『物理さんで無双してたらモテモテになりました』漫画版2巻と3巻の感想です。
「黙れドン太郎」という愛称がすっかり定着しましたね。
どストレートなネーミングだけど分かりやすくて音の響きも素敵。イキリ骨太郎(ファンの人に言ったら怒られるやつ)に負けないくらい語感が良くて、口に出したくなる日本語です。
さて、1巻を読んでからしばらく間が空きましたが、話題になっているようなので続きを買って読んでみました。相変わらずの内容ですが、まあまあ見どころもある感じ。
あらすじと見どころを書きます。
※ネタバレがあるので注意。
アリとの戦い
2巻はアリの巣探索の続きから。今回キマイラアントは回想でちょっと出るだけです。
主人公のラクト(ドン太郎)が、クイーンアントと一対一で戦うのですが絵にあんまり迫力がありません。戦闘シーンはやっぱり微妙ですね…。
「葬剣舞 飛空斬」や「月天葬牙」など、剣を使った厨ニ臭い必殺技を繰り出したものの、一切ダメージを与えられず、例のごとく物理攻撃でやっつけます。手刀で首をスパーンと。
いや、素手のほうが強いなら剣いらんでしょ…。最初から物理攻撃しろよ。
こいつが剣を使うのは縛りプレイの一種なのかな?銃メインのゲームでナイフ縛りみたいな。
それとなろう主人公って、敵の首を切って倒すのが好きなんですかね?『賢者の孫』の主人公もやってました。無慈悲に首を落とされたカート=フォン=リッツバーグくん可哀想…。
戦いに負けた女王アリはラクトの実力を認め、死ぬ前に娘を託すのですが、その娘は普通に人間の形をしていました。謎です。
アリっぽい形をしているクイーンに対し、娘は触手っぽい髪の毛があるだけの人間。どういうことなの?
アリ要素が少ないのにアント呼びされていたオムツライオン(キマイラアント)も違和感がありましたが、今度は人型でもアントなんですね。わけわからん世界観です……。
他者の遺伝子を自分のものにできる種族だと言っていたのでその関係なのかな?
メタ視点の理由としては、女体化しておかないとハーレムに入れられないからというのもありそう。アリの姿では勃たないから普通の女の子にしたのかな?
この後イチャイチャ微エロシーンがあってアリ編はおしまい。次はグルメマンガ風の話になります。
喫茶店編:安売りは悪
ハーレムの女の子の知り合いがやっている喫茶店が経営危機に。新しくできた向かいの店に客を取られているらしい。客として調査しに行ったラクトはメニューを見て不機嫌になります。
なぜかと問われ「…モノを安く売るってのは犯罪的な暴力だからだよ」と回答。
安く売っちゃだめなんかい! その理屈だとディスカウントストアは凶悪な反社会的勢力ってことになりますね。
むしろ価格協定結んで値段釣り上げるほうが悪じゃん。と思ったけど、どうやら違うらしい。
近くの店が潰れるまで採算度外視で安くして、潰れてから値上げを企ててるんじゃないかとラクトは疑っています。異世界には不当廉売(ダンピング)を規制する法律が無いからやり放題。
しかもその店を経営してるのは日本からの転生者らしい。異世界には無い食べ物(マヨネーズや味噌ラーメン)を知っていました。
この人は独創的な調味料で巨万の富を築いたカミーユ=フェリックス。結構有名な人なんですって。(しかしカミーユって言ったらあっちを連想するなぁ。)
このカミーユという女は「抵抗できない弱い相手を上から自由にいたぶる」のが好きなイキりマウンティング体質。
人を見下したような態度にキレたラクトは無言で机をバンと叩きます。無言でバン太郎。
しっかし机叩くの好きですね、この人。前世では虐待されていた設定らしいので、親のマネなのかな。悲しくなるわ…。
さらに机を叩くだけでは飽き足らず、アリ娘を使ってカミーユに超能力セクハラ攻撃。やらしい!
やっぱこれ、なろう系というよりエロ漫画に近いですね。性表現が原因でなろうから追放されただけのことはある。
ドン太郎はしらばっくれてニチャァ…
この後、カミーユの店に対抗し、喫茶店を繁盛させるため色々準備する話になります。でも、ほぼイチャイチャと微エロしかありません。ネタ的な意味で面白いシーンがないまま2巻は終了。
カミーユ宅を襲撃
ここから3巻。ハーレムメンバーたちとメイド喫茶を開店、繁盛するのですがゴロツキが襲来。
獣人ヘイト発言をしつつ絡んできたので物理攻撃で撃退します。
ゴロツキの親分をやってる女の子も物理+セクハラ攻撃で撃退。有り金全部奪い取りました。ドン太郎って地味に外道だな…。
さらにゴロツキを差し向けたのはカミーユじゃないかと疑い、彼女の家にカチコミ。ドアをガンっと蹴破ります。ドアをガン太郎。
こっわ。コイツラもチンピラじゃん。
主人公側が敵と変わらん悪事を働くというのも、なろう系に良くあるパターンな気がします。
カミーユがゴロツキを送り込んだ証拠を突きつけたラクトは、お仕置きをして屈服させることに成功。
泣きながら自分語りを始めるカミーユ。転生前はハードないじめを受けていたらしい。だから転生後はいじめる側に回りたかったんだって…。
だからあんなにイキってたのかぁ~、ちょっと納得。
「関係ないやついじめるのはダメだろう」と諭すラクト。いや、過剰な暴力振るってるお前が言えたことかよ…。
これって、もしかするとメタな意味合いがあるんでしょうか?異世界で弱い者いじめをすることで現実の鬱憤ばらしをするなろうファンをカミーユに重ねているのか?
あとトラウマ描写が結構きついです。
カミーユが言うには、「忘れたつもりでいても夢の中にそいつら(イジメ加害者)が出てきて、目が覚めたあとも心臓がビクビク震えたり、イライラが止まらなくなる」そうです。
なんか重い!妙に暗くて生々しいわ!
親に虐待されてたラクトも同じような夢をみるんだってさ。
散々お馬鹿な話をやっておきながら、突然リアルで重苦しい描写が入るのが『物理さん』の魅力ですね。おバカなエロ描写だけだったら単調になってしまう。
あとカミーユは、靴の中で作られたカップラーメンを食べさせられたりもしたようです。やめてくれ…。
残りは虚無
この後は平常運転。一応学園都市に行くというストーリーはあるのですが、結局イチャイチャするだけ。
あと、見どころという程ではないけど、水晶玉を使ってステータス表示する場面があります。なろうでよくあるやつ。揶揄されることの多い「ステータスオープン」ですね。
やっぱり異世界っていうのはゲーム世界のことなんですかね?むやみにステータス要素を出すと世界観がチープになると思うのですが…。
残りは、ドン太郎が順番にハーレムメンバーに手を出すだけの内容で単調です。正直退屈。節操なくハーレムメンバーを増やしますが、あまり個性がないので誰だっけこの子となりました。
ネタにできる要素さえ無く、だんだん虚無漫画になりつつあります。サービスシーンも全然嬉しくないし3巻後半には楽しめる部分がない。
絵柄は嫌いじゃないですが、中身がこれでは続きを読みたいとは思えません。
ネタとしてではなく真面目に読んでる人はイチャイチャを見るのが楽しいんでしょうかね?
まあまあ売れてるようですが、誰が買ってるのか謎です。えちえちなのが読みたかったら普通に成人向けを読めばいい思うのですが……。