漫画版『俺だけ入れる隠しダンジョン』感想&アニメ版との比較(5巻まで)

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なろう作品『俺だけ入れる隠しダンジョン』の漫画版を5巻まで読みました。アニメ版と比較しつつ感想を書きます。なお、アニメは全話視聴済みです。

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あらすじ

アニメ版のまとめ記事にも書いたのでここでは手短に。

主人公のノル君は、隠しダンジョンで出会った女性から強力なスキルを貰いました。そのスキルを使うためには「LP」というものが必要なので、性欲を満たして貯めましょう。

学校に通ったり、ダンジョン攻略をしたり、冒険者をやったりしつつ、複数のヒロインから気持ちいいことをしてもらうよ。

貰い物の力を使って様々な問題を楽々解決、人生が好転して良かったね…というお話です。

絵・漫画表現について

よくある萌え系漫画とはちょっと違う感じの絵柄でした。割と個性的な感じ。

シャープな印象を受けますね。白黒のコントラストがはっきりした絵で好みが分かれるかな…?個人的には好き。女の子が可愛らしく描かれてるし。

好き嫌いは別として、絵としては整っていると思います。漫画としても読みやすい。

ただ、ギャグ漫画っぽい絵柄じゃないんですよね。後述するように内容はほぼアニメ版と変わらず緩い感じなのですが、絵の関係でアニメ版よりシリアス味を強く感じました。

1話は無料公開されているので、実物を見てもらったほうが早いですね。

外部リンク俺だけ入れる隠しダンジョン~こっそり鍛えて世界最強~ – 原作/瀬戸メグル 漫画/樋野友行 キャラクター原案/竹花ノート / 【第1話】大賢者スキル | マガポケ

漫画版のアニメ化?

漫画版3巻あたりまでは、アニメ版とほぼ違いがありませんでした。アニメ基準で言うと、8話「幼女のお願い」までの内容はほとんど同じです。

どうも『俺ダン』のアニメは、漫画版の映像化という意味合いが強いようです。原作小説は未読なので断定はできませんけど。

少なくとも、アニメスタッフが漫画版を参照したのは間違いないでしょう。漫画版のポーズやセリフをアニメでそのまま利用しています。かなり漫画版に忠実なアニメ化だと感じました。ハーレム自慢大会の描写もほぼそのままです。

さらに、アニメED後の短編(アリス劇場など)は、単行本で各話の間に挟まれるおまけ漫画を元にしてるようです。

ED映像にある、主人公が居眠りしているローラに毛布をかけてあげているシーンも漫画版にありました。

アニメ版との違い

まず序盤。下級貴族の準男爵である主人公に対する差別やイジメが生々しい。アニメ版に比べ、身分のことで虐げられる描写が多かったです。読んでいてちょっと嫌な気分になりましたね。

主人公に同情させるため、あえて辛い思いをさせているのかも。

「これだけ酷い目に遭ったのだから、少しくらい良い思いをしても許されるよね」っていう言い訳に見えなくもなかったです。

序盤は意外に殺伐とした雰囲気。満たされない日常を送る主人公にとって、幼馴染のエマだけが救いであり、心の支えだということがよく分かる演出になっていました。

でもこれ、気楽に読めないのは欠点かな?ストレスフリーを求める読者は、そこで読むのを止めてしまうかもしれません。ターゲット層を考えると、辛い描写をできるだけ削り、ほのぼのとした雰囲気にしたアニメ版の演出方針は間違っていないと思います。

あと、漫画版ではレアアイテムのお店を開くことにした理由が説明されてました。ギルドでアイテムを換金すると出処を聞かれるから嫌なんですって…。そんな理由なのかよ…。隠しダンジョンだし、他の人には隠したいんだねやっぱ。

一方、アニメ版では尺を使って描かれていたお店開店までの流れは、数コマで手短に説明されただけでおしまい。いつの間にか開店しています。具体的描写が少ないです。

そもそも、漫画版のノル君はお店を開く話をすっかり忘れていて、虎丸に言われてやっと思い出した感じ。はじめから乗り気だったアニメ版とは対照的。

アニメ7話(虎丸回)の相違点

チューリップライオン(虎丸)の額から生えている花を妹が手コキするシーンは、漫画版にありません。

主人公が花を性感帯だと知らずに触ってしまって、虎丸が喘ぎ声を上げるシーンはあります。「他人に言えない友達の秘密」らしいですが、アニメ版では妹に知られているという。

アニメ8話(幼女回)のカットされたシーン

隠しダンジョン第7層を探索するシーンの一部が、アニメ版ではカットされていました。漫画版にはダンゴムシや木の魔物と戦う場面があります。

また漫画版では、ドリアードの幼女から助けを求められる場面で、主人公のクズな本音が描写されていたのが良かったですね。

「ドリアードの幼女を見殺しにしても痛くないじゃん。人間の姿に擬態してるけどただの木じゃん」みたいなことを考えている理性的だけど冷たいノル君と、「小さい頃の幼馴染にそっくりな彼女を見捨てることはできない」という感情的で優しいノル君が心のなかで戦った結果、後者が勝ち、ドリアードを助けることになった…という風に、ちゃんと葛藤が描かれてます。

アニメ版では、突然自分の唇を噛んで血を流すというよく分からない描写になっていたので、視聴者から「幼女にキスをしてもらうためにわざと血を流した」だとか、「ノルは性欲に負け外見に騙されるチョロい男」などと散々言われてました。

アニメ版で心の声がバッサリとカットされていたのは、ノル君のクズな部分はなるべく見せないようにしようというアニメスタッフの配慮なのかな?

でも、幼女相手に発情してLPが増える所は忠実にアニメ化されているので、ロリコンな部分は隠せていなません。中途半端に隠したせいで、逆にノル君のクズな部分が目立ってしまっているような……。

ちなみに、幼女からお礼として貰ったアイテムのうち、ローラさんに渡した方は、畑に埋めると100年間豊作になるという凄いやつだったらしい……。そんな設定があったんですね。

あと、漫画版では8層以降の攻略もしっかりと描かれてます。アニメではいきなり14層まで飛んでましたね。

アニメ9話(怪盗回)の大幅改変

9話「夜会へゴー」以降は、漫画版と展開が大きく異なっています。

アニメ版ではあっさり1話で片付いた怪盗編ですが、漫画版では4巻から5巻にかけて、かなりのページ数を使って描かれています。はっきり言って大作エピソードです。これは漫画版のままやってくれたほうが楽しめたような気が…。

まず、拳闘士レイラと出会って仲良くなる過程が丁寧に描かれています。アニメ版ではパーティー会場で出会い、共闘するという展開でしたが、漫画版では以前に別の場所で出会っていました。

あと、アニメ版を見た時「なんで怪盗が人間を盗むんだよ」と思いましたが、漫画版ではノル君が同じ突っ込みをしています。これはアニメ版でも採用してほしかった。突っ込みが入ることで、話の支離滅裂さが多少緩和されるので。

さらに、怪盗のオッサンが事件前にエマちゃんの姿をスケッチして、その絵を舐め舐めするという変態描写がありました。ヤバみが違う。

オッサンの人物像が丹念に描かれていたのは良かったですね。ノル君の暗黒面というか、悪の道に行ったノル君という感じの描かれ方でした。

オッサンはノル君のとは別種の「最強スキルセット」を手に入れ、簡単に犯罪を成功させられるようになりました。しかし、結果として誰にも気づいてもらえないようになり絶望。自己顕示欲のために劇場型犯罪を起こすようになったんですって。

また、オッサンに同情してしまいそうになる過去エピソードも描かれてました。昔から悪い人だったわけではなかったみたい…。

小さい頃に母親と別れ(捨てられ?)孤児になって、生きるため仕方なく泥棒を始めたようです。エマを誘拐しようとしたのも、彼女に母性を感じていたからなんだって…。性欲のためとかではなく、本当は母親と再会したかっただけ。エマには母になってほしかったみたい。小惑星落としを企てた某総帥みたいな感じ。

辛い思いをしてきたせいで歪んでしまったけど、根っからの悪人ではなかったようです。敵キャラだけどノル君より感情移入出来てしまったゾ…。

そんなオッサンをめちゃくちゃ痛めつけるノル君……。もうちょっと手加減してあげてと思うけど、オッサンの過去話は読者にしか知らされていないのでやむを得ないね。ノル君から見たらエマを苦しめる狂った性犯罪者でしかないもんね。

あと漫画版には、エマちゃんが怪盗のオッサンにガッツリ陵辱される描写がありました。胸を揉まれたり、服を切り裂かれたり…。

逆上したオッサンからビンタを何発も食らうシーンは正直興奮しました。もしここがアニメ化されていれば、『回復術士のやり直し』最終回のビンタシーンに対抗できたかもしれないのに残念ですよ~。動画で見たかった。ただ、怪盗回の作画は酷かったので、変な絵面になってたかも…?

なお、救出後のエマのセリフ「汚らわしいって思ってない?」は漫画版に存在しません。アニメ版と違い、しっかり汚されているのにね。(前日の「汚らわしいって嫌いになりそう」のセリフはあります。)

あと、後日談として怪盗を捕まえたノル君が伯爵からやたらと褒められるシーンがありました。なろう特有の主人公アゲです。アニメ版では、お礼に安くお店を貸してもらえたという部分だけ描かれてました。

10話(温泉回)の違い

アニメ版温泉回のAパート、ピクシーと出会ったり洞窟でモンスターと戦ったりする場面は、漫画版に存在しませんでした。いきなり温泉に着いた所からスタートです。

アニオリだったのかな?原作は読んでいないので断言はできませんけど。

あと漫画版には、エマがいなかったら自分も覗きに参加していたという、ノル君の正直なセリフがありました。これは評価できる。

アニメ版では、エロいことはいけないんだよ~という感じの優等生的な発言をしていて、「お前が言うな」感が強かった。

さらに、ノル君がクラスの女子たちに信用されているという描写がありません。周囲のキャラの思考を歪めて主人公アゲをしていない分、漫画版のほうが読みやすいかも。

アニメ版のノル君はクラス女子から、スケベなことが好きではない真面目なやつみたいな扱いを受けていたので、違和感が凄かったんですよね。

人前でキスをする所や、女教師に尻を押し付けられ喜んでいる所をしっかり見ていたクラスメートが、そういう評価をするのはおかしい。

ただし漫画版のノル君は、お風呂でクラス女子全員から性的なサービスを受けています。目隠しを取られて直に裸を見てますし、アニメ版よりいい思いをしている感じ。

総合的に見ると、アニメと漫画どちらがマシか判断しづらいですね。

アニメ11話、12話について

アニメ版ラスト2話の内容は、一部を除いて、漫画版5巻までには入っていませんでした。

一部というのは、オリヴィア師匠の回想シーンです。200年前にノル君のそっくりさんと出会ったエピソードは2巻に収録。アニメ版より早い段階で語られてます。また、最終回のヒロイン大集合で胸を押し付けるシーンが5巻の終わりの方にありました。

ちなみに漫画版では怪盗回の後、ノル君の兄が住む遠くの街へ旅する話になります。

漫画版の良かった点

漫画という媒体の特徴を活かし、絵だけでは伝わりづらい設定を文章で説明。そのおかげで、アニメ版を見て感じた話の支離滅裂さは幾分かマシになっていました。

アニメ版では描かれていなかった主人公の思考や心の声が表現されていたので、クズな主人公に多少は感情移入しやすくなっています。

また、漫画版は自分のペースで読み進められるのがいいですね。嫌なシーンを流し読みして面白い所まで進める事ができるから、アニメみたいに我慢して見る必要がない。

ストーリー展開はほぼアニメ版と変わらないので、作品内容を把握したいだけなら漫画版を読んだほうが良さそうです。

改変が困難

あくまで自分の印象なのですが、アニメ版の改変はあまり良い方向に働いていないように感じました。主人公の臭みを消そうとした結果、逆に臭みが強まってしまったような気が…。

クズな心の声を消した結果、クズなのに自分を善人だと思いこんでいるヤバい奴みたいに見えてしまう場面があったんですよね。

とはいえ、主人公のクズな部分をなるべく見せないようにするという方針自体は間違っていないと思います。アニメ化されたら、なろう外の多くの人の目に触れることになるので、一般視聴者に不快感を与えるような要素は削るべきです。

しかし、この作品の場合、主人公のクズな言動全てをカット・改変すると別作品になってしまうので、消し切れないんですよね…。どうしてもクズシーンが残ってしまう。

エマの恋心を利用しチュッチュしつつ、他のヒロインたちにも気持ちいいことをしてもらうという、男に都合のいい展開こそがこの作品の根幹ですからね。

主人公のクズな性格を改変して「エマ一筋です!他の女の子には興味ありません!」という風にしてしまったら、もはやそれは別作品。

難しいところです……。

おわりに

どちらかと言えばアニメ版より漫画版の方がおすすめしやすいかな…。絵柄が気に入ればですけど。

漫画なら自分のペースで読めるし、アニメと違って作画が崩壊しません。

アニメ版で足されているエピソードは少なく、むしろ削られている部分が多いです。特に怪盗編は漫画版のほうが内容が濃く面白かった。

あと、SM衣装を着たエマちゃんの図(妄想)がえちえちで良かったです。

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