TVアニメ「賢者の孫」感想(1話~12話)

2019年春アニメ「賢者の孫」の感想です。

この作品は原作が「小説家になろう」で連載された小説で、純粋な「なろう系」作品です。「百錬の覇王」のような「なろうっぽい作品」とは違います。

コミカライズ版が面白い(意味深)らしく、ネットでも度々話題になっていたのでタイトルを知ってました。

それがアニメ化されるということで、色んな意味で面白そうなので視聴することにしました。

感想は放送された3ヶ月の間、最新話視聴後に加筆。一度に書いたわけではありません。

アンチ寄りの批判的意見が多いのでファンの方はご注意ください。ネタバレ注意。

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第1話「世間知らず、王都に立つ」

サラリーマンの主人公がオフィスで…っていうよくある始まり方をします。現代を生きる労働者の悲しみが伝わってきますね、描写はありがちですけど。

まぁ、絶望とまでは行かないけど希望もなく疲れ果てた感じの主人公ですが、信号を見落としてふら~っと道に出てしまい轢死、異世界に転生します。

元の姿ではなく赤ん坊になって、人生やり直し。ここはちょっと新しい感じ。

自分はあまりなろう系異世界転生ものに詳しくないのですが、今まで見た作品では若返ることはあっても、赤ん坊になるのは無かったですね。

子供パート

前半、主人公シンが子供の頃のパートはなろう臭が薄くて普通に見られました。

やたらハイスペックなのは気になったけど気持ち悪さはないです。普通にいい子に見えましたねぇ。

絵も悪くない。アニメーション制作は「のんのんびより」を作ったところ(SILVER LINK.)なので、絵が崩れる心配は少なそうです。

あと、アニメ版デスマ(「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」)にも関わってますね。

成人パート

前半は普通に見られたものの、後半シンが成人してからの話はちょっとアレや…。

「常識を教えるの忘れとった」っていう有名な場面がありましたよ。爺さんは魔法ばっか教えて常識を教えてないらしく、シンは買い物をしたことがないらしいです。

あとは、涼しい顔してメチャクチャ協力な魔法を撃ってみんなを驚かせたり、街でゴロツキに襲われてる女の子を助けたりと、ありがちな内容。

でもスマホ太郎みたいな寒さがあんまりないですね。絵が崩れてないし、演出が悪くないから見れる。

主人公は微妙ですが、爺さん婆さんがいいキャラしてますね。可愛らしい。

酷さが足りん

期待してたほど酷くないですねぇこれは。第1話を見る限りでは、スマホ太郎(「異世界はスマートフォンとともに。」)の後継者にはなれないような気がします。

糞アニメポイントは低い。

デスマみたいに、めちゃ面白いわけではないけどつまらなくもない微妙なラインの作品になりそう。

でもまだ1話。これからどうなるか目が離せないですねぇ。糞アニメ方向に行くのかどうなのか気になります。せっかくなら痛々しいのが見たい。

第2話「常識破りの新入生」

魔法学院の入学試験前後の話でした。

今回から本領発揮って感じです。スマホ太郎(異世界スマホ)的な意味で。

前回助けた女の子たちがさらっと主人公ageをします。体術凄いのに魔法学院受けるの~、びっくり~みたいな感じで。

シンが立ち去った後も格好良かったとか褒めまくり…。やっぱこうなるのね。

その後、シンは噛ませっぽいガラの悪い金髪男(カート)に絡まれるのですが、体術を使い一発でやっつけてしまいます。罵られても涼しい顔であしらう所とか最高に寒いですねぇ。これこそなろう系、というより中二病か…。

抑えて撃ったの?

魔法の試験。シンは他の学生が魔法を使う所を見て、詠唱が恥ずかしいとか、威力がショボいのにドヤ顔してるとか、中二病発表会だと心の中で馬鹿にします。

本人の番が回ってくると、詠唱無しで超強力魔法を発射。大爆発が起こりギャラリーは驚愕。

「相当抑えて撃ちましたけど」なんてヘラヘラした顔で言ってますけど、ほんとにそう思ってんのかお前。そうだとしたら頭いかれてる。

客観的に見ると一番中二病なのはシンです。存在自体が痛々しいですねシンくんは。見てるこっちが恥ずかしくなる。こういうのをカッコイイと思えるメンタリティが中二病なんでしょうねぇ。

なろう系っておっさんが現実逃避のために読んでると言われてますけど、この作品に関してはリアル中学生向けに見えますね。これをネタとしてではなくガチで楽しめるおっさんってやべぇ。精神年齢は中二のままだ。

シンは頭おかしい人

キャラクターとしてのシンは、どうやら自身の能力を客観視出来ない頭のおかしい人物として描かれているようです。だから本当に力を抑えて撃ったのでしょう。それでも威力が強すぎたと。

でも作者はシンの能力にギャラリーが驚き、彼を称賛するのが分かった上で、彼に強力な魔法を使わせてるんですよねぇ。その意図が見えてしまうから寒気がするんですよ。

作者は読者が喜ぶような展開を書きます。特に小説家になろうでは、読者が望まない展開を書くと叩かれやすい傾向にあるようです。

そこから考えると自分をシンに重ねることで優越感に浸りたい、マウントを取りたい、俺TUEEEEしたい読者が数多く存在するってことなのでしょうね。

なろう系転生ものを見ると、現代の闇が垣間見えますよ。そこまでして自尊心を満たさなければならないほど追い詰められているのか。本当に恐ろしい。

現に、最強主人公に自己を投影し悦に入るための作品がいくつも書籍化、アニメ化されてるわけですから、そういうものに需要があり支持者が大勢いるってことなんでしょうね。

心に闇を抱えた人がごまんと存在しているということです。メンヘラ時代。

アンチは少数派かも

実はなろう系をネタにして馬鹿にしている人たちのほうが少数派、ノイジーマイノリティでしかない恐れもあります。

このブログにはコメント機能が無いですが、他のサイトを見るとなろう系を茶化した記事に、なろう系というジャンルや作品を擁護するコメが大量に寄せられてるんですよねぇ。

彼らはなろう系の良さがわからないやつは遅れてるとか、昔は馬鹿にされていた小説や漫画、ラノベというジャンルもいまやメジャーになった、なろう系もそうなるとか言ってます。

彼らの言うこともあながち間違ってないのかも。でも、どれだけメジャーになってもなろうはなろう。程度の高い娯楽だとは思えないですね。

ヒロイン

水色髪の子(シシリー)の制服の付与魔法を書き換えるくだりが、意味分からん分からんでした。原作にあった描写がカットされてるんですかね。

婆さんに問いただされ、シンくんの優しさに付け込んだと言って泣いていたけど、付け込んでる場面ありましたっけ?

そもそもシンに書き換え頼んでましたっけこの子。妙にいい話みたいになってましたが、何が起こってたんでしょうね。イミフ。

あとシシリーって、男にとってヒジョーに都合のいい女ですよね。胸の大きい美少女で、すぐ惚れるし、大人しくて気が弱そうだし、主人公に絶対逆らわなさそう。

もてない男の夢と理想が詰まったようなヒロインですが、ジェンダー論の人に怒られそうな設定ですね。男に都合のいい道具(所有物)として女を描いていると言われても反論できん。

まぁそういう女性キャラがいるのは本作に限った話ではないですけどね。女性の描き方を規制すべきと言ってる人がいましたが、フィクションで男の理想を描くくらい許してくれよと思いますね。

本題に戻りますが、水色髪の子は尖った部分がないテンプレ系ヒロインなので、萌えオタ歴が長い人にはあんま人気なさそうな気がします。よくいるやつ。

あとシンが彼女に「何があっても俺が守るから」って言うところはすごく臭かったです。ファンはこれがカッコイイと思うのかな……。

表裏一体

いちいち絡んでくる噛ませ金髪男(カート=フォン=リッツバーグ)は、主人公の敵ではあるものの、作者や読者(ファン)の願望が分かりやすい形で乗っているキャラだと思いましたね。

彼は親の権力でマウントを取ろうとか女を手に入れようとかしています。要するに自分の実力によってではなく、生まれながらの立場や身内の力を笠に着ていい思いをしたい、優越感に浸りたいと考えている。

でも敵なので、そういうやつは痛いよね、うざいよねって描写になっています。作者や読者もその手のマウント願望が綺麗なものだとは考えていない。

しかし本質的にはシンも彼と同じだと思うんですよね。表面的にはマウントを取りたがるキャラとして描かれてはいないシン。でも、作者や読者のマウントを取りたいという願望が乗っかっているという点では違いがありません。

心に秘めた黒い願望を隠しつつ、婉曲的にマウントをとって優越感に浸るための存在がシンです。

常識知らずで自分の力に気づいていないというエクスキューズがあるものの、シンは生まれながらに強大な力を持っていますし、彼の保護者は皆から尊敬され英雄視されている賢者です。

シン本人は能力に無自覚でマウントを取るつもりが無かったとしても、彼に自分自身を重ねている読者は、チートな能力や育ての親の威光によってマウントを取ることができるんですよねぇ。

この手の作品の主人公って作品世界に独立して存在しているわけではなく、読者と切り離せない存在だと思います。

噛ませ金髪カートとシンとは似た者同士。違うのは欲望を露骨に出しているか、隠しているかという部分だけ。

彼らの対立からは、作者や読者の、他人がチートでイキるのは許せないけど自分がチートでイキるのは大歓迎といういやらしさが見て取れます。

噛ませへのヘイトは同族嫌悪以外の何物でもないですね。

第2話総評

今回はくそでしたねぇ。1話は大したことなかったけど、2話はやばい。それに展開が遅くて眠くなりますねぇ…、再生速度を上げるとちょうどいいくらいです。

スマホ太郎は虚無でしたが、こっちは寒さと臭さが目立ちますね。

第3話「緊急事態発生!」

微妙に作画のクオリティが下がりました。輪郭がふにゃふにゃだったりします。あとあんま動きません。

(以下、主人公シンのことは孫と書きます。ネットを見るとシンと呼ぶ人は少ないみたいなので)

またオレ

3話には有名な「またオレ何かやっちゃいました?」のシーンがありました。絵柄は漫画版準拠ですね。

またオレ何かやっちゃいました?

©2019 吉岡 剛・菊池政治/KADOKAWA/賢者の孫製作委員会 第3話より引用

孫は10歳の頃、3メートルくらいのクマの魔物の首を落として倒したそうです。ギャラリーは驚いているけど、本人は彼らが何に驚いているかわからないというネタ。

一種のマウンティングですよねこれも。

孫本人は自分の力が卓越している事に気づいていないのでマウントでも何でも無いのだけど、彼に自己を投影している読者・視聴者は優越感に浸れるという仕組み。

ストレートに俺Tueeeeするのは流石に気恥ずかしいからこういう表現方法になってるんですかねぇ?

なんというかスカした感じが嫌ですね。カッコいいですか、こういうの?

洗脳?

噛ませ金髪のカートくんですが、今回も選民意識がすごい。あからさまに他人を見下します。でもかつての同級生によると昔はそんなことはなかったようです。

実は彼、眼帯の先生(シュトローム)に洗脳されていたみたい。そうだったのかー。性格が荒んでいたのも彼自身のせいではなかったんですね。

その後、洗脳どころか魔人化させられてたことが発覚…おいおい。完全に被害者じゃんこの人。

狂ってしまったカートくんは魔人パワーで孫たちを襲撃。これが結構手強いんですよねぇ。不意打ちだったというのもあるけど、チートな孫が火傷を負うくらい強かったです。

孫はすぐに回復するから意味ないんですけどね。

イキリ

カートに襲われた孫は同級生達に対して、魔物を狩ったことも無いやつが出しゃばるな、邪魔だみたいなことを言い放ちます。

おお…、ここではストレートにマウンティングするんですね。

弱い仲間のことを気遣って避難させた孫カッケー!って思わせたいのかもしれないですが、上から目線でイキってるようにしか見えませんでしたね。

仲間を逃し、一対一でカートと戦う孫ですが、足止め程度だと思って使った魔法で大ダメージを与えてしまいます。

またそれかい!これはギャグなんでしょうかね?全然笑えませんが。

不意打ちでなきゃダメージも受けない孫は強すぎてずるいですねぇ。完全にワンサイドゲーム。

可哀想なカートくん

哀れなカートくんは剣でクビチョンパされ噴水のように血を出して絶命。彼は一方的な被害者だと思うんですが……。洗脳され魔人化させられただけなのに、随分と酷い殺され方ですこと。

一方の孫君は戦闘後、水色のオ○ホちゃんに怪我がなったか心配してもらえます。兵士たちに讃えられます。

さっくり倒しただけなのにここまで称賛されるなんて美味しい立場ですねえ。さすがチート系主人公。カートくんとの扱いの差が際立ちます。

魔人が現れたのは歴史上2回目と言われてました。魔人って国を揺るがすほど強力な設定らしいんですけど、こんな簡単に倒していいんか…。

どうやって話を盛り上げるんでしょうかね。

いや、スマホ太郎など先行してアニメ化された作品から推測するに、盛り上がるような展開にはならないんでしょうね。この手の作品って要するに異世界の日常系なのでしょう。

第3話総評

ツッコミ所が多いものの眠くならず最後まで見られました。不思議。

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