「黙れ」のシーンが有名:『物理さんで無双してたらモテモテになりました』漫画1巻感想

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『物理さんで無双してたらモテモテになりました』のコミックス1巻を読んでみました。


物理さんで無双してたらモテモテになりました 1

某ネット掲示板で「黙れ」というシュールなシーンや「キマイラアント」が話題に上がっていた事がきっかけで興味を持ちました。絵柄や世界観が独特で面白そう。

ただアマゾンレビューを見ると評価はあまり高くないみたい。

この漫画はコミックウォーカーというKADOKAWA系の漫画配信サイトで連載されてます。見に行った時には1話、2話、最新話と何故か18話が無料で読めるようになってました。

原作小説は「小説家になろう」に投稿されていた正真正銘のなろう系作品ですが、規約違反でアカウントごと削除されてしまったらしい。性描写が悪かったようです。

確かに今回読んだ漫画版にも子供には見せられないようなシーンが多かったですね。

あらすじなど

異世界アールヴヘイムに召喚された天草ラクトが主人公。「現実世界をリタイアしようとしたところ」を錬金術師に呼び出されたらしい。

リタイアって自殺でもしようとしてたんかね?辛い日常を送っているなろう読者が共感できるようこういう設定にしたのかな?

そして異世界の名前がアールヴヘイムですか…。この手の作品(異世界転生ものやファンタジーラノベ)は北欧神話が好きですねぇ。

この前見たク○アニメ『百錬の覇王と聖約の戦乙女』でも地方名として使われてましたよ、アールヴヘイム。アールヴヘイムの覇者ユングヴィっていう強そうなオッサンがいたから印象に残ってます。

作品内容と「物理」の意味

『物理さんで無双してたらモテモテになりました』というタイトルの時点で、内容は大体分かりますよね……。「なろう」では、タイトルで中身が分からないと読んでもらえないと聞いたことがあります。

「無双」の部分から分かるように、主人公のラクトくんはチートキャラでメチャ強いです。

分かりにくいのは「物理さん」の部分。これは物理学を駆使して戦うという意味ではなく、物理攻撃(ただのパンチ、ただのキック)で敵を瞬殺するという意味でした。

しかし物理に「さん」が付いている理由が謎です。そういう名前のサポートキャラが出るわけでもないし、語感がいいから「さん」を付けただけなのかね?

で、物理攻撃で敵を瞬殺した主人公が女の子にモテまくるという、いつものやつです。

ラノベの主人公って、やれやれ系だったりイキってたりしてウザいやつが多めだけど、本作の主人公ラクトは意外と不快感が少なかったです。ある程度の好感は持てる。

少なくとも、『異世界スマホ』のサイコパス主人公望月冬夜くんとか、『百錬の覇王』の偉大なる宗主ユウト様に比べると何倍もマシですわ。欲望に忠実な性格で変にカッコつけないのが良いのかもしれない。

本作主人公は、寝床で待ち受けていたヒロイン5人に子種をくれと頼まれた時、躊躇せず片っ端から種付けをしてました。

ははぁ…そうきたかーと思いましたよ。ハーレムものやラブコメでは、こういうシチュエーションになると拒否して逃げ回る主人公が多いのだけど、フツーにやるんかい! そういうことをするからBANされたんでしょうね。

でもそうしてくれたほうキャラの行動に納得がいきます。性欲を持て余してるくせに、言い寄られると逃げ回る主人公が多すぎるんじゃい! あれは不自然ですよ。

掲載誌などの都合で仕方ないんでしょうけどね。エロ本じゃないからね。

性的に描かれるケモミミヒロイン

出てくる女の子はみんな獣人。ケモミミとしっぽがついてます。イヌ、ネコ、ウサギなどなど。

この漫画では女性キャラの体がとても性的に描かれています。構図もいやらしい。卑猥な場面が多く、ほぼエロ漫画と言っても差し支えないでしょう。上は一切隠さず描かれているので、15禁ぐらいにしてもよさそう。

さらに異世界の女の子達はすぐ漏らします。1巻だけでも複数のキャラの粗相シーンが。しかも足や顔にクスリ(媚薬ではない)を塗られただけでイキまくるという狂った世界観です。

そこを楽しめるかどうかがこの作品の評価を分けると思いますね。ストーリーよりキャラクター重視の作風。キャラに魅力を感じられなかったら、楽しめる部分がほぼ存在しないでしょう。

すぐ漏らすヒロインたちや卑猥な絵面にドン引きした人が、アマゾンで星1つの評価をするのも理解できます。

やたらと重い設定、世界観

ヒジョーにお馬鹿でお下品な内容にも関わらず、世界観はえらく殺伐としています。

盗賊はモンスターと同じ扱いで「身ぐるみを剥ぐのが自由なら命を奪うのも自由」「殺す前に犯したってお咎めはない」。

ヒロインの一人は首輪を付けられ強制労働。囚人兵として危険な任務をやらされる。

囚人兵は捨て駒。遅効性の致死毒を飲ませ餌にすることで食べたモンスターを倒すとか、爆薬を持たせ自爆攻撃させるとか酷い扱い。

別のヒロインは、父親の犯した罪により7年間人体実験のモルモットにされ眼球をえぐられた

むやみに重すぎないですかコレ? なろうでは、『異世界スマホ』みたいな平和すぎて刺激が無い話が好まれるんじゃなかったっけ??

主人公は転生前の世界(現代日本)で両親から虐待を受けていて、それがトラウマになっていることが分かる描写もあり無駄に重いです。

負けた女の子がおもらしする世界なのに重い!重すぎる! このチグハグさが奇妙な雰囲気を作り出していますね。

「黙れ」

ネットの一部で有名な「黙れ」のコマ。これは、囚人兵を非人道的に扱っている貴族に対して主人公が憤る場面でした。実はカッコいいシーンだったんですね。意外。

この場面から分かるように、主人公ラクトは一応正義感を持ってるので、人を傷つけてヘラヘラしてるサイコパス系主人公よりは魅力があります。

このシーンの問題は絵に全然迫力がないこと。だからネタにされてしまうのですけど……。

キマイラアント

キマイラアントはライオンの姿をしているのに何故アントと呼ばれるのか。これも掲示板で疑問視されていました。絵を見てもアント(アリ)要素が入ってないんだよなぁ……。

この点に関してネット上で考察され、『ハンター×ハンター』のキメラアントを見た『物理さん』の作者が、キメラアント=合成獣という意味だと勘違いしたのではないかという説が主張されていました。

「キメラ」「キマイラ」は合成獣という意味ですが、本作の作者は「アント」の部分も含めて合成獣という意味だと勘違いしているのではないかという説です。

作者の頭の中では「キマイラアント」=「合成獣」なのでは? ということ。

でも実際に漫画版を読んでみるとその説は間違いだということが分かりました。

『物理さん』にはアリ型モンスターのガードアントというのが出ます。その女王であるクイーンアントを討伐するため、主人公はヒロインと巣に潜入します。

その巣の中で登場したのがキマイラアント。アリ型モンスターの一種だからアントでもおかしくはない。

さらに本作には、まるでオムツを履いているかのようなデザインのライオンが登場します。掲示板などで「オムツライオン」と呼ばれているやつですね。

実はこいつもキマイラアントで、実際にはオムツを付けているわけではなく、オムツに見える下半身の線はアリの尻の部分をイメージして描かれていたようです。

画力の問題で分かりにくくなっているだけで、アリとライオン等の合成獣ということらしい。つまりアントでもおかしくないです。原作者が言葉の意味を理解していないわけではなかったみたい。

おわりに

絵がネタにされていたのがきっかけで『物理さん』の存在を知りましたが、実際読んでみると、言われているほど酷い画力ではないことが分かりました。一部を切り出すとヤバい印象を受けるけど、通して読んでみるとそこまででもない。

戦闘シーンに躍動感が無く、何が起こっているのか分かりにくいのは問題ですが、それ以外は十分見れるレベル。キャラクターの絵はけっこう可愛いと思いました。人体は描き慣れてる感じ。

ただ、動かない「絵」自体は悪くないものの、動きを見せる「漫画の技術」の方は微妙かなという印象です。何が起こっているのか分かりづらい。

また、ストーリーはあって無いようなもの。キャラが可愛いと思えるか、性的な描写を楽しめるかどうかがこの作品の評価を左右するのだと思います。

個人的にまぁアリかなと思いました、キマイラアントだけに(激寒)。

あくまで好みの問題ですが、異世界でスマホを全然使わない某作品よりはキャラに魅力を感じましたし、無駄に殺伐とした世界観が楽しかったです。

続き:黙れドン太郎こと『物理さん~』漫画版2巻、3巻の感想


物理さんで無双してたらモテモテになりました 1

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