『このすば』アニメ1期の不満点:哀れなミツルギと非道なカズマたち

『この素晴らしい世界に祝福を!』アニメ1期は、全体として見ると面白かったのだが、一つだけどうしても好きになれない部分がある。

それは5話のミツルギが登場する場面だ。シーンの概要と何が気に入らなかったのかを書いていく。

ミツルギへの非道な仕打ち

主人公のカズマは最初からクズキャラだったのだが、最低限の良識はあるし意外と仲間思い。噛ませ犬の小物キャラみたいなカッコ悪さはあるが、邪悪さはほとんど感じられなかった。

だが、5話のカズマは違っていた。彼のミツルギに対する仕打ちはあまりにも酷く、正直ドン引きした。もはやクズではなく鬼畜だ。カズマってこんなやつだったっけ…と違和感を覚えた。

5話に登場したイケメン勇者ミツルギは、カズマと同じく日本からの転生者。チートを使って大活躍し女の子にモテモテ。まさに、なろう系テンプレ主人公のような立ち位置の人物だ。彼は魔剣を授け転生させてくれたアクアを慕っている。

そんなミツルギだが、湖浄化クエストから帰る途中のカズマ一行と遭遇。オリに閉じ込められているアクアを見つけた彼は、カズマに理由を問い詰め説教をする。

カズマは、転生特典の魔剣で何の苦労もせずに生きてきたミツルギになんで説教されなきゃならんのだと、不愉快になる。

そのあと何故かヒロインたちもミツルギを嫌悪し、ナルシストっぽくてヤバイとか生理的に受け付けないとか散々悪口を言う。

確かにミツルギは上から目線でウザいとは思うけど、ヒロインたちの嫌い方は過剰で不自然。これでは、めぐみんたちのほうが、すぐに他人を見下す意地悪な子に見えてしまう。

頭はおかしくても性格は悪くないと思っていたのにイメージが崩れた。クズのカズマを見捨てないくらい大らかな子たちだったのにね…。

カズマもチートで皮肉になってない

その後ミツルギに決闘を申し込まれたカズマは、盗みの呪文「スティール」で魔剣を奪い頭を殴って勝利。「チーターが貧弱装備の駆け出し冒険者に勝負を挑むほうが卑怯」と言うカズマだけど、こいつにも主人公補正掛かってるんだよなぁ、どう考えても。

カズマの「スティール」って、スマホ太郎(『異世界はスマートフォンとともに。』の主人公望月冬夜)の「アポーツ」以上に融通が利くからかなりのチート。能力マシマシの冬夜でさえ大きいものは奪えないという制約があったのに、カズマは大きな魔剣でも平気で奪える。

そのうえ奪うものはランダムなはずなのに都合よくメイン武器の剣を奪えてる。幸運値が高いというのが言い訳になっているけど、それこそ主人公補正でチートなんだよな。

自信満々で「スティール」を使ってたけど剣が奪えなかったらどうするつもりだったのだろう?ぶった切られてオシマイなのにね…。成功することを知っていたとしか思えずチートくさい。

『このすば』という作品はなろう系のパロディ、皮肉と言われている。ミツルギのくだりもチート主人公批判の意図があり、チートを持たないカズマが、チートで調子に乗ったミツルギを倒す痛快な場面にしたかっただろう。

だが表面的には無能力の雑魚に見えるカズマも、実際はチート主人公に匹敵する能力を持っている。したがってチート主人公がチート主人公を倒すという構図になっていて本質的には何も皮肉れていないように思う。

カズマは一見アンチなろう系主人公のようだが、本質的にはなろう系主人公とそれほど変わらない。能力は使いづらいだけで決して弱いものでもないし、難ありとはいえ美少女を侍らせている。

いや、もしかすると「チートじゃないと自称しつつ実はチート級の能力を持っている主人公」に対する高度な皮肉なのかもしれないけど…。

そこまでするか?

ミツルギを倒した後も胸糞悪い展開が続く。ミツルギの取り巻きの女の子に対してセクハラ攻撃を仕掛けるぞと脅したり、奪った魔剣を売り払ったりと無慈悲極まりない。

アクアのほうもカズマに負けず劣らず鬼畜。後日、武器を失い弱体化したミツルギを殴りつけ大金を奪い取る。

いくらなんでもそこまで虐める必要ありますかね?ミツルギはうぬぼれてるだけでそこまで悪いやつではないでしょ?決闘で懲らしめたのだから、それで許してやればいいのにネチネチネチネチと陰湿な感じで嫌だなぁ。

「自分は不遇で虐げられてきた弱者だから、恵まれた者をどんな酷い目に遭わせても許される」という卑屈な精神が感じられてホント嫌。言っちゃ悪いが、なろう系の醜い部分がモロに出ている。マサツグ様(『異世界で孤児院を~』)Web版のミヤモトに復讐する有名なシーンを彷彿とさせるよ。

自分が虐げる側に回ればいいってもんじゃないでしょ。ここであえて許すのがカッコいい主人公だと思うのだけど…。はっきり言ってこの場面のカズマたちはやりすぎだと思う。ルサンチマンを晴らすための生贄にされたミツルギが可哀想。

ギャグ作品だから真面目に捉えるべきではないのかもしれないけど、この場面だけはどうしても笑えない。悪意と怨念が渦巻く異色の展開で、他のエピソードのように愉快な気分で見ることが出来なかった。なろうに対する皮肉のはずが、逆になろうの闇の部分が出てしまった感じ。

なろう系関連記事一覧

タイトルとURLをコピーしました