2022年冬のなろうアニメ『ありふれ』2期こと、
『ありふれた職業で世界最強2nd season』
を第3話まで見たので、現時点での感想を書きます。
2期までが長かった
『ありふれ』1期は、2019年夏季(7月から10月上旬まで)放送。最終話終了後のエンドカードで2期の制作が発表されました。
当時の筆者は、
「このパターンは分割2クールかもしれない。おそらく放送前から続編の制作が決まっていたのだろう。早ければ半年後、遅くても1年後ぐらいには続きが見られそうだな…」
と思っていたけど、実際には約2年半待つことになりました。分割2クールじゃなかったようですね。
分割2クールの場合、1クール目と同じ制作チーム・制作ラインで作り続けるはずなので、作風がほぼ変わらないのが普通です。(なろう作品で例を挙げると『無職転生』は分割2クール。)
しかし本作の場合、絵の雰囲気が明らかに変わっています。
制作スタジオは、「asread.×WHITE FOX」から、「asread.×studio MOTHER」へと変更。
放送の間隔もかなり空いていますし、制作チームは一度解散して、再集結したのでしょうね。
監督は別の方に変わっていますが、メインスタッフの大部分は1期と同じのようです。(1期監督のよしもときんじ氏は2021年11月5日、55歳の若さで逝去されました。突然の訃報に驚いた方も多いと思います。)
間が空いた理由を考察
分割2クール予想は外れましたが、「最終話の直後に続編制作を発表した」という事実は確かに存在します。
そもそも『ありふれ』の1期は、原作ファンと初見どちらの評判もあまり良くはありませんでした。放送期間中に予想外の人気が出て続編の制作が決定したとは考えにくいです。
つまり、続編の制作は放送開始前から決まっていた可能性が高い。
以下はあくまで筆者の推測ですが、本来は分割2クールだったはずが、ある出来事による制作現場の混乱が原因で、通常の2期構成のようになったという可能性も考えられます。
『ありふれ』のアニメは元々、別のスタッフが制作するはずだったのですが、突然スタッフが変更され、放送が延期になったんですよね。
原作者が、なろうの活動報告でアニメの出来(主に脚本、絵コンテ)に不満を示していたので、「スタッフを更迭し作り直させたのでは?」という疑惑を持たれることになりました。
アニメ化決定時点で分割2クールは既定路線だったものの、作り直しによってスケジュールが逼迫。制作が間に合わないので、間をあけて通常の2期構成にしたというのが真相なのかもしれません。
1期のおかしな点
1期は見るからにスケジュールと予算が足りていないような作画とストーリー構成でした。
特に序盤は酷かった。止め絵が多いですし、出来の悪い3DCGが多用されるので戦闘場面がチープです。(女の子の作画は良かったけどね…)
ストーリーの方も十分練られていないと言うか、慌てて作った感じがすごかった。
特に問題なのは、導入部がまともに描かれなかった点。初見の人(筆者含む)には世界観や設定の理解が困難でした。
具体的には、現代日本での主人公たちの様子や関係性、異世界に召喚された経緯の描写が、バッサリとカットされていました。(導入部の説明をOP映像だけで済ます『百錬の覇王』スタイル)
それに加え、演出上意味があるとは思えない、グチャグチャな時系列シャッフル。これはキツかった。
回想から回想に飛ぶみたいな感じだったので、初見の人はポカーンですし、原作ファンの一部は改悪だと怒り狂っていました。素人目にもおかしい構成でしたよ。
これはスタッフの能力の問題ではなく、作り直しによって、スケジュールが厳しくなったせいかもしれません。放送日に間に合わせるため、見切り発車で行くしかなかったのかも。
時間に余裕があり、脚本に関してしっかりと議論が行われていれば、こんな意味不明な構成にはならなかったのではないでしょうか。
スタッフ入れ替えによって脚本家も変わっているので、以前の脚本は破棄され、短い期間で一から書き直されたのだと思います。
また、テレビ放映時には第6話の公開が延期され、代わりに総集編が流れました(6話は一週遅れで放映)。制作が間に合っていない作品にはありがちですね。半分の話数も消化せず総集編というのは珍しいですが。
これらのことから、1クール分の制作でさえギリギリの状態だったことが分かります。当然、2クール目を作る余力はなかったでしょう。
その結果、当初予定していた分割2クールを断念し、仕切り直して数年後に2期として放送することになったということも考えられます。
以上はあくまでも予想…というより、筆者の妄想なので真に受けないでくださいね。
後から追加されたプロローグ
1期放送終了後のイベントにて、本編では描かれなかった導入部(プロローグ)のアニメが公開されました。
現在は配信サイトで見ることが可能です。第1話の冒頭に追加されているので、これから見始める人には話が理解しやすくなっていますね。タイトルになっている「ありふれた職業」の意味も分かります。
プロローグを後で追加するというのは珍しい展開ですが、流石にTV放映版では話が分からないと、スタッフが気づいたからなんでしょうかね?それとも、あらかじめ作ってあった映像をイベントのためにあえて後出しにしたんでしょうか?
どうして1話の構成があそこまでメチャクチャになったのか、真相が知りたいですよ。スケジュールがやばかったのなら、なおさら手を入れず原作のままやったほうが無難だったような……。
2期3話までの感想
前置きが長くなりましたが、ここから2期の話です。各話の内容について短くコメントしていきます。
1話
今回も時系列がよく分からん感じで始まりましたね。いつの話なのよコレ?
金髪お嬢様が出ました。「こんな奴いたっけ?」と思ったら新キャラで王女様らしいですよ。『戦闘員、派遣します!』の王女もこんな感じでしたね。
クラスメートの人数は多く、相変わらず誰が誰やらよく分からない。1期で見たような奴もいるけど、顔と名前が一致しないわ……。
しばらく見ていると、1期最終回の後の話であることが判明。主人公ハジメ一行はハーレムカーで砂漠を移動中。モンスターと戦ったりします。
モンスターの3DCGは1期よりマシになってました。前のCGは質感が酷く画面内で浮いていて、チープな印象だったのでそこは改善してますね。
飲み水に毒が入っていて街で病人が出ているようです。他のなろう作品で見たことがあるような展開になりましたね。次回はハジメたちが、住民を救うため、お使いをする展開になりそう。
あと、2期は魔人族が積極的に絡んでくるみたいですね。
2話
病気が蔓延する街にたどり着いた主人公たちは、それぞれチート級の能力で現地人を助けメチャクチャ感謝されます。なろうではありがちな展開ですね。
唐突なキスシーンが入るのは賛否が分かれる所でしょう。個人的にはあまり良い印象を持てなかった。
『俺だけ入れる隠しダンジョン』を見た時も思ったけど、人がキスしてるとこ見て興奮する性癖は持ち合わせてないです。喜ぶ人は喜ぶんかね?あと、ユエより香織派。ロリババアでは抜けない。
その後一行は火山に向かいます。結局2期も、迷宮を攻略する話になるみたい。
3話
1期と同じく未知の迷宮に潜ってモンスターとバトル!トラップを掻い潜ってボス(ガーディアン)のところへたどり着き、瞬殺する…という流れになるかと思いきや……。
ハジメちゃんがピンチ!これは珍しい展開ですね。なろう作品なので基本的には苦戦しないと思っていたのですが…。
そうそう、本作はハーレム要員にもしっかり戦闘力があるのが良いですね。単なる賑やかし要員じゃない点は評価に値するでしょう。
なろう系には、主人公が強すぎて、ヒロインたちが足手まといにしかなっていない作品が多い。ただの○処理道具みたいな扱いのことも少なくないですね。
いっぽう本作のヒロインはかなり戦えます。映像を見る限りでは主人公より強そうにも見える。また、どのヒロインにも見せ場が用意されてますね。なろうの中では、よく考えられているほうだと思いました。
あと、3話は続きが気になる終わり方をしました。主人公たちのメインストーリーを切りの良いところまで描かず、場面を変えて黒幕の存在を匂わせ、伏線を張って終了。
かなり巧みなシナリオなのでは?これは続きが見たくなってしまいますよ。3話切りを躊躇させる効果があると思います。
良かった点
相変わらずキャラデザは良いですね。なんかえちえちだし、色使いも好き。
また、予算とスケジュールが足りていない感じの1期と比べ、作画の品質が上がっていると思いました。なんというか画面がリッチ?な感じ。
カッコいい構図や、美しいキャラ絵が見られるし、背景画(風景)もいい感じです。
シナリオ面に関して言うと、ギャグとシリアスのメリハリがきいており、見やすくなっていました。
1期の「ボクノウデヲタベター」のような変な説明セリフはなく、良くも悪くも普通のアニメになっています。
気になった点
前述のように作画は悪くないのですが、メチャクチャよく動くというわけでもなかったです。
例えば1話の車移動シーンは、車内の揺れと窓から見える砂煙のおかげでよく動いてるように見えるだけで、キャラは基本的に口パクぐらいしか動いてませんでした。
低予算ではないけど、予算が潤沢というわけでもなさそう。まぁ、動かす必要がない場面と言われればその通りなんですけどね。
動かすべき場面、例えば2話のウサギ(シア)が武器を振り回すシーンなどはしっかり動いてましたし、1期に比べて相当良くなってはいます。
他に気になった点を挙げると、CGですね。改善したと書きましたが、あくまで1期との比較であって、相変わらず手描き部分との質感の違いは気になります。自然に溶け込む感じにするのは難しいのかな?
あと、本作はいわゆるハーレム系作品なので、それに伴う、そこはかとないキモさはありますね。「私のほうが先に子供を作るー」みたいなことを言って、ハーレム要員同士が喧嘩したりね。そういうノリが好きな人はいいけど、苦手な人は見るのが辛そうです。
おわりに
絵的には結構好きなアニメです。キャラデザと色使いは相変わらず素晴らしい。全体的にクオリティアップしてるのもGOOD。
今季のなろうアニメには変なの(意味深)が多いので、本作は安定感で際立っています。一部では「なろうの闇」とか言われていますが、人気作品だけあって見るべき所はある。
ただ1期が説明不足だったせいか、世界観や設定がよく分かってないです。さらに、2期まで2年以上間が空いたので記憶も曖昧になってます。
なんとなくは覚えているのですけどね。悪い神様が魔人族をけしかけ、人類を滅ぼそうとしてるんだったかな?
2期ではあるキャラクターが大変なことになると聞いているので、最低でもそこまでは視聴を続ける予定です。
なんだかんだ言いつつ、最終回まで見るような気がします。感想もUPするので、よろしければお付き合いください。