キャラ絵の省略が気になった:アニメ『ヤマノススメ サードシーズン』4話から6話の感想

記事内に広告が含まれています。

4年ぶりのアニメ化で期待の大きかった『ヤマノススメ サードシーズン』ですが、2話のキャラの絵柄が独特だったのが気になっていました。

2話は一人作画(原画)回だったので作家性によるものという解釈もできるけど、ネット上のコメントを見ると作画崩壊扱いしている人もいました。

というわけで、絵のクオリティに一抹の不安を感じていたのですが、嫌な予感は当たっていて4話以降も絵柄が変な感じの回があり不安が増しています。

予算やスケジュール、人員に余裕がないんじゃないかと。このまま行くと終盤でもっと崩れてしまいそうで心配ですよ……。

今回は、絵のことも含め4話から6話の感想を書いていきます。

※1話から3話の感想はこちら

『ヤマノススメ』感想記事一覧はこちら

【原作コミック】

ヤマノススメ1

4話 『クラスメイトと遊ぼう!』

コミュ障あおい

あおいのコミュ障っぷりが遺憾なく発揮された回です。

クラスメイトと会話中のひなたに上手く話し掛けられないあおい…。か細い声で「ひなた~ひなた~」と呼びかけるのが可愛い。

良いものを見せてもらいました。筆者としては、あおいが成長せずコミュ障のままでいてくれても一向に構わないですね。ひなたにべったり依存して病的な感じでいてくれたほうが逆に嬉しい。

中学時代のあおいは完全な「ぼっち」だった模様。高校生になった現在もクラスにひなた以外の友達がいません。でもクラスに友達がいたらいたでいいかなと思うあおいでした……。

一人もいいけど他愛ないおしゃべりもしたいんだって。コミュニケーション欲求はあるみたい。根っからの一人好きではないのですね。

編み物している時クラスメイトに話しかけられたあおいは、噛み噛みで上手くしゃべれません。それでも頑張って会話しようとする所を見たひなたは、あおいの成長を感じ笑顔になります。

悪人がいない

この作品世界にはいい人しかいないんですかね?

クラスメイトも重度コミュ障のあおいを見下したりせず、上手に会話を引き出してくれます。カラオケに誘って一緒に歌ってくれるし妙に優しい。というか、優しすぎてちょっと違和感あります。

あおいが考えすぎているせいで友だちができないみたいな流れになっているんですよね。

例えばあおいが、カラオケでマイナーな曲を歌って変な空気にならないか心配するのは、別におかしくないと思うぜ。

たとえクラスメイトが意地悪な子じゃなかったとしても、気を使って微妙な雰囲気になることもあるでしょ?

善人しかいない世界なのにそれに気付かず他人を恐れているあおいは変、みたいな描写をするのはちょっと違うんじゃないかと思います。

本作はストレスフリーの日常系とは違い、キャラクターの黒い部分や挫折、苦悩も描いてきたのに、この回は主人公に都合よく事が運びすぎだと感じます。

少しは敵対的な人間、あおいのことを良く思わない子を出しても良いのでは? それを乗り越えてこそ成長を描けると思います。見返すとか、和解するとかね。

みんながみんな協力的だと何か嘘っぽいし、成長も何もないのでは?

『ヤマノススメ』って、安易な美少女動物園とは一線を画す人物描写が魅力だったのにな。ここまでストレスフリーにしてくれなくてもいいのに。

多少辛い展開になってもいいから、キャラクターの成長をしっかり描写してほしいです。

絵のこと

絵がところどころ気になります。手を抜けるところは徹底的に抜いてますね。やっぱりスケジュールか何かがヤバいんじゃないか……?

ちょっと引いた絵になるとキャラがぐにゃりと溶けます。目が点になったり体の描き込みが減ったりしてかなり簡素な絵に。

引きの絵だから多少省略するのは普通だと思うけど、冒頭のあおいとひなたが歩いてくるシーンは、ちょっと省略しすぎなのではと思いました。

じっくり見なくても簡略化されているのが分かります。ここまで単純化するのかと衝撃を受けましたよ。とはいえ、かんたんあおい&ひなたは、可愛いと言えば可愛いし、これはこれでいいかも……。

気になったのは冒頭数分だけで以降は概ね綺麗。大事なシーンは丁寧な絵でしっかり動いていたから良かったです。

なお今回も一人原画。作画オタによると今回は超有名なベテランの人が描いてるらしい。

5話『思い出を写そう!』

アニオリ回

あおい、ひなたの二人に加えここな、ほのかの計4人でロックハート城に遊びに行く話。アニメオリジナル回とのこと。

楓さんは勉強が忙しいとかで相変わらずハブられています。今期ほぼ出番がないですね。不人気だから意図的に外されてるんじゃないかと勘ぐってしまう。そうだとしたらなんか気の毒。

今回は山登りをせず、キャラクターがキャッキャウフフする他愛のない話です。ロックハート城は群馬県に実在するテーマパークとのこと。ヨーロッパから移築された本物のお城ですって。

シーン毎にムラがある

今回も一人原画。作画崩壊はないけど重要なシーン以外は徹底的に力を抜いている感じ。

かんたん作画と静止画が多用されています。言い方は悪いけど、未完成品をそのまま放送したような印象を受けました。やはり現場が色々と厳しいんでしょうかね?

ただし全体的に粗いというわけではなく、一話の中でムラが大きいです。しっかり描き込まれた可愛らしい絵と、力の抜けた目が点の絵が代わる代わる出てきます。シーンごとの落差がひどい。崩れるくらいなら最初から描かないという方針かな?

4話のように数秒かんたん作画が出るのならまだしも、会話シーンの間ずっと目が点だったりするから気になって話が頭に入ってこなかったです。

2期までは丁寧だったのに3期になって粗が目立つ作りになったのは残念。

1期、2期は一点集中で後は手を抜くという作り方ではなく、全体的に丁寧だったのにな……。2期にも一人原画回はあったけど、丹念に作り込まれていて手を抜いている感じはしなかったぞ。

3期になって予算が減らされちゃったのかな? それともスタジオが他の作品で忙しくて手がまわらないのかな? いずれにしても悲しいですよ。

「エンディングテロップに出る作画監督の数が多くなるほどスケジュールがヤバい」と言われますが、一人原画回が頻繁にあるのもそれはそれで不安を感じさせますね。

スケジュールと人手が限られているから、絵が上手で描くのが速い人に丸投げしているのでは? 邪推してしまいます。

6話『コーヒーってなんの味?』

ひなたがカッコよくコーヒー飲んでる所を見て衝撃を受けたあおい。張り合って自分もコーヒーを飲めるようになろうと頑張る話です。

ただ飲むだけじゃなくてコーヒーの淹れ方も勉強。山コーヒーをします。

絵に手抜き感はない

今回は一人原画じゃないです。6話の絵柄はなんか好き。脱力感あるデフォルメが可愛い。よく動くという訳でもないけど、極端な手抜き感が無く絵が全体的に安定していて良かった。

ヌルヌル動くわけではないから作画オタ的には不満な回なのかも?

あおい母について

家のシーンで登場するあおいママは、相変わらず過保護で過干渉な親に見えます。そういう演出意図はないのかもしれないけどね。

あおいがヘタレだったのは、この親のせいではないかと疑ってしまいますよ。

全部先回りして子供のやることを決めてしまったり、親の価値観を押し付けたりすると子供の自主性が育ちづらい。自分で決めてこなかったから自信がつかず、失敗を恐れて挑戦を避けるようになる。

一方、冒頭で出たひなたパパは、あおいママと対照的なんですよね。

ひなたパパは、娘に助言や提案をすることはあるけど、自分の考えを押し付けることはしません。やりたいようにやらせる。ひなたがのびのびとした性格に育ったのは、そんな父親のおかげかもしれません。

もし、あおいがひなたに出会わなかったら、母親の支配から逃れられず暗い人生を送っていたかもと思ってしまいますね。

あおいは登山を始めたおかげで世界が広がり精神的に成長できました。2期6話で富士登山に反対する母親を頑張って説得するシーンは、あおいの自立が感じられて良かったです。

渋々だけど許してくれてジャケットを貸してくれるあおいママ。接し方がマズいだけで娘のことを大切に思ってるんですよね。

大切な一人娘だからこそ構い過ぎてしまい子供の成長の妨げになっているという。妙にリアルな感じがいいですね。

作画オタに思うこと

筆者は全然作画に詳しくないし、スタッフの名前を見てもどんな人か分かりません。ただの萌え豚で、キャラクターを見るためにアニメを見ているという面もあります。

作画オタは、3期の一人原画回をやたらと絶賛しているけど、どこがすごいのか分からないですよ。むしろ個人的には手抜きしているような違和感があって話に入り込めなかったです。

省略を含めて神作画なのでしょうかね。粗い絵や露骨な省略がなかった1期、2期の作画について、彼らはどう思ってるのかな?

3期の作画に歓喜している人たちの気持ちがよく分からないですよ。同じアニメを見ていても全然見ている所が違うんですね。多少崩れていても絵が動きまくれば神作画扱い。

省略作画を擁護している人達はアニメーター個人に詳しく、その人の才能を誉めてる感じ。「誰々は若手なのにすごい」とか、「ベテランの誰々が描いてくれたなんて感動」みたいな。

目の付け所が違いますね。筆者は、各場面を誰が描いてるか気にしながら見たことがないです。

彼らは作画技術を見るためにアニメを見ていて、キャラやストーリーはどうでもいいのかなと思ってしまいます。

筆者が雑に感じた2話の作画を褒めてる人もいるけど、こっちは別にヌルヌル作画で靴紐を結ぶシーンが見たくて『ヤマノススメ』を見てるわけじゃないのですよね。

アニメーターの職人芸や動きの派手さを重視する層がいるのは分かります。一視聴者でしかない筆者に彼らを否定する権利はありません。

でもどうせなら作画オタをターゲットにした別作品でやってほしかった。3期になって急に画風を変えてきたから、どうしても違和感を覚えてしまうのですよ。

あとがき

個人的には派手な動きやヌルヌル作画は要らないので、人物絵を丁寧に描いてほしかった。こういう作品はキャラの魅力で成り立っている部分もあるわけですし、目が点になったり、体がぐにゃぐにゃになるのはちょっと嬉しくない。

こんなことを言っていると、古参の作画オタから「見る目のない萌え豚がアニメの質を低下させているんだー!」なんて批判されそうですけどね。

まあ、彼らの言い分も理解できなくはない……。それぞれの楽しみ方を尊重し、あまり喧嘩はしたくないものです。

次:7話から9話の感想はこちら

『ヤマノススメ』感想記事一覧はこちら

タイトルとURLをコピーしました