2021年冬のなろうアニメ『俺だけ入れる隠しダンジョン』第9話の感想です。
いやぁ、9話はかなり酷かったですねぇ……。
実は今までクソアニメ呼びするのに多少ためらいがあったんですよ、映像面では評価できる部分があったので。
しかし、9話は迷いなくクソアニメと言えますね。ストーリーが酷いのはいつものことですが、今回は作画も酷い。メインキャラの顔さえ歪んでいます。
全然動かない紙芝居シーンが多いですし、そうでないシーンも違和感を感じさせる動きになっているので見るのが辛い。
ストーリーと作画の両方が酷かった『異世界スマホ』と肩を並べましたね。
第9話「夜会へゴー」感想
本編を冒頭から見ていきましょう。
前回7層の幼女から貰った球形のアイテムが登場。主人公がそれを幼馴染のエマに食べさせると、彼女のスキルが増えました。
え!?それ食べ物だったの!使い方が意外すぎる!
病んでる?
エマは主人公をダンスパーティーに誘います。
ただ、今回のエマは元気がありません。落ち込んでるというか、ちょっと精神的に病んでる感じですよ…。
「他の男の子と踊ってもいいんだ…」
「ノルって、私が誰かに盗まれても気づかなそうだよね…」
「さらわれて変なことされちゃったら、汚らわしいって嫌いになりそう…」
意味深なことを言います。なんか、いつになくシリアスなムードなんですが…。
それにしてもエマの主人公に対する評価が低くないですか?ちょっと意外です。
これまでの主人公の振る舞いを見ていたら、低い評価になるのは当然のように思えます。しかしそれは、エマが人格を持った普通の人間だった場合の話。
今までのエマは、主人公が何をしても許し全肯定してくれる内面空っぽな人形だったんですよね。ついに自我に目覚めたか?
主人公の醜悪な本性を知り、自分は利用されていただけだと気づいたエマが、短剣で主人公に襲いかかる展開が見たいのですが、この作品の場合、絶対そういう展開にはならないですね。
ゲス主人公
主人公が家に帰ると父親がご機嫌斜め。アイテムショップを開くための空き店舗が見つからないようです。
下級貴族なので貸してもらえないとのこと…。準男爵差別設定がまた生かされてます。
それにしてもショップの件は忘れられてなかったんですね…。てっきり有耶無耶になるものかと思ってましたよ。ショップを開いちゃったら、いよいよ学校に行く理由がなくなっちゃうのだけど大丈夫なのかな?
主人公はここでまた「父親いじり」を始めます。
相変わらず感じ悪ぅ…ナチュラルに性格の悪さがにじみ出てますねぇ!
父親はお調子者だし、ちょっと情けない人かもしれないけど、悪い人ではないでしょ。少なくとも主人公よりはよっぽど善良ですよ。店を借りられなかったのは父親の責任ではないのだし、そこまでキツく当たらなくていいじゃん!
主人公のノル君って言葉遣いは丁寧なのに、言動がゲスいんですよね…。本性はド畜生なのに、外面だけ取り繕って善人のフリをしている感じが非常に嫌。「復讐の美学(笑)」のケヤル君にも負けないくらいの異常者なのにね。
クズはクズとしてストレートに描けばいいのに、好青年みたいに描かれているから見ていて不快感が増しますよ。やってることが酷い割に美化されすぎ。
「女達は俺の所有物だ!」って内心では思ってるだろノル君も。
平民は商売不可?
ところで、「準男爵は差別されてるから店舗を貸してもらえない」という点に違和感があります。そもそも貴族以外商売をしてはいけない世界なのでしょうか?
最下級といえども一応貴族の準男爵。それでダメなら、平民は絶対貸してもらえないですよね?平民には農家と冒険者しかいないのかな?どういう世界設定なんでしょうね一体?
ダンスパーティー
この後、「準男爵はパーティーに出てもバカにされるから気乗りしない」という感じで話がつながりました。
パーティー会場のシーンになるのですが、主人公の着てるスーツがえらく今風なんですよね…。そこら辺の紳士服チェーンで売ってそうなやつ。
優雅な貴族の舞踏会かと思っていたのに絵面がおかしい…。現代の話でしたっけコレ?世界観がメチャクチャで混乱しますわ…。こういう形のスーツを着るようになったのは、少なくとも19世紀以降では?
まぁ、ナーロッパはナーロッパであってヨーロッパじゃないし、中世でもないから気にしちゃダメですよね。
予告状
パーティー会場に怪盗ファントムから予告状が届いたことが発表されました。宝石を狙いに来るらしい。
なにそれ!?そういう話になるの?スマホ太郎みたいに名探偵ごっこでもやるのかな?
エマは怯えてますね。意味深。
ダンス対決
エマは以前から貴族の男に交際を求められてるらしい。その男の挑発に乗った主人公は、エマとのデートを賭けてダンス対決することになります。
「勝手に勝負を受けるなんて僕らしくないけど、ほっとけなかったんだ、他の誰かと楽しそうに話すエマを」
と、のたまう主人公。
え!?さも良いことみたいに言ってるけどさぁ、ただ嫉妬してるだけじゃん?エマが嫌そうにしているならまだしも、楽しそうならいいじゃん!
「エマのことを思い、あえて挑発にのってやった」という風な言い草ですけど、主人公の身勝手な行動でしかない。
同意もなしに賭けの対象にされるエマが気の毒です。やっぱり女性には決定権のない世界なんですかね?前から思ってたけど、この作品内では女性が人間扱いされていない。
まるで物みたいな扱いですよ。ハーレム自慢大会に限らず、そういう描写が多いんですけど、大丈夫なの?
今回の件でもエマは賞品扱い。これぞまさにトロフィーワイフ?
チート
普通に踊っても勝ち目がないと考えた主人公は、スキル「舞踏術」を作り自分に付与しました。結局実力で勝負するのではなく、貰い物の能力を使って勝つのね……。ズルい!これぞチート!
あと、肝心のダンスシーンでは、絵がほとんど動いていないです。シャンデリアや観客を映してお茶を濁しているのがなんとも残念。まあ、ダンスは作画コストが高そうだし仕方ないですね。
怪盗が人をさらう世界
文字通りチートをしてダンス対決に勝利した主人公は、エマにキスをしようとします。そこに突如、怪盗ファントムが出現!
宝石と「エマを」盗みにきたと言います。
エマの「私が誰かに盗まれても気づかなそうだよね…」って、そういう意味だったのかよ!
「予告状が来てたんだ!なのに僕は何も気づかず」と言う主人公だけど、普通気づくわけねぇだろ!気づいたとしたら想像力がたくましすぎる。
怪盗が人を盗みにくるって、いくらなんでも荒唐無稽すぎる!普通そういう発想にはならんわ。
もしかすると、怪盗が人をさらうのが普通の世界なんですかね?日常的に人がさらわれてるの?展開が支離滅裂すぎやしませんか?
この後、あっさりとエマがさらわれ、宝石も盗まれました…わけがわからない…。
ただ、主人公が怪盗に蹴り飛ばされたシーンは「ざまぁ感」があって良かったです。
追跡
主人公は、後にハーレムに加わるであろう少女、レイラと会話します。彼女は、別の冒険者ギルドに所属する実力者らしいです。エマを救うため共闘することに。
怪盗を追いかけ屋根の上へ行きます。
「エマは大事な幼馴染だ!見捨てるくらいなら死んだほうがマシだ!」とか言ってますが、視聴者的には主人公が消えてくれたほうが嬉しいんですよね。そうなったほうがアニメが面白くなると思う。
ヒロインたちには割と魅力があるのに、クズ主人公を盲目的に崇めているせいでイマイチ好きになれません。見ていて萎える。女の子たちだけで百合展開をやってくれたほうが嬉しいです。
あと、主人公のこれまでの行動を見ていると、エマのことを大切に思っているとは信じがたい。散々雑な扱いをしておいて、いまさら大事だと言われても疑問を感じてしまいます。
この主人公、発言と本音が乖離してるんですよね。心にもないことを言うのは、これまでの話からも明らかです。
例えば前回、「幼い子好きな趣味はない」と言っておきながら、幼女とキスしたらLPが増えました。
善人面するのに慣れているというか、自分を良く見せるために平気で嘘が言えてしまうんですよね。そういうところもサイコパスっぽい。
鬼畜系主人公
怪盗女を倒してエマを救出!
と思いきや変装した共犯者がやってきて、主人公に腹パンを食らわせます。
今回は主人公が殴られるシーンが多くてスッキリしますね。
共犯者のオッサンは、以前街でエマを見て一目惚れしたらしく、誘拐して妻にしようと企んでいました。見た目も行動も鬼畜系エロゲの主人公みたいで面白いです。
オッサンの繰り出す強力なスキルにも屈せず、大切な幼馴染を救うため必死で戦う主人公!…という感じで感動的に演出したいようなのですが、正直言って白々しい。今までの主人公の言動を忘れてないからな!
幼馴染一筋という展開にしたいのなら、他の女の子とイチャイチャさせんなよ!
そういった点に関して『賢者の孫』は、しっかりしていたと思います。主人公は水色髪の子(シシリー)以外に一切興味を示しませんでした。あっちもあっちで、色々ガバガバな部分はありましたけどね。
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処女厨
なんやかんやあって無事救出されたエマ。その後、彼女が発したセリフに強い違和感を覚えました。
「私、変なことされちゃったんじゃない?汚らわしいって思ってない?」
ヒロインにそれを言わせるか!?ちょっとやめてくれよ~。
これってつまり、エマが処女厨的価値観を内面化してるってことですよね?エマは「他の男が手を付けた女は汚らわしい」と考えているということになるのですよ。
主人公が処女厨的発言をするのは百歩譲って分からんでもないです。しかし、ヒロインの側にそれを言わせちゃいかんでしょ。
この作品の世界は婚前交渉NGの貞操観念に厳しい世界には見えないです。ということは、主人公が「非処女ってキモいよね」みたいな発言を普段からしていて、それを聞かされた結果、エマも処女厨的思考になったってことですかね?
誘拐犯のオッサンが汚らわしいのは分かります。でもエマはただの被害者なので、別に汚らわしいなんてことはないと思うんですよね…。キモい価値観でエマを悲しませないで!
穿った見方ですが、「中古ヒロインは嫌だ、処女じゃないとダメ」という視聴者を喜ばせるため、エマにそういう発言をさせたんでしょうね。
主人公(≒読者、作者)の欲望を満たすための道具としてヒロインが用意されてるのが透けて見え、嫌な気分になりましたよ。
やっぱりエマは主人公に都合のいいムーブしかしない人形扱いなんですね。不愉快です。
追記:漫画版では陵辱されたエマ
後で漫画版5巻を読んで分かったのですが、アニメでは怪盗絡みのシーンが大幅にカット&改変されています。
なんと漫画版には、誘拐犯のオッサンによって実際にエマが辱められるシーンがありました。胸を揉まれたり、何発もビンタを受けて顔が傷だらけになったり、服を切り裂かれたり…。
個人的には漫画版のシチュエーションの方が興奮するのですが、多くの読者には不評だったようです。
ネット上のレビューを見ると「NTRは最悪」「主人公より先に胸を揉むなんて許せない」など低評価の嵐。やはり世間では処女厨的嗜好を持つ者が多数派のようです。
そのような意見を受け、アニメ版では処女厨に配慮した表現に変更されたのだと思います。漫画版の怪盗回はもっと長く、興味深いシーンもあったのですが、アニメ版ではバッサリとカットされています。
なお、救出後の「私、変なことされちゃったんじゃない?汚らわしいって思ってない?」のセリフは漫画版にはありません。
処女厨への接待が過剰だなと思っていたら、裏側にはそんな事情があったのですね。
店が見つかる
怪盗を捕まえた主人公は、伯爵からのお礼として、月20万リアの店舗を2万で貸してもらえることになりました。
でも前に公爵家から1億リア貰ってたよね…。
値引き前の月20万リアでも、年240万リアだから、約41年間借りられる計算になります。全然余裕じゃん。
月2万に値引きされた後だと410年以上ですよ。
店舗にお金がかかると言っても結局その程度なんですね。「大金が手に入ったからアイテムショップを開こう」になる理由がやっぱり分かりません。
とんでもない大金を貰ったのだから、ムキになってお金を稼ぐ必要はなさそうですし、お金を増やしたいにしても他にいくらでも効率的な方法があるはず。あえてショップを開こうとするのは謎。
店舗を借りるのではなく、建物ごと買い取って幼馴染と大家さんをやったほうが儲かるのでは?
それに、ダンジョンで入手したレアアイテムを換金する手段は他にもありそう。もし自分で店を開かないと換金できないのだとしたら、他の冒険者たちはどうしてるんでしょうね?
主人公は少しでも高く売りたいからわざわざ店舗を借りてショップを開くのでしょうか?
設定に突っ込むのは野暮?
なお大金を貰う前、第2話の時点ですでに矛盾だらけでした。就職のための学校に入るため、冒険者ギルドでお金を稼ぐというのは、よく考えると変。本末転倒です。
ギルドで稼げるなら学校行く必要ないじゃんという。知識を増やしたいとかなら分かるけど、準男爵差別で司書になれなかったから就職のために通うと言ってるんですよ。
「就職のために通う」発言は、今回のショップを開く件とも矛盾しますし、もう訳がわからないですよ。開店したら学校はやめるのでしょうか?
学園モノにしたいというメタ的な理由で通わせてるのかなとも思ったのですが、学校生活のシーンがほとんどないんですよね…。
この作品には不合理な展開が多すぎてイチイチ気にしていたら見れませんね。
遊んで暮らせるだけの大金が手に入ったので、学校もお店も、あくまで道楽としてやっていると考えたほうが納得できます。今の所はそういうことにしておきましょう。
おわりに
次は温泉回のようです。嫌な予感がしますね…。
『百錬の覇王』アニメ第6話の温泉回は非常に気持ち悪かったです。こっちも温泉回という名のソープ回にならないか心配ですよ……。