なろう系微エロ漫画『転生隠者はほくそ笑む』第1巻の感想

なろう系漫画『転生隠者はほくそ笑む』単行本第1巻の感想です。

ネットのレビューによると相当個性的な作品らしく、気になったので買って読んでみました。なお、1巻には5話まで収録されています。

本作はヤングドラゴンエイジ(季刊雑誌)連載作品ですが、1話と最新話はコミックウォーカーで読めます。

外部リンク:転生隠者はほくそ笑む 無料漫画詳細 – 無料コミック ComicWalker

原作はノクターンノベルズ連載のR18小説。書籍版がオルギスノベルから発売されています↓


転生隠者はほくそ笑む 1(オルギスノベル)

原作:住須譲治、キャラクター原案:逢魔刻壱。漫画版の作画は齋藤ちあき(敬称略)。

作品概要

コミックウォーカーに載っている作品紹介を引用します。

女神の力によって、俺はVRMMORPG「ヴァルキュリア・クロニクル」の世界に転生した。
どうやら現実世界では社畜人生による過労死で死んでしまったようだ。
元の身体もない…となれば欲望に忠実に生き、気にいった女キャラとダンジョンを造って気楽な(爛れた)性…もとい生活を送ってやる!

ざっくり言うと、ゲームの世界に転生した主人公が気に入らない相手を殺戮しつつハーレムを作る話です。チート無双系で、主人公は魔術も剣術も最強クラス。戦闘で苦戦することはなく、一方的な蹂躙が描かれます。

エロ描写がありますが、漫画版は全年齢対象なのでそこまで過激なシーンはありません。一応乳首は出ますし、合体を匂わせるようなシーンは描かれますが、あくまで微エロという感じ。

なお、人間をバラバラに切り刻んで殺すスプラッター系描写があるので苦手な方は注意。4話から突然そっち系の描写が入ったので驚きました。まぁ、リアル寄りの絵柄ではないのでそれほどグロくはないのですけど…。

5話までのあらすじ

1巻に収録されている5話までの展開を手短にまとめます。

転生した主人公が、冒険者ギルドで受けた依頼をこなしつつチート能力を試してみると、威力が高すぎて「ギルドレベル」が上がってしまい、強制依頼で洞窟の調査をさせられることに。

洞窟に入ると第一王女と姫騎士がゴブリンに襲われていたので救出。再びギルドから出された依頼によって王女たちのパーティを護衛することになります。

その後、街に戻った主人公は奴隷オークションに参加したり、金持ち貴族の馬車を襲撃し殺戮を行ったりして1巻はおしまいです。

全体的な感想

意外に悪くないという印象。万人におすすめできるような内容ではなかったけど、まあまあ楽しめました。

読んでいて引っかかる部分は多かったものの、途中で飽きてしまうということはなかったです。少しだけ続きが気になる展開でした。ほんのりエロいのもいいですね。

だだ、一回読んだだけでは世界観や設定がよく分からなかった。説明はあるんですけど、全体像が見えてこないというか、「原作既読者向けなのかな?」という印象。所々エピソードが端折られているような気がしました。

個人的に嫌いではない作品ですが、作風が独特ですし、物語としてのクオリティも高いとは言い難いです。購入を検討している方は、無料公開されている分を読んで絵柄や作風を確認するのがベターだと思います。

チート無双が大好きな人、エロ本は買えないけどちょっとエロいのが読みたい人、ネタとして風変わりな漫画を読みたい人は、満足できるかもしれません。

一方、普通の良作が読みたい人は他作品を選んだほうが良さそうです。

以下、作品の内容に踏み込んだ具体的な感想を書きます。ネタバレ注意。

激ヤバ主人公

本作の主人公カノンはヤバい…。作中で最も注目すべき要素かもしれません。

なろう系主人公の中にはクズや畜生もいますが、この主人公はレベルが違います。酷すぎて一切の好感が持てませんでした。

彼は無気力かつ冷笑的な男で、常に不機嫌そうな顔をしています。

しかも、情緒不安定。意に沿わないことが起こると「ビキッ ビキッ」と青筋を立て、「ダン ダン ダン」と地団駄を踏むヤベーやつです。

また、歪んだ性欲を抑えようとはせず、出会った女性を罠にはめハーレムに加えてやろうと考えたり、スキルを使って風呂を覗いたりします。

さらにこいつ、マジモンのサイコパスなんですよね。イビキがうるさいという理由で勇者を殺そうと考えるのは序の口。

命乞いしている人物(貴族に雇われただけの下っ端)を容赦なく殺害したり、死体を落として脅しをかけたり、切り落とした生首を掴んでイキったりとやることがエグすぎる。

どこからどう見ても異常者ですし、振る舞いは悪党のそれです。

現代日本からの転生者なのによくそんなことができますね…。正直呆れてしまいましたよ。ゲーム感覚なんですかね?

しかも、人体をバラバラに切り刻んだ後の感想が、

「解体」作業って大変なんだな

ですよ。完全にシリアルキラーの思考じゃん!怖すぎる…。

「なろう読者は主人公がクズじゃないと感情移入できない」という説を聞いたことがありますが、本作のガチサイコ主人公に感情移入できる人がどれだけいるのでしょうか?

これって第三者視点で異常者を眺めて楽しむという作風なのかな?

ここまで狂った主人公はなかなかいないので作品の個性になっていると思います。ありきたりで薄味なハーレムものとは一線を画している。

似たりよったりのテンプレなろう漫画に飽き飽きしている人があえて読むならこれですね。ドン引きするかもしれませんが、一切記憶に残らない虚無作品に比べれば何倍も楽しめると思います。

気になった点

1話から順番に気になった点を書いていきます。

笑うおっさん(1話)

転生した主人公は朝食を済ませた後、冒険者ギルドを訪れます。

イケメンや美女が受付をしている窓口の前には行列ができていましたが、おっさんの窓口には誰も並んでいません。

主人公は迷わずおっさんの所へ。

「何で横の美女の所に並ばなかったんだ?」と問われ「女を口説きに来たわけじゃない」と答えると、おっさんは「ハッハッハハハッ」と大笑いします。

この場面の意味がわからないんですよね。そこまで笑うことでしょうか?

あと、他の冒険者は全員ナンパ目的なんですかね?

おっさんより美男美女の受付のほうが嬉しいという気持ちは分からんでもないですが、そんなことより早く受付を済ませたいと思う人はいないんでしょうか?

空いてるところに並ぶ人が誰もいないのは変な感じです…。

これって周囲を下げることで、「合理的な主人公SUGEEEE!」っていうのをやりたかったのかな?数ページ使ってわざわざ描写しているからには何らかの意味があると思うのですが…。

受付のおっさんを逆恨み?(2話)

ギルドで受付のおっさんと対面するシーン。

洞窟の調査を指名依頼され、拒否したらギルドメンバーの資格が剥奪されると言われた主人公は、「何でここで俺を名指しなんだ」「このおっさん俺の事嫌いなのか」と考えます。

しかし依頼元はギルドマスターだと説明されてるんですよね。受付のおっさんが主人公にやらせようと決めたわけではないと思うのですが…。

もしかして、ギルドマスターは誰に洞窟調査をやらせるか決めずに依頼を出し、受付のおっさんが人を選んだという設定なのかな?

世界観やギルド関連の設定が良く分からないので、どう解釈すればいいのか判断がつかず混乱します。まさか、逆恨みする頭のおかしい主人公を描きたかったってことはないよな…?

尻の謎(2話)

洞窟で出会った二人の女性キャラを紹介する場面の疑問点。48、49ページです。

本編画像をそのまま載せたほうが説明しやすいのですが、某出版社ご自慢の「弁護士軍団」に開示されると怖いので念のため控えさせてもらいます。

まぁ、こんな弱小サイトを開示するほど暇ではないでしょうし、メリットもないと思うので99%大丈夫なんですけどね。それでも極力リスクを減らしたいので自重します。

なお、某社公式サイトによると引用基準を教えるつもりはないようです…。専門家に相談しろってさ。

話を戻します。見開き2ページを利用して右ページで第一王女、左ページで姫騎士について解説している場面の違和感について。

「ゲームでは女騎士だったがここでは姫騎士」という、読者にとってはどうでもいい説明も気になりますが、それより姫騎士の下着が食い込んだ尻の描写が気になります。

…いや、別にえちえちだと言いたいのではありません。

3コマぶち抜きで全身の立ち絵が描かれており、そこではスカートのようなものを着用しているのですが、2コマ目の尻の部分はなぜか下着だけなんですよね…。

サービスシーンなんでしょうけど、右ページの王女の方は立ち絵の胸の部分をアップにしただけの描写なので、対比すると違和感があります。右も乳首丸出しだったら変な感じはしないんですが…。

文字だけでは分かりにくいと思うので、著作権に配慮した手描きのイメージ図を貼っておきます。

なんなんでしょうねこの尻は…。えちえちなのは良いですけど、唐突な感じで少々不思議に思いました。

ソースは書籍版?(3話)

3話の冒頭には「精霊の儀」で起こったことが文字で書かれていました。ダイジェストのような描写です。

原作にあったエピソードを漫画化せず文章だけで済ませたのかなと思い、Web版を読んでみましたが、それらしき内容は見当たりませんでした。

そもそもWebでは、世界観の説明や王女一行との会話シーンの後、いきなり奴隷オークションの話になります。

受付の行列の話や洞窟でのゴブリンとの戦い、風呂を覗くシーンは存在しませんでした。書籍版で付け足された要素なんでしょうかね?それとも漫画版のオリジナル?詳細は不明です。

奴隷強奪の既視感(4話)

4話では主人公が馬車を襲い、オークションで金持ち貴族に落札された亜人奴隷を強奪するのですが、この展開には既視感が…。

そう、月夜涙先生の『史上最強オークさんの楽しい種付けハーレムづくり』に似たようなシーンがありましたね。

漫画版の奴隷強奪シーンが話題になり、まとめサイト等で取り上げられていたので、知っている人も多いでしょう。主人公が面白い走り方をしていたり、檻の鍵が絶対開けられない形状だったりするのが笑いどころ。

(※漫画版はタイトルの「種付け」の部分が「異世界」に変わっています。『オークさん』はその回以外読んだことがないので、いつか読んでみたい。)

さて、この2作品の発表された順番について調べてみました。

漫画版は『オークさん』のほうが先に出ています。『転生隠者はほくそ笑む』は今年の春(2021年4月9日)に単行本が出たばかりの作品なので当然といえば当然。

いっぽう原作小説は『転生隠者』のほうが先なんですよね。Web版は2016年7月5日に連載開始。奴隷強奪部分も同年7月中に書かれています。また、書籍版は2017年4月25日に発売。

一方の『オークさん』は、2018年の第13回小学館ライトノベル大賞発の作品で、2019年7月18日に書籍が発売されています。

『転生隠者』が『オークさん』の展開を真似したわけではありませんでした。時系列的に無理です。あるとしたら逆ですね。

まぁ、たまたま似てしまっただけなのだと思います。

厳密に言うと、『転生隠者』の襲撃は奴隷を奪うのが目的ではなく、貴族を殺害するのがメイン。たまたま奴隷がいたのでついでに奪ったという感じ。最初から奴隷を奪うために襲った『オークさん』とは少し意味合いが違います。

それに、なろうでは設定や展開の流用が普通らしいので、多少の類似点を指摘しても意味がないです。

そもそも私が知らないだけで、金持ちから奴隷を奪うというのはよくある展開(テンプレ)なのかもしれません。

筆者はなろう系アニメや漫画に少々触れた程度。小説版はほとんど読んだことがないので、なろうに関する知識量が足りません。勉強せねば…。

勇者サゲ

主人公が勇者アルバートを嫌い、殺したいと考えるだけならまだ分かりますが、作品世界そのものが勇者を貶めるために構築されている感じで違和感があります。

主人公に限らず、どいつもこいつも勇者を馬鹿にするんですよね。仲間の姫騎士でさえ、「勇者はともかく聖剣は回収したい」などと言い、彼を見殺しにすることを厭いません。勇者の命より剣が大事。

なんというか、本作のアルバートは典型的な踏み台勇者ですね。主人公に見下され、破滅させられるためだけに存在しているやられ役。ざまぁの標的。

ちなみに勇者の妹までざまぁ対象にされそうな雰囲気です。

なろう民は本当に勇者が嫌いですよね。大人気作品の『このすば』にさえ、勇者サゲ描写がありました。

リアルで嫌っているチャラいリア充と勇者を重ねて読んでるのかな?調子に乗ったリア充が失脚する所を見てスッキリする感じ?

良かった点

女性キャラの肉体描写は結構良かったです。本作の絵柄はなかなかクセが強く好みが分かれると思いますが、個人的には好きです。

キャラは他の作品では見られないような個性的な表情をしますし、デフォルメ顔も可愛らしくて好印象。

背景も割と丁寧に描き込まれており、そのへんの手抜きなろう漫画とは一線を画しています。

あと、奴隷オークションに出品された亜人少女が目に涙をためている描写が素晴らしかった。なかなかに可哀想でイイ…。「かわいそうじゃないと抜けない」人はグッとくるのでは?

個人的には露骨なサービスシーンや合体よりこういう描写のほうが楽しめます。

おわりに

設定やストーリーだけ見るとありきたりな異世界転生ものという感じですが、味のある絵とイカれた主人公のおかげで差別化ができていると思います。キャラや世界観が良い意味で狂っていて面白いし、ちょっとエロいのもいいですね。

相当風変わりな作品ですが、何故か続きを読みたくなる魅力がありました。

ただ、万人受けする内容ではないと感じたので、気になる方には試し読みすることをおすすめします。

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