またオレ何かやっちゃいました?TVアニメ「賢者の孫」感想(1話~12話)

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第9話「孫と魔道具と婚約披露」

これまでで最もおぞましい回でした。

シシリーの両親と会う

まずは冒頭、主人公がシシリーの両親に会いに行く所から始まります。シシリーと付き合うのを認めてもらうのが目的。シシリー父には感謝され、母には最終的には結婚してもらうことになると言われます。

両親に会いに行くという展開は唐突な感じがしました。前回付き合うことになったのは知っていますが、いきなりなんなんでしょう。貴族の娘と付き合うには許可が必要なんですかね?

なんというか話が頭に入ってこないんですよねぇ。どうでもいいエピソードに見えてしまい、「なんじゃこれ」っていう感想しか出てきません。

そもそも最初から主人公が何をしたいのか良く分からないアニメでしたね。どうでもいいエピソードだけで出来上がってるんじゃないだろうか…。頭がおかしくなりそうです。

両親に挨拶するくだりをちょっと考察すると、作者は「娘さんを下さい」っていうのをやりたかっただけなのかもしれません。

深い意味はなく、寂しい独身男の自分もこんなふうに結婚したかったなぁという、作者の妄想がそのまま描かれているだけなのか?

そう考えるとやるせないですねぇ。実際には既婚者かもしれないですが…。

「賢者の孫」は物語と言うより、欲望詰め合わせセットなのかもしれません。イキって優越感に浸りたい、みんなから承認されたい、愛されたい、結婚したいとかいろいろ。

不自然な関係

主人公とシシリーの関係が不自然に感じられてしまうのは、二人が交流しているシーンが少ないからなのでしょう。

会話しているところもあまり描かれていないし、本当に仲がいいのか分からない。突然好きになって突然婚約したように見えてしまいます。

ちょっと意地悪な見方ですが、打算的にも見えるんですよね。トロフィーワイフやオ○ホとしてシシリーを必要としている主人公と、彼の権威と武力が欲しいシシリーの利害が一致したから婚約したという解釈(曲解?)もできます。

シシリー父がえらく喜んでいましたが、政略結婚的な意味で喜んでいたのかもしれません。

この異世界において、主人公は大量破壊兵器みたいな存在なので、身内に引き入れてしまえば圧倒的なアドバンテージを得られます。敵対貴族を消し炭にできるので脅しにも最適ですね。

本当の孫じゃないけど

婚約話はこれで終わりではなく、賢者の爺さん婆さんがシシリーの両親を尋ね、主人公のシンは血の繋がった本当の孫ではないと打ち明けるエピソードがあります。

爺さん婆さんは、尊敬を集めている自分たちの孫だから婚約を認めたんじゃないかと疑いを持っているようです。

それを聞かされたシシリーの父は気分を害したようです。彼いわく、主人公はシシリーを何より大事に考えて守ろうとしているから婚約を認めたんだってさ。

うそくさ~! なんか白々しいなぁ。やっぱ政略結婚なんじゃ…。孫はシシリー守ろうとしてましたか? そんなシーンは見た覚えがないですなぁ……。

第1話で暴漢から助けたくらいで、後は自分のアクセサリーくらいの扱いしかしてなかったじゃん。今回も「よくできました」って頭なでてたし、犬とかペットと同じ扱いでしたよ。

空中浮遊

主人公はまた新魔法を開発。反重力で空中浮遊ですって。

周囲から盲目的に崇められ、空も飛ぶ。これもうどっかの教祖様じゃん。なろう系愛好者の持ってる欲望って、カルト教祖になりたいという欲望に近いのかもしれませんね。

主人公はいろいろ付与した変な制服を作って取り巻きに着せたり、通信できる魔道具を作ったりと相変わらず好き放題。取り巻きも災害級の魔物を簡単に討伐できるくらい強くなってます。

どうでもいいなぁ。ここまであっさり強くなってしまうと達成感もなにもないですね。

婚約披露パーティー

最後に婚約披露のシーン。国王までやってきて盛大にパーティーをやります。

晴れ着姿の主人公とシシリーが入場し、みんなパチパチ拍手してるけど、全然めでたい感じがしない。喜び、達成感、その他一切ありません。

なんなんでしょうねこれは。こんなの見せられてどうやって楽しめと言うんだ?

主人公に感情移入して結婚気分を楽しむんですかね? ファンの人はみんなに祝福されてよかったな~なんて思うのかな?

その後、二人っきりになって主人公が改めて告白、キスをして感動的なシーンぽくしていますが、ひたすら滑ってますねぇ。

シシリーは涙を流していましたが、ここまでの関係の積み重ねがないからなんの感慨もないです。過程をバッサリ省略して、いきなり結果だけ持ってこられてもつまらないよ。

どうやって楽しめと?

頭の中は疑問でいっぱいです。これ見て楽しめる人っているの? 誰が見てるのこれ?

言い方は悪いけど、普通の感性では楽しめない作品でしょコレ。感性がブッ飛んでいる少数派のための作品なら、人目につかないネットの片隅だけでやっていればいいのに、何故アニメ化されてしまったんでしょう。ワケワカランですよ。

これで現実逃避できるのか?それが最大の疑問です。別に現実逃避がいけないと言いたいのではなく、こんなもので現実逃避できる人がいるのが理解できないのです。

ストレスフリーどころかストレスフルなんですが。登場人物の感情の流れが不自然で気持ち悪い。

とても人間には見えず、外見だけ人間の異星人かロボット。この作品には魔人が出てくるけど、主人公たちもそういう化物の類に見えますねぇ。

ひどいものを見た

すごくおぞましいものを見せられた気分です。チープという言葉では足りない。興味本位で近づいてはいけない作品だったんですねこれは。ポップな絵柄にしても内容のおぞましさは隠せません。

ネタになるようなクソアニメは嫌いじゃないので視聴してるんですけど、一般的なクソアニメとは別ベクトルの酷さですねこれは。

アニメ化に失敗したというより、アニメスタッフが頑張ってもどうしようもないレベルでイカレた原作だったのでしょう。

この作品を名作扱いしている層は相当病んでるんじゃないかなぁ。

第10話「滅亡する帝国」

前回と比べると全然マシな回でした。普通に見れます。

10話は取り巻きが空を飛んでるところから始まります。主人公に浮遊させてもらって風魔法でコントロールしてるんだってさ。

主人公はスピーカーみたいなものまで作ってるし、もうなんでもありですね。それにしても、素材をどうやって調達したのか謎です。

知識だけでどうこうできるものではないでしょう。イメージしたら出せるのか?

やる気の無いシュトローム

主人公たちが合宿という名目で遊び回っている間にお隣の帝国が滅亡。張本人のシュトロームは帝国に復讐できたのでもうやりたいことがないらしい。

隣国を攻めたい血気盛んな魔人達には勝手にやればイイじゃんと言い、自分は関わる気がないようです。

完全にやる気をなくしてます。敵のラスボスがこれじゃ話が盛り上がらんね。どうやって主人公と関わらせるのでしょう。

ここでシュトローム回想編がスタート。昔は平民思いの優しい領主さんだったようです。

しかし平民を優遇されたら困る貴族たちの陰謀によって妻子を殺され絶望。魔人化して貴族平民問わず抹殺する復讐の鬼になったそうです。なんか可哀想な人ですね。

こんなの見せられたら主人公一派を応援できなくなるなぁ。シュトロームには余生を静かに過ごしてほしいと思ってしまう。

カートの時もそうでしたが、なぜか敵に同情させるような描写が入りますよね。情状酌量の余地をわざわざ与えている。

単純に悪いだけのやつとして描いたほうが主人公たちを応援する動機付になると思うのですけどね。

しかも主人公サイドはペラペラの人物描写なのに、敵キャラは比較的しっかり描く不思議。これじゃ理念もなく無責任に強大な力を振りかざす主人公たちのほうが悪いやつに見えてしまいます。

主人公一派のやってることって、ヘラヘラ笑いながら大量破壊兵器を使用してるようなものですからね。ほんとサイコパスっぽい。

主人公との接点づくり

シュトローム部下のヒゲメガネ魔人(ゼスト)が要らない気を効かせ、主人公をおびき出すことを画策しています。

こうやって主人公との接点を作るのね、なるほど。でもシュトロームはもう目的を遂げたんだからほっといてやれよ。

ちなみにゼストの声は津田健次郎さん。渋くていい声でした。「スマホ太郎」にも出演してました(山本完助役)けど、大物声優が低予算クソアニメに出演しているのを見ると申し訳ないというかなんというか複雑な気分になります。視聴者がどうこう言うことではないのですけどね。

「賢者の孫」には津田さん以外にもベテラン声優が多数出てますよね。その一方ゲストの棒読み素人もいるのでチグハグ感が凄い。

原作からしてクオリティを求められている作品ではない(物語の完成度より欲求を満たすことを優先している)のですから、キャスティングや作画には気合を入れず、新人の練習台にすればいいと思うのですけどね。

「主人公様スゲー」と、マウンティング描写さえ入れとけば原作ファンも怒らないでしょ。アニメ本数が多すぎるのだから少しでもリソースをまともなアニメに回してほしいですね。

ラストシーン

(イキり)王子の王太子任命式(?)をやってます。このアニメやたらと式典をやりますなぁ。作者は華やかな式典に憧れがあるのかな?

そこに魔人出現の報告が。

王子と主人公が民衆の前で演説し、魔人と戦うためアルティメットマジシャンズ出陣、おー! 主人公一派のみんなが空へ飛び上がって終わり。

絵面がくっそシュールで笑えました。ふわーっと浮き上がる所とか最高ですね。今まで乾いた笑いしか出なかったけど、ここはギャグとして普通に笑えました。

©2019 吉岡 剛・菊池政治/KADOKAWA/賢者の孫製作委員会 第10話より引用

しかも背景の街は『このすば』に登場したものと同じなんですってね。

©暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/ このすば製作委員会 『この素晴らしい世界に祝福を!』1期OPより引用

以前登場した洋館も『このすば』に出たものとそっくりだったようです。どういう経緯なのか不明ですが面白いです。共通の素材集みたいなのがあるのかね?

今回は大分マシな内容でした。まあまあ見られます。

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