃないかという疑惑が…。現実世界基準だと並の知能があるだけで、異世界では天才扱いだったりするのかも。
一部のなろう作品では主人公を活躍させるため周囲の人間の頭を悪くしていますが、本作の場合、主人公も頭良く見えないんですよね。とりあえずヒールが強いだけ。頭脳戦には期待できないです。
本心が分からない
商人のゴルドマン(偽名)がまた登場しました。この前ケヤルガに使えない薬のレシピを売りつけられ、共同出資者から酷い目に遭わされるだろうと言われていた人です。
いつの間にか仲間に加わってたんですね……。全く描かれてなかったけど、一体どのタイミングで?
商人はケヤルガのことを、「容赦がないように見えて甘い」と評します。裏切った自分を救ってくれたし、毒を飲まされた少年を助けるために金貨を払ったからだそうです。
ケヤルガは、村が滅んだのは自分の責任だし商人を救ったのも手駒にするためだと否定。商人はニコニコ顔で「そういうことにしておきましょう」と返しました。
なにこれ?主人公アゲのために入れたシーンなんですかね?いまさら良い人アピールされても困るんですが……。
前半で散々狂人のような姿を見せておきながら、後半では善人のように描写されるので、どう反応したらいいのか分からないですよ…。
単にキャラが定まっていないだけなのか、狂っているけど演技でマトモな振りをしているだけなのか分かりません。本気で混乱してきました……。
さらにケヤルガは、生き残った少年に自分を恨ませることで生きる気力を与えたいようです。
どういうこと?これもケヤルガの本心ではなく、自分をいい人だと思わせるために嘘をついているということなんでしょうか?
それともセツナの時のように自分と境遇の似た人間には優しいというだけなのか?よく分からんです。
出発
クレハの心配をよそに、ケヤルガたちは、ノルン率いる王国軍の遠征先の街へ向かいます。
自分から敵地に入っていくのか~。まあ、相手が攻撃してくれないと復讐できないもんね。美学()があるからね。
ところでその街には剣の勇者、砲の勇者もいるんでしょうかね?物語上次に倒すべきはその二人だと思うのですが…。
また寄り道してハーレム要員を増やすだけになりそう。
喋る踏み台
前回と同様、ノルンが状況を説明してくれるシーンがありました。
暴動は周りの街にも広がっているらしい。演説が想像以上の成果を上げてますね。民衆の不満が相当溜まってたのかなぁ?
この後、ノルンの踏み台にされているM男が突然真顔で喋り出したのには驚きました。ブヒブヒよがり声を上げるだけかと思っていたけど、ちゃんと喋れたんですね。
ただのM奴隷ではなくノルンの副官か何かだったの?
ここが今回唯一の笑いどころでした。
フレイアの本性
ケヤルガたちの合体シーンは規制済み。寝ている魔獣や夜空が映るだけ。
ただ、その後の流れは興味深かったです。
人を殺してきたことをどう思うか問われたフレイアは「何も思いません」と答えます。
記憶が消えてもフレアの本性は変わっていない。自分自身だけを愛していたフレアが、自分とケヤルガを愛するようになっただけで、他の人間に対する扱いは変わってない。
ケヤルガはそう解釈していましたが、これには半分納得。
フレイアは、4話で魔術を使って兵士を焼いた後ニッコニコで手を振ってたし、なんか変だと思ってました。前からサイコパス感がありましたよ。
ただ冷静に考えると、ケヤルガすきすきなのは変ですよね……。記憶消しただけでそうはならないでしょ?
本性が変わらないのなら、フレイアが好きなのはやっぱり自分自身だけだと思うんですが。どうしてケヤルガのことは例外的に好きになったんでしょうね?主人公だから?それだとやっぱご都合主義じゃん!
ケヤルガの語りから判断すると、記憶を消しただけで他に洗脳とかはしてないっぽいんですよね…。どういうことなの?
おわりに
前半に主人公の狂気描写を入れる一方、後半のシーンでは正気を保っているみたいに描いているし、もうなにがなにやら…。
復讐ごっこを楽しむ異常者にしたいのか、根は優しいダークヒーローにしたいのかよく分かりません。
やっぱり他人の前では良い人を演じてるだけという設定なんですかね?しかし、モノローグでも美学が云々言ってたしなぁ…。
善人っぽい振る舞いが演技なら、演技と分かるように演出してもらわないと混乱します。自分の読解力が足りないだけかも知れませんが……。
次回は魔王と出会うらしいですよ。正直もうこの先の展開に期待できないんですが…。どうせ魔王もハーレムに加わることになるのでしょう。EDの映像とか、公式サイトのキャラ紹介を見たら察しが付きますよね…。