【鉄血のオルフェンズ】キャラクターについて思うこと【1期感想 その2】

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『鉄血のオルフェンズ』1期の感想。前回はストーリーについて書いたので今回はキャラクターのことを書きますよ。

前回:コロニー編以外は面白い – 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』1期感想 その1

『鉄血のオルフェンズ』1期を最終話まで視聴しましたが、敵味方問わず大半のキャラクターが魅力的に感じられました。ありきたりでつまらないキャラクターというのがほぼいません。脇役でさえキャラが立っています。

それがこのアニメの凄さだと思います。登場人物の内面や人物同士の関係性も丁寧に描かれていました。

ではここから、気になったキャラクターについて具体的にコメントしていきます。なお、本記事のメインは、オルガの項目以降です。

カルタ・イシュー

カルタは地球外縁軌道統制統合艦隊司令官のおばさん(?)です。地球を目指す鉄華団の前に立ちふさがる敵ですね。やたらとインパクトのある見た目と言動で、異様にキャラ立ちしていました。

平安貴族みたいな眉と化粧は本人の趣味なのでしょうか。イシューというファミリーネームを見ると日本とはつながりはなさそうですが…。

なお、見た目は完全におばさんですが、ガエリオやマクギリスの幼なじみだそうです。年齢はどれくらいなんだろう…?

初登場時はネタキャラのように見えたものの、実際には違っていました。ギャラルホルン内で辛い立場に置かれており、苦悩や葛藤が感じられます。意外にもシリアスな背景を持つキャラでした。その点に付け込まれ、陰謀によって命を落としたのは気の毒です。

鉄華団サイドから見れば、ビスケットを殺害した憎い相手だったのですが…。

それにしても「地球外縁軌道統制統合艦隊」ってやたらと長くて言いにくい。略称は無いのかな? 早口言葉みたいだけど、作中ではみんな噛まずに言えていて少々違和感が……。

ガエリオ・ボードウィン

マクギリスの友人でいいとこのお坊ちゃん。当初はチャラくて軟派なイメージだったけど、根は真面目なやつでした。部下のアインを大切にするし意外と責任感もあります。ギャラルホルンの腐敗に不満を持っているようです。

1期終盤では敵側のガエリオが主人公みたいになっていました。鉄華団やマクギリスは倫理観が崩壊していて感情移入できないので、まともな感覚を持っている彼を応援したくなりました。カルト化した鉄華団と腹黒マッキーを止めてくれと。

マクギリス・ファリド

有能なイケメン紳士。火星訪問時にチョコレートを渡したことから、三日月にはチョコレートの人と呼ばれます。中盤から鉄華団を支援してくれるのですが、実のところ超腹黒い人物。野望のため鉄華団を利用しようと考えています。

マクギリスは、ギャラルホルンに内通者がいる、腐敗極まれりと憤るフリをするものの、実は自分が鉄華団に情報を流していました。さらに言葉巧みにガエリオを誘導し、死にかけのアインを阿頼耶識システムの実験台として利用。化け物にしてしまいます。

また、幼なじみのカルタを心にもない言葉でおだてて戦場に送り出し、三日月に始末させます。内心では、カルタが前の戦闘でさっさと死んでいればよかったのにと思っているんですよね。顔に似合わず悪いやつだなぁ……。

その一方、仮面をかぶるとテンションが上がってしまう子供じみた一面も見せます。

クーデリア・藍那・バーンスタイン

初登場時は世間知らずのお嬢様で可愛い。でもただ可愛いだけじゃなく鉄華団との価値観の違い、生きている世界の違いをあぶり出してくれる重要なキャラです。彼女の存在がオルガや三日月の置かれている過酷な状況を際立たせます。

クーデリアは阿頼耶識システムを非人道的だと言いますが、三日月達は生き残るために使わざるを得ないんですね。手術に失敗すると命を落としたり身体が動かなくなったりしますが、教育を受けていない彼ら子どもたちが、労働力・戦闘力として活躍するためには必要不可欠なシステム。

大きなリスクを取ることになるけど、生きるために選り好み出来ない立場だったのです。世間知らずで理想主義者のクーデリアは、鉄華団と関わることで厳しい現実を知ります。

読み書きできない鉄華団の子どもたちが、クーデリアに字を教わるシーンは希望があって好きでした。戦うことが存在理由みたいな三日月が、本を読めるようになって野菜のことを勉強したいと言ったりね。教育があれば彼らにも平穏に暮らせる道があるのかもしれない……。

しかしクーデリアのほうは、鉄華団と行動をともにするうちに、目的のためには手段を選ばない非情な人になってしまったようです。生き残るためには必要なことなのでしょうけど、感情移入はしづらい。

終盤の彼女は正義や倫理とは無縁の人間になってしまいました。子供を捨て駒にして目的を達成することに少しも躊躇がありません。必要とあらば一切のためらいなく命を奪える三日月のメンタリティに近づいた感じ。

クーデリアは理想と現実の間で苦悩していた前半の方が魅力があったと思います。終盤はあまりにも吹っ切れすぎで、なんか幻滅しました。

オルガ・イツカ

2期終盤の死亡シーンのせいでネタにされてるけど、非常に魅力的なキャラだと思います。本当にカッコいい。自分の身を犠牲にして仲間をかばえる強くて優しい男でした。序盤ではCGSの大人から仲間を守るため、サンドバッグのように殴られていました。

皆がついて行きたくなる頼りがいのある団長です。

ただ、敵対者を殺害する際いつも三日月に任せる点は気になりました。オルガ自身で人を撃つことがありません。

戦闘集団のトップだけど、本心では暴力が嫌いで、人を傷つけることに抵抗があるのかもしれません。三日月に一目置いているのは、躊躇なく命を奪える彼に、自分に欠けているものを見ているからなのかも。

優秀なリーダーに見えるオルガですが、結構危うい部分もあります。第6話でビスケットに「わざと危険な道ばかり進もうとして気がする」と心配されていましたが、そのスタンスを改めることはありませんでした。

「三日月にカッコいい所を見せるため」という個人的かつ感情的な理由で、リスクを冒して前に進むことにこだわり、進み続けると言います。

進むとは言っても、彼には具体的な目的地が見えていないようです。「やると決めた以上は前に進むしかねぇ」という発言からも分かるように、理性的な判断よりも感情や勢いが優先されているので、危なっかしいですね。1期の時点で既に破滅が運命づけられてたのかもしれません。

どうも、三日月との関係性が、彼の判断に大きな影響を及ぼしているようです。最初は三日月がオルガに依存し自分の思考を放棄しているように見えたのですが、オルガのほうも三日月にべったり依存していました。

彼は戦力としてだけではなく、精神面でも三日月を支えにしています。三日月に良い所を見せるために無茶をやって破滅するというのは、なんとも愚かで哀しみがあります。

オルガは一見すると頼りがいのある団長ですが、実際にはまだまだ子供で未熟な部分があります。鉄華団は二人だけじゃないのに、個人的な三日月への執着によって、他の仲間達まで危険に晒すのはリーダーとして失格。

皮肉なのは、危険な道へ連れて行かれる他の団員達もオルガのやり方に反対せず、思考停止して全面的に受け入れているところ。心配してアドバイスをするビスケットでさえ最終的にはオルガの判断を尊重し黙って付いて行きました。いいのかそれで……。

カルト化した鉄華団

終盤、ビスケットの死亡によってオルガに意見する者がいなくなった鉄華団は、より過激で無軌道な集団になります。ビスケットの弔い合戦という大義名分を掲げていますが、ただの言い訳にしか思えません。蒔苗には「あの子らが望んでいるのはただの破壊よ」と言われる始末。

鉄華団は、誰もオルガにノーを言わない狂信者の集まりになりました。団員はオルガのためなら喜んで命を投げ出します。

オルガは演説で団員の命をチップ呼ばわり。命を落としても組織の糧になるから喜んで殉職しろみたいなことを言うんですよね。

もうここまで来ると、純粋な子どもたちを洗脳して死地へ追いやるカルトテロリストですよ。完全に暗黒面に落ちてるじゃんコレ。鉄華団が悪役になっちゃったよ。もう一切感情移入できない。

三日月・オーガスはまるで悪魔

オルガや鉄華団がこうなってしまった元凶は三日月のような気もします…。ビスケット死亡後もオルガには良心が残っていました。危険な道を選んできた自分のやり方は正しかったのかと悩んでいた。

それなのに三日月が止まるなと煽るもんだから、オルガをヤケにさせてしまったんだよなぁ。

第22話『まだ還れない』の、「ああわかったよ!連れてってやるよ!(…)連れてきゃいいんだろ!」というセリフは、あえて破滅へ突き進んでやるという宣言でしょうね。

あーあ、三日月が変なこと言ったせいでオルガが壊れちゃったよ……。悪い方向に腹をくくってしまった。

三日月はホント無責任なやつなんですよ。煽るだけ煽って責任は全部オルガに背負わせて「次はどうすればいい」って…。ビスケットが復讐を望んでいないことはオルガにも分かっていたのに、三日月のせいで止まれなくされてしまった。

オルガはある面で三日月の言いなり。三日月の目を常に気にしているから、彼を失望させるような選択肢を選べません。

三日月は自分で考えたり決めたりせず、オルガに丸投げしているように見えますが、オルガの方も、三日月の機嫌を伺って方針を決めています。

つまりオルガも自らの強い意志で方針を決めているわけではなく、三日月の気持ちを忖度して決めている。

三日月はオルガにコントロールされているように見えて、実はオルガをコントロールしているというね。これは共依存の関係に近いのかな?

倫理観が壊れていて暴力上等な三日月の期待に応えようとすれば、オルガは必然的に過激な道を選ぶことになってしまいます。

タチが悪いのは、オルガの決めた無茶な方針を正当化してしまえるほど三日月(とバルバトス)が強いこと。三日月が強すぎるせいで鉄華団員は身の丈に合わない成功を信じるようになり、結果として沢山の犠牲を出すことになります。なんという悲劇。

やっぱり三日月は悪魔だわ。かりそめの夢を見せる代償に団員の命を奪う。三日月は主人公じゃなく、もう悪のラスボス感があります。

善悪の判断が壊れている彼には全く共感ができず、人間としての魅力はありません。ひたすらクールで強いという兵士(むしろ兵器?)としての魅力しかない。

敵を人間扱いしない三日月

三日月は仲間には優しくできるのに、敵は人間扱いせず虫ケラ同然に処分していきます。そこが不気味で仕方ない。単純に感情が無い機械のようなキャラクターだったら、まだ受け入れられたと思います。

感情を持っているのに、敵に対しては良心や共感を完全に停止させているという、この割り切りが怖い。人として大切な部分が壊れているような気持ち悪さ。

三日月がオルガや鉄華団の仲間を大切に思っているように、敵も人間であり大切な人がいる。そのことが眼中にないのですね。どうしてそこまで非情になれるのか。尊敬するクランクを無残に殺され、やり切れないアインの言葉を「ふーん」のひとことで流せるのは怖い。

命のやり取りをする兵士としては正しいあり方なのかもしれないし、彼の境遇ではそうしないと生き残れなかったのでしょうけど、ちょっと個人的には好感が持てない。彼のような人物を応援したいとは思えませんね。

初期クーデリアのような、現実が見えてないワガママな思考かもしれないけど、何かこう理想や正義のために戦ってくれたほうが応援したくなります。フィクションなんだから少しは綺麗事が欲しいわけですよ…。だから鉄華団より敵側のガエリオに感情移入してしまう。

極限状態を生きてきた鉄華団員とは対照的に、ガエリオは生まれながらの特権階級で世間知らずの坊っちゃんです。厳しい環境で生きる人達を知らず、甘っちょろい理想に生きてる。でも逆にその甘っちょろい理想や正義感が美しく尊いものに見えてしまう。

鉄華団の価値観はあまりにも厳しく冷たい。はじめは自由を手に入れるために戦うというポジティブな部分もあったのだけど、だんだん先鋭化して、破壊を求めるだけのおかしな思想に至ります。ちょっと理解のできないところまで行ってしまった。

鉄華団のメンバーはさんざん虐げられ苦しい思いをしてきた人達だから、凶行に走るのも仕方ない。情状酌量の余地があるという考えは分からなくもない。頭では分かるのですが、自分には、感情として彼らの行いを受け入れることができませんでした。

おわりに

『鉄血のオルフェンズ』のキャラ達は、皆なかなか個性的で目を引くのですが、次第にどうしようもない奴らになっていくのが見ていて辛かった。

はじめは鉄華団を応援しながら見ていたものの、だんだん同情できなくなりました。終盤にカルト化した鉄華団を見て、早く壊滅しろよと思ったくらい。

三日月やオルガに関しては、あえて王道から外したキャラ作りをしたのでしょうね。たしかに新鮮味はありました。でも、単なる逆張りだと心に残る作品にはならないと思います。主人公サイドに全く感情移入できないのですからね。

どのキャラクターの視点で物語を見れば良いのでしょう。アインは元々真っ直ぐな人間だったようですが、恩人を失ったことで狂気に囚われ復讐と破壊の鬼になってしまいました。やっぱりガエリオくらいしか理解、共感できるキャラクターがいません。

『鉄血のオルフェンズ』(1期)は面白い作品ではあったのですが、視聴後になんとも言えない虚無感が残りました。正直言って後味が悪い。

一応、強力な怪物と化したアインを倒し、クーデリアの目的も達成され、めでたしめでたしという形にはなっているけど、スッキリしません。

アインだけでなく三日月や鉄華団、マクギリス、クーデリアを含め、全員くたばったほうが世の中のためではないのかと。全員悪人…というわけではないけど、常軌を逸した価値観で生きている人ばかりで共感ができません。

誰を応援すれば良いのやら分からないアニメでした。

次:雑な脚本と不条理な結末 – 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』2期感想

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