『ぱすメモ』TVシリーズ後半の感想です。1話完結なので面白さにばらつきがありますが、面白い回は相当楽しめましたね。ネタとしてではなく普通に見れます。
特に7話のRPG回と9話のギャルゲ回はオススメです。内容が濃くてあっという間に見れてしまいます。
7話「勇者ってもうかるにゃ?」
アバンからいきなりドット絵のゲーム風画面。『ポプテピピック』のデスクリムゾン回を彷彿とさせますねぇ。
ドラクエとかの王道RPGパロディ回ですね。
ドット絵のキャラが走り回っているのですが、ネジうさが「手抜きに見えて実は手間がかかるパターン」とメタ発言。
いつものOP映像が流れて本編が始まるといつも通りの手描きアニメ画面に戻ります。
いきなり物語世界に入るパターンは新しいですね。今回のメンバーは、ぽよぽよ(沙織)、ロシア娘(イリーナ)、ネコ娘(結衣奈)の3人です。
王様の目がヤバイ、胸を見て血走っとる。
沙織の目も星になってました、ウッキウキでやたらテンションが高く笑えます。沙織はRPGが大好きなんですって。だからこの世界を守りたい。いつものやつを入れてきましたね。物語世界を守る理由付けを。
全ての話数に共通するお約束があり、その上でそれぞれの回のアレンジの違いを見て楽しむアニメ。今回はかなり大胆なアレンジがされている回ですね。
立ってる村人が同じセリフしか言わないRPGあるあるネタも。この前『えんどろ~』(今期の日常系ファンタジーアニメ)でも見ました。
一応真面目にファンタジーやってる『えんどろ~』よりパロディアニメの『ぱすメモ』のほうが面白いのはどうなのと声を小さくして申し上げておきます。
ネタ盛りだくさん
入り込んだゲーム世界はバランスが滅茶苦茶で簡単に全滅。「死んでしまうとは情けない」ネタが入ります。
モンスター倒すとお金が一杯。課金でガチャも回せると鼻息が荒い結衣奈ですが、これってそういうソシャゲではありません。指摘されてがっかり。
キャラがカードのようになってますが、『ぱすメモ』原作はソシャゲでしたねえ。すっかり忘れてました。宣伝効果あったのかなぁ。
色が違うから別人ネタ、魔界村ネタ、斜めにジャンプできない、復活のパスワード、また沙織の青狸ネタなどなど、大量のパロディネタがぶっこまれてます。これまでで一番多いのではないかと思いますね。
ネガティブ
博士こと沙織頼みで冒険を進めていったのですが、ある日様子がおかしくなります。月に一日だけすっごくネガティブになる日があるらしいです。おいおい…。
ネガティブっていうけど単なる後ろ向き思考ではなく、度を越したネガティブで世界が滅びるとかめちゃめちゃな思考。笑えるレベル。顔もやばいです。
そのせいで絶体絶命のピンチに陥るというのが終盤の展開です。
毎度おなじみの摩耶&マザーウイルスですが、今回はほぼ出番がなく魔王を倒した直後に現れ数秒で星にされてしまいます。
そもそも摩耶と魔王にはほぼ関係が無かったみたい。ウイルスはほとんど物語世界に干渉していなかった模様です。こういうところも変則的でいつもの流れとは一味違いますね。
ウイルス退治と言うより、RPGの世界に入って冒険を楽しみ、魔王を倒す話でした。
ED曲はピコピコ音のレトロゲーム風アレンジ、しかも尺が長く聞いたことのない歌詞の部分(2番?)まで流れます。
前回6話(ハムタロパロ)も当たり回だと思いましたが、今回はそれ以上の当たり回。めちゃおもしろい。とにかく内容が濃かったです。24分なのに劇場版アニメを見た気分。ネタてんこ盛りのドタバタコメディは最高でした。
EDのあとにこんな場面が。もしや夢オチ?ってことでしょうか。泉水がゲームやりながら見た夢だったのかな?
8話「対決!お料理バトルや!」
ボクっ娘の渚央がメインの回。調理実習に備えて料理を習っているのですが、力んでしまって上手く調理ができません。しかも、適当に調味料を入れたので食べた人間が気絶するほどの激マズ料理になってしまいました。
料理が上手に作れないし、不器用で大雑把で女の子らしくないことに悩む渚央。
でも女の子扱いされ褒められると人格が変わり、女の子っぽくなってしまいます。なんかすごい設定ですね。乙女モードになると目がキラキラ、性格もまるで別人、なぜか料理も上手に。でも乙女モードの持続時間は短くすぐ元に戻ってしまいます。
グルメマンガの世界へ
ここでいつものお約束、ウイルスによってマンガが消えていきます。消えたのは「ザ・味マスター」という町食堂の主人公がグルメバトルを繰り広げる作品。
今回物語世界に潜入するのは渚央、京都娘(南海)、メガネっ子(亜矢香)の3人。
「ミスター味っ子」のパロディ回のようですが、それだけに留まらずあらゆるグルメマンガをネタにしているようです。(筆者はグルメマンガに詳しくないのでニコニコ配信のコメントを見て勉強しました。)
味マスターのライバルとして登場する岡山はあちこちの店で喧嘩を売りまくる人物。元ネタは名前から分かるように「美味しんぼ」の山岡でしょうね。
で、この岡山は酷い味音痴。普通の料理にはマズいと言い放つのに、渚央のおぞましい料理を食べて感動します。
このあと唐突に摩耶とウイルスが襲ってきますが、予想通り料理バトルをすることに。
年増のヒール
将棋回で「SMのおばさん」呼ばわりされた摩耶でしたが、今回は岡山に「年増のヒール」呼ばわれされてしまいます。
乙女モードで料理バトルに臨む渚央。しかし途中で元に戻ってしまいます。果たして料理で摩耶に勝利することはできるのでしょうか…。
今回もなかなか良かったですよ。展開はパターン化されているし、内容もしょうもないけど結構面白いんですよねこのアニメ。独特の魅力があります。
絵がふにゃふにゃになったり、キャラクターのガタイがやたら良くなるシーンもあったけど、この作品の場合はそれも味になってます。ゆるい作風にマッチしている。
いいアニメですよ
本作の凄いところは、深い中身や大笑いできるギャグがあるわけでもないのに見ていて眠くならないところ。で、見終わるとなぜか充実感があるんですよ。
ソシャゲの宣伝として適当に作られたクソアニメ扱いする向きもあるようですが、実際にはかなりの良作なのではないでしょうか。
気楽に見られて楽しいアニメって貴重です。日常系は刺激がなさすぎ、激しいギャグは見ていて疲れる。その中間のちょうどいい塩梅なのがこの『ぱすてるメモリーズ』だと思います。意外とキャラも立ってるしね。
9話「目指せ恋愛の達人、ですわ」
ギャルゲ回。伝説の木の下。
今回スポットライトが当たるキャラは薫子ですが、こんな子いたっけ?と思ってしまったくらい影の薄いキャラでした。一応3話で作品世界に入っていましたが、目立った活躍もなく印象に残りません。でも今回は主役として大活躍します。
薫子はお金持ちのお嬢様。他の子達とは違う常識で生きているようです。そのせいか恋愛シミュレーションでも変な選択肢ばかり選んでしまい、いつもバッドエンド。
そこでこっそり大量のギャルゲを買い込み研究、努力の末コツを掴みます。
ある日、古いギャルゲを専用機でプレイしようとしたらゲームが消えそうになったので、作品世界へウイルス退治に出発します。
今回作品世界に入るのは薫子、ちまり(歴史好きの小さい子)、イリーナ(金髪ロシア娘)の3人。
イリーナの出番多い気がしますね。ごちうさ回、RPG回、今回と3回も作品世界に入っています。この感じだとイリーナが作品世界に入るのは今回が最後かもしれないですね。
今回の作品世界での展開はいつものパターンとは違いかなり変則的。摩耶が率いるウイルス軍団と戦うわけではなく、ゲームのヒロインになった摩耶を攻略する話です。薫子が男役。
性格に問題がありそうな摩耶ですが、意外に可愛らしかったです。根は悪いやつじゃないように思えました。最終回では改心して欲しいですね。これが伏線になって寝返りエンドに期待です。
10話「さよなら、ねじウサ……」
「魂闘士闘也」という格闘マンガ回。主人公が学園番長と戦うマンガで、最後には宇宙にまで進出するというぶっ飛んだ作品のようです。
タイトルは『聖闘士星矢』っぽいですが、あしたのジョーネタ、ジョジョネタもありました。
メガネっ子亜矢香がメインの回ですが、印象が変わりました。この子も人格変わる系キャラだったとは。自分の好きな作品の良さを分かっていない人がいると、メガネを外し怖い顔で作品について長々と語ります。
カオスな格闘マンガ世界へ
いつも通り、マンガが消えていき物語世界へ潜入。亜矢香(メガネっ子)、渚央(ボクっ娘)、美智(紫髪の胸がない子)の3人です。
個性的な番長をそれぞれのキャラ(ネジうさ含む)が倒していく流れですが、まぁ展開はとにかくテキトー。
『ぱすメモ』は元から色々ゆるいアニメでしたが、今回入り込んだ作品世界はご都合主義が横行するカオスな世界。そのせいでいつも以上になんでもありの滅茶苦茶な内容で、キャラの性格まで崩壊しているように見えました。
亜矢香だけではなく美智まで別人のよう。大人しい子だと思ってたのに今回は妙にアグレッシブ。敵が長い技名を叫んでいる最中に攻撃したり、チェーンソーを振り回したり。
まぁ武器に関しては元々鎌やらでっかい包丁やら物騒なの使ってましたね。
内容がカオスな割には盛り上がりが少なく、個人的にはちょっとビミョーな回かなと思いました。まぁ面白いっちゃ面白かったですが。
11話「決戦、アキハバラ!ってホント!?」
あらすじに、
「泉水・薫子・小町とねじウサはゲートをくぐり、アニメや漫画、ゲームで盛り上がっていた全盛期の聖地、アキハバラを体験する。」
と、あったので今回はどっかの作品世界に入るわけではなく、タイムトラベル的なものかなと思っていたら違いました。
「超新星エクシード」という20年前に大ヒットしたロボットアニメの作品世界に入ります。
『エヴァ』パロディ回ですね。
この「エクシード」という作品の舞台が、ウイルスによって衰退する前のアキハバラ。ピンク(泉水)とお嬢様(薫子)、写真撮ってる子(小町)の三人が侵入。活気のあるアキバを見てみんな興奮します。
そこへ例のごとくマザーウイルスが出現しますが、今回はいつもより大きく強力。暴れまわって街を破壊していきます。あまりのパワーに乗っていた摩耶まで振り落とされます。
ウイルスの力は人々の作品に対する思い出の大きさに比例。思い出が大きいほどウイルスはパワーアップするので、世界的大ヒット作「エクシード」のウイルスは摩耶にも制御不能なほど強力になってしまったようです。
皮肉なもんですねぇ。人気作ほど作品世界を破壊しやすくなるってことでしょそれって。
ウイルスを止めるべく摩耶と共闘する内容ですが、この話で完結せず、最終回に続く終わり方でした。次は全員集合みたいです。
絵が怪しい
今回は絵が少し怪しかったです。所々いもいもしていました。キャラの間抜け面が多く、摩耶の顔もいつもと違う。
止め絵が多く動きが少ないですし、動いても違和感ある動き方だったりと最終回を目前にしてクオリティが低下している印象。元から質の高いアニメーションでは無かったけどね。
特に気になったのはミサイル発射シーンが止め絵だったところ。そこは動いてくれよ…。

©同上
ゴロゴロ
あと、ウイルスに吹き飛ばされゴロゴロ転がるシーンがご丁寧に3人分あったのは笑えました。
『百錬の覇王』を思い出しました。剣が折れる→うわぁ~→ゴロゴロゴロゴロ→崖から落下とか、キレて部下を蹴っ飛ばしてゴロゴロとか楽しいアニメだったなぁ。
ゴロゴロって描くのが楽なんでしょうかねぇ。作画の怪しい回で多用される印象があります。
12話「ぱすてるメモリーズ」
ついに最終回。前回の続きでみんな揃って作品世界へ入っています。転落して行方不明になった仲間を探しますがなかなか見つかりません。
昔のアキバの街を歩き回るピンクちゃん(泉水)、メガネっ子(亜矢香)、金髪ちゃん(イリーナ)3人。2話ごちうさパロ回の3人組です。
そこで見つけたのが「アニメ伊藤」なるお店。
アニメイトは協力してくれなかったみたい。「とらのあな」や「オノデン」はそのまま出てるんですけどね。
店内を見ると、1話で苦労して探した「うさカフェ」(ごちうさパロ作品)が平積みにされているようです。
「うさカフェだあ」と驚くピンクですが、映ったマンガは「魂闘士闘也」。10話のやつですね。
2話(ごちうさパロ回)の円盤収録中止&配信停止騒動のせいで、差し替えられてますねぇこれは。なおTV放送では「うさカフェ」のままだった局もあるようです。
ごちうさパロ回は存在が無かったことにされるという、ウイルスにやられた作品みたいな扱いに…。メタだなぁ。
なんか薄い?
その次がピンクちゃんとメガネっ子が出会った時の回想シーン。さらに、セリフ無しで捜索シーンとロボット制作シーンが流れます。最終回なのに内容薄い気が…。
やっとロボット完成したかと思ったら5体もいますねぇ。うち2体は公式協力の「とらのあな」と「オノデン」ロボ。あと、でじこっぽいロボもいますね。
女の子たちが分かれて乗り込んで戦うのですが勝てず、合体しても勝てず、負けそうになったところで行方不明だった二人と摩耶が「エクシード」に乗って登場。押し返します。
トドメはロボットから降り生身で思い出の力、作品への愛で攻撃します。ここで今まで関わってきた作品世界を回想するのですが、ごちうさ回はここでもカットされてました。
マザーウイルスを無事やっつけてハッピーエンド。
共闘したものの明日からは敵同士と言う摩耶ですが、結局何のためにウイルスで作品世界を破壊していたかは謎のまま終わってしまいました。ブラックエリートって何だったんでしょうね。
一応ラスト、私服の摩耶がスケッチブックを持って満足げな顔をしていたので、裏稼業からは足を洗ったのかな?
うーん、最終回はパンチが足りなかったですね。あまり予想を裏切らない展開、パロディも控えめで淡々と終わらせた感じ。
メチャクチャ面白い回があっただけに11話、12話の出来は見劣りしてしまいます。『ごちうさ』パロで怒られたせいで自粛してるってことは無いですよね。
おわりに
『ぱすてるメモリーズ』は今期(2019冬)アニメの中ではとても好きな作品でしたが、これを見て原作ゲームをしたくなるかというと微妙。宣伝としてはどうだったんでしょう。
アニメの続編があったら見たいですがまぁ無理でしょうねぇ。
12人も女の子がいるので、最初見たときは大丈夫かなと思っていたけど一応全員の性格が分かるような作りになっていました。テキトーなアニメに見えて、そういう所がしっかり考えられているのは好感が持てました。
1話完結で気楽に見られて笑えるいいアニメ。パロディが際どかったり、作画が怪しかったりしましたが嫌いになれない作品でした。