2019年夏のなろう系アニメ感想3本目。『異世界チート魔術師』について書きます(残りの2本は『ありふれた職業で世界最強』と『魔王様、リトライ!』)。
『異世界チート魔術師』って、もうそのまんまのタイトルですね。いかにもなろう系っていうワードの組み合わせ。どストレートで安直極まりないですが、逆に潔くて印象がいいかも。
ちなみに「魔術師」は「マジシャン」と読みます。
聞く所によると、だいぶん古参の作品らしい。アニメ化が遅くなっただけで、原作の連載開始は結構前だとか…。
第1話感想
なんか異世界で合戦をやってる所から始まりました。初っ端から絵面がチープ過ぎて変な笑いが出ます。
さらに気の抜けたセリフが素晴らしい。
「ファイヤーアロー!」「うわーっ!」
この緊張感のない感じは、『百錬の覇王と聖約の戦乙女』の合戦シーンを彷彿とさせますよ。
主人公太一の外見はなろう系でよくあるやつ。黒髪の優男でスマホ太郎とかの系譜。ただ目がキラッとしてるところは個性的かな?
「つくづくこれってチートだよな」と、自分でチートに言及するところも『百錬の覇王』の主人公みたいですね。
あらすじ
普通の高校生だった主人公は、突如現れた謎の魔法陣によって、幼馴染の女の子と一緒に異世界に送られてしまいました。
幼馴染ヒロインは懐かしい感じの雰囲気。一昔前のラノベにいそうな女の子です。(負けヒロインになりがち)。
異世界の草原で目を覚ました2人はモンスターに襲われますが、親切なパーティに助けてもらい、異世界で生きていくため冒険者になるという流れです。
そして出ました冒険者ギルド!タイトルだけじゃなくて中身までコッテコテのテンプレですね。
魔力を見る水晶に手をかざしてみるけど二人とも魔力が強すぎて測定不能。なんかよくわからんお姉さんの所へ行くよう言われて、そのまま弟子入りします。
1話はこれで終わり。あんまり話が進んでないですね。展開は遅め。
1話まとめ
従来のラノベファンタジーとなろう系のハイブリッドみたいな作風でした。主人公と幼馴染の関係性に焦点をあてているのは好印象。
アイテムやトロフィーとしての女の子ではなく、一応人間として描いているように思います。ヒロインに内面が感じられるのは良い。ちょっと面倒くさい感じの子ではあるけど。
なろう系には主人公を持ち上げる装置としての空虚なヒロインが多すぎるので、このくらいの内面描写でも十分評価できます。まぁ、ヒロインに内面があるというのは、なろう以外では普通なんですけどね。
あと本作は目新しさのある作品ではないけど、イキりやマウンティングも無いので、嫌な思いをせず穏やかな気分で見られます。
ただ現時点での面白さは微妙。スマホ太郎を脱臭して不快感をなくした感じ。その分めちゃ薄味。無味無臭。
あと1話から作画が怪しい感じでした。終盤にはかなり崩れるかも…。
第2話感想
よく分からないお姉さん(レミーア)に会いに行った続きから始まります。
主人公(太一)も幼馴染(凛)もすごい魔力を持っているらしい。でもその使い方を知らないから弟子になって修行しないとだめなんですって。
レミーアさんは王国随一の魔術師らしい。
太一は修行次第で国を相手に一人で戦を仕掛け滅ぼすことのできる存在になれるそうです。うわぁ、やっぱタイトル通りチート魔術師になるんだ~。予想を裏切らない。
凛が太一に突っ込みを入れアイアンクローをするシーンはなんとも懐かしい感じ。往年の暴力ヒロインを彷彿とさせます。
ノリが全体的に古臭いんだよなぁこのアニメ。それはそれで悪くないんだけど…。
ここ最近アニメ化されたなろう作品のヒロインって、従順で主人公に文句の一つも言わない子ばかりだったから逆に新鮮ですよ。主人公称賛ロボット◯ナホールにはもう飽き飽き。
世界観
この世界では精霊に魔力を支払うと、その対価で魔術が使えるようです。ほうほう。
あと凛は珍しく全属性の魔術が使えるそうです。スマホ太郎と一緒だ!
そして太一は「魔術師」ではなく、「魔導師」なんですって。
「魔術」は精霊の力を借りないと使えないのだけど、主人公が使えるのは「魔法」だから借りなくてもOKなんだそうです。よくわからんけどチートっぽいねやっぱ。
いや、待てよ、でもそれだと異世界チート「魔導師」じゃん。タイトルは幼馴染のほうを指してるんですかね?
魔導師も大きなカテゴリーでは魔術師に入るのかな?
修行
レミーアさんの下で修行するのですが『賢者の孫』と似た要素が出ました。
魔術はイメージの力が大事なようです。例えば燃焼のメカニズムを考えると火属性の魔術がマスターできる。
なんかなろう系には共通のデータベースみたいなものがあるよね。他のなろう作品で見た要素が必ずと言っていいほど入ってる。
凛はガスを想像して火力アップに成功。その場に存在しないものも取り出せるみたいです。
それアリ? チートですねやっぱ。「生成した水素と酸素を高濃度で圧縮」した賢者の孫みたい。
でもヒロインにもちゃんと強い能力が備わっているのはいいですね。
一方、太一は自分の能力を使うのに手こずります。すると、どこからともなくバイノーラル音声みたいな謎の声が聞こえてきて手助けをしてくれました。そして手が光ります。
太一はとりあえず身体強化で戦うことになりました。
やっぱりバレてた
主人公たちはずっと制服姿。いつ異世界衣装になるんだろうと思ってたら、急に服が変わって強くなってました。
時間が飛んであっという間に修行終了。めでたく冒険者に。はえ~、めっちゃストレスフリー。
卒業試験合格祝いの晩飯ですが、料理がデフォルメされててなんかかわいいです。すき。
主人公たちは、自分たちが別世界から来たことがバレてないと思っていたけど、レミーアさんは分かっていたようです。
いや服が違うからバレるでしょ…。現代の学生服着ててバレてないと思ってたんかい…。逆に不思議ですよ。少なくともどっか遠い国から来たとは思われるよね。
二人を呼び出した魔導師を探し出し、呼び出した理由を聞いて要件を済まし、さっさと元の世界に帰りましょ~ってことになって今回はおしまいです。
元の世界に帰りたがるのも最近では珍しいですね。一昔前の王道をやってる感じだなあ。
太一と凛は信頼しあってるようだけど、このままハーレムを作らず幼馴染一筋で行くのかな?
ハーレムはやめてほしいなぁ。あれはホント要らん。
2話まとめ
意外に面白いですねこのアニメ。1話は何のひねりもないザ・テンプレって感じだったけど今回は良かった。
なろう系でありながら作者の邪な願望が見えない所も好ましい。良い意味で普通のラノベっぽいです。
第3話感想
めでたく冒険者になった二人は、小さな依頼をコツコツこなしつつ異世界生活をしてるんですって。そのあたりの説明は止め絵の回想とモノローグで済まされます。
物価
露天で売られてるメリラの実なる果物が3つで銀貨1枚。日本円では1万円くらいの価値とのこと。荷馬車が襲われて品薄だから物価が上がっているみたい。
凛が「先週はこの半値だったのに」と言ってるけどその時点で既に高くないですかね?
1個1500円以上って高級フルーツじゃないですか? 異世界の物価おかしくね? 金持ちしか食えんでしょ。それなのに庶民的な露天で販売してるんすね。
町の名産品と言ってるから遠くから運んできているわけでもあるまいし、どうして前からそんなに高かったのか? 世界観が謎です。
アサシン
この後ギルドの依頼でスラム街の酒場を調査する太一と凛。
コッテコテな外見の荒くれ者達に詰め寄られるけど、軽くボコって尋問。こいつらが荷馬車から奪った荷物を流してるらしいけど、黒幕は突き止められません。
帰り道、美少女アサシン軍団みたいなのに襲われますが、返り討ちにして一人を捕縛します。基本的に可愛い女の子しか出ないのかな?
農園
そのあとレミーアさんの所にいたエルフ(ミューラ)とパーティーを組んで農園へ護衛に行くことに。
メリラの実が高くなったのは盗難事件が頻発しているかららしい。盗賊は魔術師を護衛に付けているから農夫じゃ太刀打ちできないんですって。
あれ?さっきの荷馬車襲撃の話とは関係なかったのかな?
農園で何者かが放った魔物と戦って終わりです。太一は強化魔法を使いワンパンで倒します。物理さん(黙れドン太郎)みたいですね。
3話まとめ
チート主人公にありがちな胸くそ悪さや、設定の致命的な破綻は無いですが、そこまで面白くもない。最終回まで見続けられるか心配になってきました。
第4話感想
果樹園の警備の続き。果物泥棒を捕まえます。
捕まった泥棒たちは「あの女魔術師今日に限ってなんでいやがらねぇ!」「あいつがいりゃ冒険者のガキなんざ」などと聞いてもいないことまでペラペラと喋ります。説明ゼリフやめちくり~。
そしてやっぱり前回から不審だった銀髪の男が黒幕でした。前回魔物を差し向けたのもこいつ。さらに主人公たちをおびき出すためギルドに依頼を出したんですって。
こいつのセリフもやけに説明口調なんですよね。状況が分かりやすいのは良いけど、なんかとても不自然。でも元がなろう小説だから仕方ないのかもしれないです。セリフで済ませたほうが読みやすいからね。
バトル
銀髪男の仲間である戦闘狂女が姿を現しバトルが始まります。
太一は銀髪男と1対1で、凛とミューラは戦闘狂女と2対1で戦います。
物理攻撃が効かないモンスターを召喚されて太一は大ピンチ。
凛たちも苦戦しているかと思いきや、実際は新しい戦い方の練習をしていただけ。本気は出してなかった模様。要するに舐めプ。おいおい…。
本気を出したら敵を圧倒できてるじゃん!そしてみんな大好き粉塵爆発でドッカーン。
粉塵爆発
この手のラノベって粉塵爆発好きですよねぇ~。最近アニメ化された作品で言うと『ゴブスレ』がやってました。
凛は「学校の授業、真面目に聞いててよかった」と言ってたけど、密閉されてない原っぱで粉塵爆発って起きるもんなの?
「細かい粒子が散乱する中に、可燃性の物質を近づけることで発生する」っていうのも、えらくアバウトな説明ですな…。
映像を見ると、魔法で起こした砂嵐の中にサラサラっと何かを散らして炎攻撃で爆発させてました。
粉少なくね?
色々突っ込まれてるゴブスレさんでさえもっとたくさん小麦粉撒いてたよ?
この粉、実は黒色火薬なのかな?しかしそうなると粉塵爆発とは違ってくるような気が…。
もしや砂が爆発したってことなのか?……よく分からないです。
あと敵の女が固すぎる。電気+粉塵爆発+斬撃食らってるのにピンピンしてるわ。やべぇ。人間じゃないのかな?
なろうの異世界はゲーム世界。HP制だから傷だらけになってもHPが残っている限り大丈夫なんでしょうか?
チートって何だ?
一方の太一はモンスターにやられて血ダラダラ。死にかけてました。
今までのチート主人公とは一味違いますね。弱すぎる。こんなんじゃ全然チートじゃないぜ。
と言うよりまだチートになってないのかな?スマホ、デスマ、孫、黙れドンみたいに最初から最強ってわけではないのかね?
なーんて思ってたら精神世界の場面になって、謎の声に「力が欲しい?」と尋ねられる太一くん。
一時的に力をくれるみたいだけど代償として死ぬほど辛いらしいです。
無条件チートじゃないのか~主人公に厳しいな~。
でも力を貰います。そして急にイキり出す太一。おお!やっとなろう系っぽくなった!
チートパワーで敵を蹴散らして終わりです。
4話まとめ
前半は退屈でしたが粉塵爆発の所から面白くなりました。主人公がやっとイキり出したのでこの先が楽しみです。
第5話感想
太一は魔力を使い切って一週間寝てたらしい。
前回精霊が「チートの代償はめっちゃ辛いよ」みたいなことを言ってたけど、あんま辛そうじゃないですね。デメリットって一週間寝続けるだけなのかな?
ところでレミーアさんいわく、精霊の声が聞ける太一は召喚術師なんですって。精霊魔術師とは異なるとかなんとか。
魔導師と魔術師の違いなど、細かい設定が次々出てくるけどよく分かんないです。
敵のアジト?
前話の敵の親玉みたいなのが出ましたよ。こいつら何をしたいんでしょうね一体。果樹園襲ったりしてたけどさ。
あと、こいつ含めて敵のデザインがみんなモブっぽい。よわそう。
ところで紙の束↑が『百錬の覇王』を彷彿させます。こっち(チート魔術師)は真っ白じゃないだけマシか…。
『百錬の覇王』は紀元前っていう設定なのにコピー用紙でした。現代技術を持ち込んだとは言っても真っ白なコピー用紙はやりすぎ。
テンプレ!?
飯を食って元気になった太一が街に行ったら女の子がチンピラに絡まれてました。
なろうでよくあるやつだ!スマホや孫にもあった!!これもなろうテンプレのひとつなのかな?
例のごとくチンピラをボコって女の子を救出。
今回はやたら展開が速いです。女の子は太一が以前捕まえたアサシンでした。名前はアナスタシア。
ギルド側に寝返っていたので太一と一緒に敵の屋敷を襲撃。
あまりに急な展開で驚きましたよ。アナスタシアが事情を説明してる裏で別の映像が流れて、敵をボコってるんだもん。
謎の儀式
その頃、凛たちは敵の集団に襲われ、ミューラが例の戦闘狂女(グラミ)に拉致されてしまいます。
しかしグラミさん回復早くね?前回も耐久力が凄いと思ったけど、一週間で傷もなく元通りになってましたね。魔法で簡単に治せる世界観なのかな?
意外なことにグラミはミューラの居場所を凛に教えます。親玉に術をかけられ、不本意に手伝わされていたからみたい。そうだったのか…。
俺以外の奴に負けるんじゃねぇぞみたいなことも言ってました。少年漫画的な感じ。
アジトに乗り込んだ凛は、吊るされて生贄にされかけていたミューラを速攻で救出。
しかしミューラはなんでメスの顔になってたんでしょうね…。えちえちな儀式(意味深)でもしてたのか?それとも吊られて興奮する性癖持ちなのか?
そこに所に敵の親玉がやってきて「魔物の大群に街を襲わせるけど君たちに守れるかな?」みたいなことを言っておしまいです。
5話まとめ
今回もまあまあ面白かったです。凛ちゃんカッコいい。
でもこのアニメ、タイトルとは裏腹に全然チート感ないですね。昔ながらのファンタジーラノベって感じ。
次回魔物がやってくるけど、スマホ太郎が武田ゾンビ軍団と戦った時みたいにマップ兵器であっさり一掃ってわけにはいかないのだろうなぁ…。
チートらしきチートを持たない主人公たちはどうやって対処するんでしょうね。楽しみです。
第6話感想
ネタ的な意味では面白い回でした。ツッコミどころが多め。
双子とゴブリン
前回の続きで、太一は元アサシンのアナと敵の屋敷に侵入しています。突然現れたゴーレムをワンパンで倒すと、奥には双子の女の子がいてゴブリンを生み出す準備をしてました。
ゴブリンには街の人を無差別に襲うよう命令してあるんだって。双子は水晶玉みたいなのを持っていて、ゴブリンを操ることができるから襲われないらしい。
生み出されたレッドゴブリンが襲いかかってくるけど、太一はパンチで潰していきます。うーん、物理チートって映像化した時あまり強く見えないのが難点だと思う…。
主人公が衝撃波を出したりするわけじゃないし、結局素手で一体ずつ潰していくことになるから地味ですね。そもそも『異世界チート魔術師』って言いながら、物理攻撃主体ってのはどうなのよ…。魔法は強化に使うだけ。
黙れドンの『物理さんで無双してたら~』とタイトル入れ替えても問題なさそう。物理無双じゃん。
チート作品って、全体攻撃でサクッと敵を蹴散らすから爽快なんだと思うんですよね。本編を見るまでは本作も魔法攻撃でドカーンとやる内容だと思ってましたよ。地道にプチプチやっつけてもあんまり楽しくない…。
そんな感じでゴブリンを潰していると、双子が水晶玉を落として割ってしまい自滅。
何だこの展開…。ギャグか?凶悪な魔物生み出せる割に間抜けすぎる。
水蒸気爆発
一方、凛たちは冒険者を集め魔物の大群から街を防衛します。
凛は敵の雑魚を一掃するため策を考えるのですが、その内容はちょっと首を傾げたくなるようなもの。
敵モンスターのいる所に大穴を開け落とす
そこに水を注ぐ
熱した金属で蓋をする
ドッカーン(水蒸気爆発)
……手数がかかるしちょっと無駄が多いのでは?
なんでこんなまどろっこしい攻撃方法を選んだのでしょうね?熱した金属の雨を降らすとかでも十分強くない?
穴に落として一般冒険者に上から攻撃させてもいいし、水攻めまででも十分倒せそう。
凛がそこそこ強力な魔法を使えるのは分かったけど、使い方が微妙すぎませんか?現代知識を利用しないといけない縛りでもあるのか?
『このすば』のめぐみん(中の人が同じ)みたいに魔法で大爆発を起こしたりはできないんでしょうか? 主人公もそうですが、チート級の魔力を持ってる割には使う技がショボくて地味…。
6話まとめ
爽快感がないですね~。太一も凛も中途半端な戦い方をするのでチート作品ぽくない。ただのファンタジーでしかなく、なろう系で言うチートものとは違うよなぁ。
タイトルに「チート」を入れないほうがよかったように思います。
あと敵が何をしたいのか謎。なんで街を攻めたの?物語の終着点が見えてきません。