【原作書籍版】『俺だけ入れる隠しダンジョン』第1巻の感想

2021年冬にアニメ版が放送された『俺ダン』こと、『俺だけ入れる隠しダンジョン』(著:瀬戸メグル、イラスト:竹花ノート)の原作小説書籍版、第1巻の感想です。

Web版(「小説家になろう」連載)は作者によって削除されているので、紙の書籍を買って読みました。なお、小説版と漫画版には『~こっそり鍛えて世界最強~』というサブタイトルが付きます。

アニメ版は全話視聴済み。漫画版は5巻まで読みました。

今回の感想はアニメ版を見ている前提で書きます。あらすじなどは、前の記事を参照していただけると幸いです。

漫画版『俺だけ入れる隠しダンジョン』感想&アニメ版との比較(5巻まで)

【全話視聴】アニメ『俺だけ入れる隠しダンジョン』振り返り感想

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全体的な感想:アニメ版より好印象

アニメ版が酷かったので全然期待していなかったのですが、意外に良かったです。小説版は普通に読める。

序盤は盛り上がりに欠ける展開で、どうでもいい内容がダラダラ続くので退屈でしたが、中盤で英雄学校に入った辺りから結構いい感じに。割と面白かったです。

積極的に人に勧めたいとは思わないけど、決してつまらない作品ではなかった。

アニメ版を見た時に感じたようなヤバさはなかったですね。話の大筋は変わらないものの、不思議なことに主人公のノルくんがそこまで不快じゃない。

アニメ版のノルくんは、ヒロインたちを道具扱いしつつ、貰い物のスキルでズルをして美味しい思いをするクズ野郎にしか見えません。にもかかわらず周囲から善人扱いされるという不条理な内容だったので、見ていて非常に不愉快でした。

一方、小説版のノルくんにはあまり嫌悪感を抱かなかったです。やってることはアニメ版とそれほど変わらないのですけどね。

小説版は主人公の一人称視点で書かれているからかもしれません。主人公が書いた日記みたいな感じ。彼の思いや考えていることも書かれている。

アニメ版の描写を見る限りでは傲慢なクズ野郎にしか見えないノルくんですが、文章で心の声を読むと意外にマトモな思考をしているんだなと感じました。

まあそれでも聖人君子とは言い難く、クズと言えばクズなのですが、アニメ版ほど悪い印象は受けなかった。

そうそう、アニメ版第1話冒頭には、主人公が父親を「クソオヤジ」と罵倒するシーンがあり、初っ端から好感度が下がりましたが、あれは小説版に存在しない描写です。漫画版にもなかったのでアニメスタッフによって付け足された要素だと思われます。

小説版では、普段「父上」呼びしている所を「オヤジ」と言ってしまいそうになるだけ。決して「クソ」と罵倒してはいません。「クソ」が付くかどうかで随分印象が変わるんですよね。なぜ主人公の第一印象が悪くなるような改変を行ったのか謎です。

(Web版は削除済みなので未確認。そちらでは「クソオヤジ」と書かれていたのかもしれませんが、穏当な表現の書籍版が2017年に出ているので、あえて「クソオヤジ」を採用したのなら、それはスタッフに何らかの意図があったと考えて良いでしょう。)

お色気&支離滅裂さもマシ

アニメ版は不自然なお色気シーンと支離滅裂なストーリーが合わさり、とんでもない茶番劇になっていました。

ところが意外なことに、小説版のお色気描写はあっさりとしたものでした。エロを前面に押し出している感じではなく描写も淡白なのであまり気持ち悪さは感じなかった。

また、アニメ版には支離滅裂な展開や意味不明な設定が多く、「突っ込みどころ満載」でしたが、それらの一部は小説版でしっかり説明されています。アニメ版を見ただけでは意味が分からなかった部分も腑に落ちました。

アニメ化の際、説明を省略したせいで意味不明に要素も少なくない感じ。原作小説は意外と矛盾点が少ない印象です。

とはいえ、原作時点でメチャクチャだった要素も存在するんですけどね。それについては後で書きます。

アニメは漫画準拠

漫画版を読んだ際、「アニメ版は漫画版を映像化した感じなのかな?」と思ったのですが、小説版を読んでその予想が正しかったことが確認できました。

アニメ版で使われたのは「小説版のストーリー」ではなく、「コミカライズ担当の漫画家によって再構成されたストーリー」でした。小説版を元にしたアニメ化ではなく、漫画版のアニメ化です。(終盤はアニオリか?)

先に書いたように、小説版の序盤はダラダラとした展開で、はっきり言って退屈です。漫画版ではそういった冗長な部分をカット&再構成して読みやすくしてあります。物語のテンポが改善され、とっつきやすくなっている。

また、原作に複数存在した「ざまぁ」シーンを削除したのは良改変だと思います。

一部のなろう読者が大好きな「ざまぁ」展開ですが、コミカライズして一般向けに売ろうと思ったら邪魔にしかならない要素です。なろうに毒されていない一般読者が「ざまぁ」展開を見たら気持ちよくなるどころかドン引きしますよ。主人公が嫌なヤツに見えるだけ。

心の声カット問題

そんな感じで漫画版の改変は評価できるのですが、それでも主人公に対する不快感で言うと小説版が一番マシだという……。絵になると主人公を三人称視点で眺めることになるので、どうしてもクズさが目に付く…。

また、一人称の小説で読めば分かる心の声も、漫画になると大幅にカットされることになります。せっかく絵があるのに、何でもかんでも文字で書いてしまったらコミカライズの意味がないですからね。

ただ小説版では、主人公の心の声のおかげで不快感が緩和されていました。端から見ればクズ野郎の主人公も、心の中ではある程度悩んでいることが分かり同情の余地が生まれます。

漫画になって内面描写が削られることで、主人公の嫌なヤツ感が強まりましたね。

それでも漫画版ではある程度心の声が書かれていました。問題はアニメ版です。そっちでは主人公の内面描写の大部分が削られました。結果、主人公のノル君はクズのサイコパスにしか見えなくなってしまったという…。

本当は結構葛藤してたりするし、優しさを感じさせる描写もあったのですけどね…。

映像作品の場合、説明ゼリフを多用するのは良しとされません。可能な限り映像で伝えるのが優れた映像作品だと考えられているので、心の声のカットも仕方ないのでしょう。ただ、もう少し心の声を残しておけば、ノルくんがここまで嫌われることはなかったように思います。

小説版では微クズ程度で済んでいるのに、アニメ版では完全な異常者。「自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪」という感じになってましたよ。一部の人から「回復術士(ケヤル)の方が自分を悪人だと自覚しているだけマシ」と言われるレベル。

文章について

ネット上では「なろう作家は日本語が書けない」とか、「メチャクチャな文法や誤字脱字が大量に残ったまま書籍化される」とか言われているので警戒していましたが、本作は大丈夫でした。

簡潔で読みやすい文章ですね。回りくどい表現は一切なく、超シンプル。サクサク読める。

会話文で誰が話しているか分かりやすいのも良かったです。

キャラの口調にそれぞれ特徴があるので、複数人で喋っていても誰のセリフかひと目で分かります。キャラ数が多いのに、しっかり喋り方に違いを出せているのは素直に上手いなと感じました。

ただ、情景描写が全然ないのは気になります。映像的なイメージは読者に丸投げしているのかな?想像におまかせしますという感じ?

あまりにも情景描写が少ないので、脳内に思い描く映像が真っ白ですよ…。殺風景な感じが凄い。どっかのレビューで漫画版の背景が真っ白だと批判している人がいましたが、ある意味原作に忠実な描写と言えるかも…。

本作のキモであるはずの隠しダンジョンの様子も、少ししか描写されておらず残念です。

「ダンジョン内は、意外にも普通の様相を呈していた」という一文を読んで、思わず「普通ってなんだよ!」と突っ込みたくなりました。これは、「あなたがプレイしたことのあるゲームのダンジョンを思い浮かべてください」という意味なんでしょうか?

一人称視点の文章だから、本当に主人公が書いた日記みたいな印象で、他人に読ませる文章という感じじゃないんですよね。主人公は自分で見てきたから簡素な描写でもイメージできるのだろうけど、そうじゃない読者にはイメージが一切伝わりません。

冒険者ギルドについても、「悠々としていて受付カウンターがいくつもあった」と書いてあるだけ。これを読んだ時は、広大な真っ白い空間にカウンターだけが複数存在するという、映画『マトリックス』のワンシーンのような風景を思い浮かべましたよ…。

英雄学校の様子もほとんど書かれていないので、鉄筋コンクリート造の現代の学校を想像して読むことも十分できてしまう。自由な想像の余地があって素晴らしいと捉えるか、作者が行うべき描写を放棄して読者に丸投げしていると捉えるかは読み手次第。

捉え方によって評価が正反対になりますね。個人的にはもう少しちゃんと情景描写してくれよと言いたいです。

ここまで描写が薄いとコミカライズ担当漫画家の苦労が忍ばれます。キャラクター以外のビジュアルは、ほぼゼロから作り上げたということになりますよね?

建物や街の様子は文字で書かれていないので漫画家が想像して描くしかない。絵で世界観を作り上げた漫画家は第二の原作者と言っていいのでは?アニメのビジュアルも漫画版準拠だったので、貢献度はかなり高いと思います。

それにしてもなろう小説って、みんなこんな感じなんでしょうか?ここまで淡白な描写が普通なの?

なろう作品のアニメ版、漫画版には触れてきましたが、原作小説は少ししか読んだことがないので判断に困ります。従来のライトノベルより遥かにライトな文章ですよ…。これほどまで軽くないと、なろう読者は読んでくれないのかな?

面白かった点

小説版の面白かった点や、アニメでは説明されていなかった設定について書きます。

黄金スライム

アニメ版第11話には、ノルくんがダンジョンで倒した黄金スライムをヒロインたちに食べさせるシーンがありました。

得体の知れないモンスターを食わせるなんてサイコ野郎だなぁと思ったけど、スライムが普通に家畜として飼育されている世界だったようです。食べ物という認識が一般的らしい。スライム牧場があると書いてありました。

ちなみに小説版第3話で家族に食べさせています。

ヤリマン

オリヴィア師匠は快楽まみれの人生を送ったようです。いい男といっぱい楽しんだヤリマンらしいよ。処女厨が怒りそう。

ちなみに漫画版のエマが怪盗に陵辱されるシーンを見て発狂しているレビューがありました。

殺伐とした世界観

上級貴族は特殊なアイテムを使い、優秀なスキルを身につけた子供が生まれるように選別を行うという設定が書かれていました。もろにデザイナーベビーですね。

倫理的にマズいことが平気で行われてる世界。まあ、野蛮なナーロッパ人が進んだ技術を手にしたらそうなるよね…。

しかし、基本的に明るくて緩い感じの作風なのに、準男爵差別とかデザイナーベビーとか、所々やけに重たい設定をブチ込んでくるのは謎です。

アニメを見た時も、お馬鹿な内容の割に殺伐とした世界観だなと思ったけど、原作由来なんですね。

冒険者ギルドの鑑定書

アニメ版では第2話の内容です。ギルドに登録する際、持っているスキルを紙に書かなければなりません。しかし、自己申告制なのでいくらでも嘘を書けてしまう。

なんで最初からスキルを見れる鑑定書を使わないのかと、アニメを見て疑問に思った人も少なくないでしょう。

原作にはその説明がありました。鑑定書は魔道具なので回数制限があり、オーディンでは疑わしい人にしか使わないんだって…。一応設定はあったのね。

でもこれ、言い訳みたいな設定ですよね。鑑定書に回数制限がなく、最初からスキル開示をしまったら、受付嬢ローラと賭けをしてパンツを見るシーンが書けなくなってしまう。だから、回数制限があることにしたんじゃないの…?

性欲じゃなくてもLP回復?

小説版には母親との抱擁でLP回復するシーンがあります。おいおい…。でも性欲じゃなくてもいいみたいな書かれ方だったから近親相姦的なアレではないのかな…。

アニメ版では、性欲・食欲・物欲が満たされたらLPが回復するみたいな説明をされてたけど、原作ではその3つに限らず幸せさえ感じればOKみたいに書かれていますね。微妙にニュアンスが違うのか?

日本からの転生者?

何百年も前に異世界から来た料理人が、醤油や味噌を伝えたという設定があるようです。

エマはバファリン

「エマの半分は優しさで出来てる」と褒める主人公。

アニメ版の視聴者から、「主人公はエマをまるで頭痛薬(バファリン)のように扱っていて酷い」と言われていたけど、原作ですでにバファリン扱いされていたとは…。これって公式設定だったのね!

ところで小説版のエマはギャルぽいです…。挿絵がなかったら、もっとチャラい感じの外見を想像してました。貴族の服(?)を着崩してそう。

たぶん口調の関係でギャルっぽく感じるのだと思います。

壁は崩れない

アニメ版第4話には、壁が崩れ子供が下敷きになるシーンがありますが、小説版では壁が崩れず、看板が落下します。

公爵令嬢マリア関連の説明

アニメ版第4話、5話を見て感じた疑問のいくつかは小説版で解説されていました。

まず、「マリアの家は金持ち貴族なのに呪いを解ける人を探さなかったのか」という疑問について。

これは「王族にも協力してもらい、優秀な解呪士を何人も集めた」けどだれも呪いを解けなかったと書かれていました。公爵家は国外でも呪いを解ける人を探していたようです。

なるほど~。でもやっぱり主人公と聖女ルナ以外は解呪できないという設定でしたか…。それはそれでご都合主義的な感じがしなくもない。二人のスキルは世界トップクラスのものなんですね…。

意地悪な見方をすると、主人公と聖女の見せ場を作るために他の人間が無能にされているようにも見えます。

次に、「なぜ初対面のマリアが主人公をやけに気にかけていたのか」という疑問について。

マリアは、石弾を自在に使えるノルはオリヴィアの末裔かもしれないと思ったから目を付けていたらしいです。オリヴィアの末裔なら編集スキルで呪いを解けるのではと思ったんですって。マリアさんの一人称視点パートがあり、色々説明してくれます。

しかしオリヴィアって意外と有名人なんですね~。

それはさておき、マリアの件に限らず、アニメ版では説明を省略したせいで支離滅裂&ご都合感満載になっている部分が多めです。実際、小説版もご都合主義ではあるのですが、最低限の言い訳みたいな設定は用意されているので、そこまで気にならなかったです。

ハーレム自慢大会があっさり

アニメ版では第5話のAパートを丸々使って描かれていたハーレム自慢大会ですが、小説版では10ページと3行で終わりました。結構短いエピソードです。

観客が女性参加者の容姿を罵倒するという問題の場面は小説版にもありますが、主人公の「エマたちがこんな感じで陵辱されちゃったら…」というキモくて意味不明なセリフはありません。

この場面に限らず、メディアミックスの際に無理矢理お色気要素を追加したせいで作品の印象が悪くなっているような気が……。

パンをフーフーするところも文字で読むとそこまでキツくなかったです。基本小説版は描写があっさりしているので嫌悪感を覚えにくい。

あと、主人公が自分だけ何もしていないことを申し訳なく思っている描写があるんですよね。これだけで主人公の印象が随分違いますよ。

アニメ版では、ヒロインたちのおかげで優勝できたのに自分の成果だと思っているやべぇやつにしか見えなかった。アニメ版の主人公はどんなに好意的に見てもクズです。

気になった点

アニメ版と比べれば意外に悪くない小説版ですが、おかしな部分は存在しています。

レベル概念の存在意義

主人公より圧倒的にレベルの高い魔物(デッドリーパー)をなぜか倒せてしまうシーンは小説版にもありました。23レベルの主人公が99レベルを倒してる。

ゲームみたいな世界観はまだ許容できますが、格上モンスターを瞬殺できてしまうのではレベルの概念を出す意味がないように思います。もしこれがRPGだったら、ゲームバランスがメチャクチャなクソゲーじゃないですか?

まあ、頑張れば擁護できないこともないです。「デッドリーパーは即死攻撃が使える代わりに防御力や最大HPが極めて低い魔物」ということにすれば筋は通ります。

でも、そんな特殊な設定を付けるのなら、分かりやすいレベルの概念を出す意味がないですよね。

「レアな魔物の素材を提出した主人公SUGEEEE!」をやりたいがために設定が歪められているような気がします。オリヴィア以外の普通の人間にとっては超凶悪魔物という認識ですし、低レベルの主人公が石をぶつけるだけで簡単に倒せちゃマズいでしょ…。

ざまぁ要素

アニメ版、漫画版には少なかった「ざまぁ」シーンですが、小説版には結構ありました。その中から面白かったシーンを2つ紹介します。

まず、アニメ版にも登場し、主人公を見下してきた伯爵家の娘レノアに対する「ざまぁ」。英雄学校の入学試験で組んだ黒髪ロングの少女ですが、小説版では偽名を使っていました。

主人公は鑑定眼で本名を見抜き、偽名を使っていることを責めた後、歯に果物が挟まっていることを指摘し恥をかかせます。読む人によっては、いい気分になれそうなシーンですね。

次は、ライバルギルド、ラムウの冒険者たちに対する「ざまぁ」。

ゴブリン退治に行った主人公は、イケメンなお兄さんと優しそうなお姉さんたちに出会います。初めは感じが良かったのですが、主人公の所属ギルドがオーディンだと知った途端に態度が一変。主人公を見下し、罵倒を始めます。

オーディンとラムウってそんなに関係が悪いんですかね?いくらライバル関係にあると言っても、所属する冒険者を罵倒するなんて人格やばすぎ…と思わせるのが作者の意図なのでしょう。

なろうに登場する噛ませ犬はみんなこんな感じですね。あからさまに嫌なヤツ。ヘイトを集めて主人公に倒され、読者をスッキリさせるためだけに存在する哀れなモブです。

まあ、この作品は人間同士で殺し合いをやるような内容ではないので、殺されないだけマシか…。『賢者の孫』のカートくんや『魔王学院の不適合者』のゼペスくんは哀れでしたね。

さて、主人公が噛ませ冒険者たちに何をしたかと言うと、巨大な石弾を見せて驚かすだけ…。普通、石弾のサイズは調整できないという設定があるので、冒険者たちは唖然とします。

さらに主人公は、「まさか石弾の石を大きくする方法を知らないんですかー!?」と煽り、苦虫を噛み潰したような顔をする冒険者たちの前でガッツポーズをしてご満悦。ざまぁ!

いや、ノルくん…やることが小さすぎるよ…。石弾は大きくても器が小さい。これじゃどっちが噛ませ犬か分からないですよ。なろう愛好者はこのシーンを見てスッキリするんでしょうか?個人的には小物っぽくて嫌だなぁ…。

小説版のノルくんは概ねアニメ版より印象が良いのですが、こういった感じの悪いシーンもあるんですよね。

ぼったくり?

虹色バッタを買い取りたいという金持ちのバッタ収集家に、通常の三倍近い値段をふっかけます。ちなみにふっかけたのは同行していたエマです…。主人公もビビっていましたが見事取引成立で大儲け。

また、レノアに高値(百万リア、入学金の三倍以上)でデッドリーパーの素材を買い取ってもらう場面もありました。主人公は十万で売るつもりだったけど、金持ちのレノアが自分から百万を提示して買ってくれたという美味しい展開。

なんか、この二つの件を見ると、主人公が悪者にならないよう配慮されている感じがしますね。自分でふっかけたら感じが悪いからエマがやってくれたり、向こうが勝手に高い金額を払ってくれたり。

まぁ、法律を破っているわけではないし、主人公は貧乏貴族なのでぼったくりも仕方ないですね。持たざる者が生き残るために持てる者から奪うのはやむなしか…。

貴族ってなんだよ!

この作品世界の貴族が何なのかよく分かりません。貴族なのにどいつもこいつも就職就職と言ってるんですよね。現代の庶民の感覚です。

貴族ってそういうものじゃないでしょ?自分の知ってる貴族の概念と違う。

90ページに「普通、貴族っていうのは土地を持ってたり、どこかの村を領有してたりして不労所得があることがほとんど。でもウチは名ばかり貴族。残念ながら働かないと食っていけないのだ」という記述があります。これにはまあ納得。

しかし、貧乏貴族ではない男爵家の娘エマや、公爵令嬢マリアまで就職しようとしているんですよね。254ページに「わたくしの病気が治っても、その時に無職だったら困りますわ」というセリフがあります。

準男爵のノルくん以外も就職しなきゃいけないって、一体どういう世界観なんでしょう?

領地経営が貴族の仕事であって、どっかに雇われて働くサラリーマンとは全く立場が違うでしょ?貴族ってそれ自体が職業みたいなものなのでは?中世ヨーロッパの貴族って軍の指揮官的な側面もありますし…。

この作品の貴族は、どの地域の、どの時代の貴族を参考にしているんでしょうね?ただのお金持ち的な意味合いしかないのかな?

英雄学校の謎

アニメ版を見て存在意義がよく分からなかった英雄学校ですが、小説版を読んでも分かりませんでした。

卒業後の就職先が、「冒険者、迷宮探索者(ダンジョンシーカー)、傭兵、衛兵、魔物ハンター、王宮騎士など」と書かれていましたが、衛兵、王宮騎士は除いて、学校を出なくても就けそうな職業ばかりなんですよね。

そもそもさっき書いたように貴族が就職する必要ある?

あと、すでに主人公は冒険者、迷宮探索者になってるんですよね!何のために通ってるのか意味が分からないですよ。存在意義が謎の学校です。

ちなみに平民でも一応受験はできるらしい。

誤字?

基本的に文章は整っていましたが、一箇所だけ目立つ誤字がありました。

49ページに「ノアは焦ってないね?」というエマのセリフがありますが、文脈的におそらく「ノル」の間違いだと思います。レノアはその場にいないですし。

おわりに

アニメ、漫画、小説の順に触れてきましたが、アニメ版が一番酷い気がします。メディアミックスが進むごとにヤバい部分が増したような…。小説版は意外に無難な印象を受けました。

文章で読む分にはそれほどキツい感じじゃなかったですね。冗長な部分はあるけど、普通に楽しく読める。

映像化向きの作品ではなかったのかもしれませんね。どちらかと言えばスローライフ系で、文章でさらっと読むくらいが丁度の軽い内容です。重厚な設定や面白いストーリーが存在するわけではない。

アニメ化するのが難しい内容だったのかな?文字として読んだら面白い内容も、動画になって声がついたら、ひたすら不愉快で寒いものになってましたね。不思議。

アニメ化するにしても、ショートアニメで軽く流す感じだったら良かったのかもしれません。ストーリーものとして長い尺を使ってやるのは無理があったか?

それにしても、どういった経緯でアニメ化されたんでしょうね?イラストレーターがVtuberもやっている人気者だから、そっちの関係でアニメ化されたいう噂もありましたが、真偽は不明です。

あと、漫画、アニメはお色気を前面に出していたけど、原作小説の面白さってその部分じゃないと思うんですよね。メディアミックスの際、中途半端にエロを入れたせいで、焦点が定まらない妙な作品になってしまったようにも思います。

今回は1巻の感想でした。

なおアニメ終盤がアニオリなのか確認したかったので、紙の書籍を最新巻(6巻)まで購入済み。

1、2巻は中古だけど、3巻以降は新品を買ったので高かったです。

【回復】など従来のラノベサイズのなろう書籍と違い、『俺ダン』はサイズが大きいやつなので1000円以上するんですよね。紙の6巻は税込1430円…。(電子書籍はちょっと安いです。)

漫画版はレンタルにあったけど、小説版はなかったから仕方ないね…。

読み終えたら感想書きます。

では、また。

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