2019年夏のなろうアニメ『異世界チート魔術師』の話題です。
全12話で終了したはずのアニメだったのですが、放送から約2年が経過した今年（2021年）7月に、未放送の新作エピソード第13話が放送・配信されました。
SNS上では驚きの声が上がり、2期が始まったと誤解する人も出ています。
確かにこの時期に公開されるのは意外ですね。
他のアニメで、作画がメチャクチャになり放送中断、作り直して1年後に続きを放送というのはありましたが、問題なく放送できたアニメの新規エピソードを2年後に公開するのは珍しい。
関係者のツイッターから推測すると、最近作ったわけではないみたいです。2019年に完成していたものを公開せず取っておいたのかな？だとしたら意図が気になります。
もしかして、本当に2期制作発表の布石なのでしょうか？
例えば、円盤の売上が芳しくなく、ネットの反応を見ても人気があるとは思えなかった『神達に拾われた男』でさえ、2期制作が決定する時代ですからね。
海外配信の収益や、原作小説、コミカライズ版の販促効果を考慮し、続編を作るメリットがあると判断されたのでしょう。
『異世界チート魔術師』は、シリーズ累計310万部を突破（2021年2月時点）したので、原作人気は十分にあると思われます。もしかすると近いうちに2期制作が発表されるかも？
12話までを振り返る
アニメ版は2年前に視聴し各話感想を書いています。
13話に言及する前に12話までを振り返り、全体的な感想を述べます。
はっきり言って作画はかなり悪い部類でした。『いもいも』や『メルヘン・メドヘン』（TV放送版）など、伝説的な作画崩壊アニメ比べればマシですが、全然動かないですし、キャラ絵は全体的に崩れ気味。低予算感溢れる絵面でした。
絵が酷いせいでシリアスなシーンもギャグにしか見えません。画面があまりにも安っぽいので、悪口で「異世界チープ魔術師」と呼んでいる人もいました。
作画に限定せず、アニメ全体として見ても残念な完成度です。序盤のストーリーは一昔前のテンプレ。なろうが流行る前のファンタジーラノベで見たことがあるような展開で、良く言えば懐かしい、悪く言えば古臭いという印象を受けました。
また、主人公は口先で「チート」を連呼するだけで、実際には大して強くなく、そこら辺の敵に苦戦することも多い。他のなろう系チート主人公と比較すると、非常に見劣りします。
ボロボロで血まみれの主人公が得意げに「チートだぜ！」と発言するのは、下手なギャグにしか見えません。
さらに、洗脳されたと思しき女の子がふらーっと戦場に現れ、ドラゴンのブレス（炎）で腹に穴が開いて絶命するなど、意味不明な展開・演出が多く、突っ込みどころ満載でした。
ちなみに、漫画版を6巻まで読んでみたのですが、絵が綺麗で読みやすいですし、演出のおかげで主人公の強さが伝わるようになっていて、口だけチート感が多少マシになっています。
ストーリーはほぼ同じなので、内容を知りたいのならアニメ版よりおすすめです。ただ、原作由来だと思われる謎シーンはそのまま残っているのが残念でした。ドラゴンの炎で丸焦げになる代わりに、腹に穴が開くというのは納得いきません。
第13話「宵星の祭りと魔術師」感想
さて本題。最近公開された13話の感想です。※ネタバレ注意。
2年ぶりの新エピソードですが、特に作画が綺麗というわけではありませんでした。崩れてはいないけど、美麗な感じではないです。いたって普通ですね。
まあ、クッソチープだった12話までに比べれば上等だと思います。
また、日常回だからということもありますが、そこまで動きません。アニメーションとして面白いシーンは特になし。
主人公が精霊シルフィの力で天気を晴れにするシーンにも言いたいことがあります。風の力で雨雲を吹き飛ばすと言いながら、風を使っているようには見えず、それこそチートで雲を消去したという感じの演出でした。
正直地味です。竜巻でブワーッとやると思っていたので物足りない。もっと派手な描写が見たかった。
次にストーリーについて。12話で王都を後にした主人公一行がアズパイアの街に帰還し、年に一度のお祭に参加するという内容。冒険者ギルドの屋台を手伝ったりします。
これは、死者の国の門が開いて現世に魂が戻ってくるとされる日のお祭りで、主人公は日本のお盆みたいだと言っていました。ハロウィンやメキシコの「死者の日」も想起させます。
この時点でオチが読めてしまいますよね。ドラゴンブレスで意味不明な最期を迎えたあの子が、一日だけ帰ってくるんだろうなと。
予想通り、ちょっと切なくいい話として終わりました。死者との邂逅は定番のストーリーですね。『ごちうさ』3期7話（ハロウィン回）を思い出しました。「今夜は幽霊とだって踊り明かせる」というサブタイトルがぴったりじゃん。
ちなみに『ごちうさ』3期は、『チート魔術師』と同じくエンカレッジフィルムズ制作なのですが、同一スタジオが作ったとは思えないくらい作画が整っていました。
やっぱり、予算に応じてクオリティが変わるのかな？低予算だと海外丸投げで、国内のスタジオでは一部修正する程度なんでしょうかね？
本編に話を戻します。いつまでも死んだ女に囚われている主人公でしたが、このままでは凛ちゃんが負けヒロインになってしまいそう。凛ちゃんの「私は身を引くわ…」みたいなシーンがあり、別の意味でも切なさを感じるストーリーでした。
幼なじみは絶対に負けるのが運命なんでしょうかね？でも、ミューラと百合展開になるからいいのかな？そう思わせる描写もちょこちょこありました。
おわりに
2期があったら多分見ます。1期は作画やシナリオが酷かったけど、キャラクターは結構好きでした。イキリや不自然な主人公ヨイショがない点も評価できますね。
